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オハイオ級原子力潜水艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

オハイオ級原子力潜水艦
ファイル:USS Maine (SSBN-741).jpg
艦級概観
艦種戦略ミサイル原子力潜水艦
艦名州名。一番艦はオハイオ州に因む。5番艦のみ人名。
建造期間1976年 - 1996年
就役期間1979年 - 就役中
前級ベンジャミン・フランクリン級原子力潜水艦
次級-
性能諸元
排水量水上:16,764トン
水中:18,750トン
全長170.67m
全幅12.8m
吃水11.1m
船体構造単殻式
機関GE社製加圧水型S8G原子炉×1基/蒸気タービン×2基 1軸推進 60000馬力
最大速力公表値:水中20ノット+
推定値:水中24ノット+
潜航深度最大300m程度?
燃料棒寿命10~15年
乗員155名
探索装置BQQ-6 パッシブソナー
BQR-15 曳航ソナー
BPS-15A 対水上レーダー(BPS-16に換装されたとの情報もあり)
兵装・533mm魚雷発射管×4門
潜水艦発射弾道ミサイルトライデント)×24基(5番艦以降)
巡航ミサイルトマホーク)×154基(1番艦~4番艦)

オハイオ級原子力潜水艦(オハイオきゅうげんしりょくせんすいかん、 Ohio class)はアメリカ海軍が現在保有する唯一の戦略ミサイル原子力潜水艦(以下SSBNと表記)。全18隻。西側諸国で最大の排水量を誇る潜水艦である。また全長と弾道ミサイル搭載数は現役の潜水艦で最多。艦名は5番艦を除き州の名前から付けられている。

目次

開発の経緯

1970年代アメリカが保有していた戦略ミサイル原潜は1950年代から60年代に開発されたものばかりでこのころ開発する原潜はもっぱら攻撃型原潜であった。新規戦略ミサイル原潜の開発も計画されていたがその膨大な開発予算から議会も開発許可を出し渋っていた。それに対してソ連はアメリカに対する遅れを取り戻そうと新たにデルタ型を開発し射程約8,000kmのSS-N-8や射程約6,500kmのSS-N-18などを次々と開発していった。

この影響を受け議会はやっと新規SSBNの開発を許可、これによりオハイオ級の開発がはじまった。しかし開発が進められることになったもののなかなか順調には進まず、開発当初1番艦は1979年には引き渡される予定であったが結局1番艦が就役したのは1981年末だった。

オハイオ級はそれまでいた35隻の原潜をすべて代替するため24隻の建造を予定していたが、冷戦終結の影響により18隻とそれまでの半数程度の建造で打ち切られた。しかし1隻あたりの弾道ミサイル搭載数は16基から24基と1.5倍になっているため核弾頭の数からいえばそれほど減少していない。

兵装

オハイオ級の主な兵装は潜水艦発射弾道ミサイル24基と533mm魚雷発射管4門である。改良型については後述。

就役当初、弾道ミサイルは1番艦から8番艦までが射程4,000海里以上(7,400km)のトライデントI(C4)を、8番艦以降が射程6,000海里以上(11,000km)のトライデントII(D5)を装備していた。トライデントD5はC4にくらべ射程が延びたかわりにサイズも一回り大きくなっているがオハイオ級は当初から余裕のある構造だったため外見上はC4搭載艦とD5搭載艦に差はない。4番艦から8番艦は弾道ミサイルをC4からD5に換装中である。

オハイオ級が装備するトライデントは1基につき核弾頭をC4は8発、D5は14発まで装備可能だがこれもSTART Iとの関係から現在のところの弾頭は最大で8発に抑えられている。つまりトライデントを24基装備するオハイオ級は1隻で計192発程度の核弾頭を装備することになる。核弾頭1発あたりの核出力は数種類あるがいずれも100kt~475kt(長崎市に落とされたファットマンは20kt程度)と都市一つを破壊するには十分な威力を備えている。

なおこの先START IIではSSBNに搭載できる核弾頭の総数は1,700~1,750発程度までとされており、それにあわせてトライデント1基に搭載する弾頭数は4~5発程度まで減らされる予定である。

オハイオ級の主任務は弾道ミサイルの発射で、敵潜水艦への攻撃はロサンゼルス級などの攻撃型原潜の任務であるが、敵潜水艦に発見された場合の反撃手段としてMk48魚雷も搭載する。しかしその性質上隠密性が求められるため探査用のアクティブソナーは装備していない(航海用は装備している)。そのためそれほど有効な攻撃は出来ないと考えられる。また潜水艦は魚雷発射管から発射可能な対艦ミサイル巡航ミサイルを装備していることが多いがオハイオ級は魚雷のみを装備する。

その他に魚雷攻撃を受けたときのための音響囮も8基装備されている。

任務

オハイオ級の任務は、海中に潜み、アメリカ合衆国に対して核ミサイルが発射された場合、または発射される恐れがある場合に相手国に核ミサイルを発射することである。

そのため、出港後、待機する海域まで航行した後はひたすら海中に身を潜め、いつでも核ミサイルの発射が出来るように待機している。この1回の航海はラファイエット級までは60日程度であったが、オハイオ級は大型で居住性が若干改善されたため航海の期間も若干延び、70日から90日程度になった。

これら戦略ミサイル原潜がどの海域を待機海域にしているかは軍事機密であり、詳細は公表されていない。任務に当たる艦ですら、詳細は艦長を含めた数人しか知ることはない。しかし、現在では搭載するミサイルの射程がICBM並に長いことから、危険を冒して敵国沿岸に行くようなことはなく、アメリカ本土に比較的近い太平洋や大西洋、北極海などで待機していると思われる。

稼働率

ファイル:USS Michigan (SSBN-727).jpg
ドック入りしたミシガン (SSBN-727)

通常、アメリカの戦略ミサイル原潜は、ブルーとゴールドの2組のクルーが用意されている。これは一言でいえば、艦より先に乗組員が限界になってしまうためである。オハイオ級も例外ではなく、ひとつのグループが70日間の航海を終えて帰港すると、約1ヶ月ほど艦の整備などを行い、その後もうひとつのグループが70日間の航海に出て行く。そして、航海を終えた方のグループは、しばしの休暇の後訓練をおこなう、というローテーションを繰り返す。その他に、約10年に1度は1年間ほどかけてオーバーホールと燃料棒の交換をおこなう必要がある。

そのことから実際可稼働率は60%程度であり、18隻でローテーションを組んでいたときは常に10隻前後は任務についていることになる。また14隻では8隻前後となる。

改良型オハイオ級

START IIで核弾頭数が制限された関係から、2001年にアメリカ海軍はオハイオ級の1番艦から4番艦までを戦略任務から外し、巡航ミサイル潜水艦に改造することを決定した。2007年現在、弾道ミサイル発射筒の換装工事など工事が完了したオハイオが作戦航海に出るほか、残る三隻も改装に着手している。なお艦種は戦略ミサイル原潜を表すSSBNから巡航ミサイル原潜を表すSSGNに変更された。

具体的な内容としては24基の弾道ミサイル発射筒のうち22基をトマホーク発射筒に改め、残りの2基を海軍特殊部隊SEALs」のためのロックアウト・チェンバーに改造。トマホーク発射筒の一部も任務に応じてトマホークの代わりに小型潜水艇ASDSドライデッキ・シェルターを搭載することも可能とされる。トマホークは1基あたり7発を装備、最大で計154発と大量のトマホークを搭載可能となっている。

ちなみに同国の攻撃型原潜であるロサンゼルス級でも10~20発程度、水上艦で一番搭載可能数が多いタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦でも最大で122発であり、オハイオ級の154発というのはアメリカ海軍が保有する艦船の中でも一番搭載数が多く、陸上攻撃に大きな役割を果たすこととなる。

同型艦

ファイル:USS Alabama (SSBN-731) 50.jpg
アラバマ (SSN-731) の乗員たちが、50回目の抑止哨戒を記念して作った人文字「'BAMA 50」。ミサイル区画の巨大さがよく分かる1枚。(2000年5月25日)

関連項目

外部リンク