1. TOP
  2. Kiraku辞典
  3. メインページ

サガ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

サガアイスランド語:saga、複数形:sögurサーガとも)とは、中世晩期の主に12世紀から14世紀にかけて北欧で編纂された、散文形式の文学作品の総称である。エッダ古エッダスノリのエッダ)が神話英雄伝説を集めたものであるのに対し、サガは主にノルマン人植民前後の歴史的な出来事を年代記風に記述したものである[1]。しかし、中には英雄にまつわる伝説など、叙事詩的な内容を取り扱ったものもある。実際の歴史と比較すると、内容に矛盾も見られる。

サガ(saga)という言葉は、アイスランド語の動詞「segja(言う)」に由来し、「語られたもの」を意味する[2]

目次

歴史

ファイル:Stubico.svg この節は執筆中です。加筆、訂正して下さる協力者を求めています

サガの多くは、12世紀から14世紀アイスランドで編纂された。

1477年クリストファー・コロンブス大西洋の果ての情報を求め、アイスランドへ渡航し、アイスランド・サガを閲覧したという。

分類

ブリタニカ百科事典』では、「王のサガ」「伝説のサガ」「アイスランド・サガ」の3分類が挙げられている。すなわち、アイスランドで伝承された物語アイスランド・サガノルウェーに伝わる中世の物語を王のサガ、そして文学的要素を含め想像において書かれた物語を伝説のサガと呼ぶ。ヴァイキング時代スウェーデン族長について書かれたサガも存在する。

谷口幸男は、著書『エッダとサガ』や、『世界大百科事典』(平凡社刊)へ寄稿した「サガ」の項目において、ヤン・デ・フリースの分類に従ったとして、「宗教的学問的サガ」「王のサガ」「アイスランド人のサガ」「伝説的サガ」の4つに分類している[3]。また、その他の日本語のサガに関する文献も、多くはこのような4分類を行っている。

その他、『スカルド詩人のサガ』(森信嘉著)では「アイスランド人のサガ・家族のサガ」「同時代のサガ」「王のサガ」「サイッティル」「聖人のサガ」「伝説・いにしえの物語」「騎士のサガ」という7分類が[4]、『アイスランド・サガ 血讐の記号論』(J.L.バイヨック著)では「王のサガ」「古代のサガ」「騎士のサガ」「虚構のサガ(伝説のサガ)」「司教のサガ」「一族のサガ」「ストゥルルングのサガ」の7分類がなされている[5]。ただし、いずれもサガの分類を主眼に置いた記述ではなく、サガについて論ずる前置きとしての分類が試みられている。

代表的なサガ

王のサガ

伝説のサガ

  • ヴォルスンガ・サガ』 (Völsunga saga) - ニーベルンゲン伝説英語(ニブルング伝説)に関するサガ。
  • ユングヴァルのサガ英語』 (Yngvars saga víðförla)
    • エイムンドのサガ英語』 (Eymund's saga)
  • フリシオフのサガ英語』 (Frithiof's Saga)
  • ガウトレクのサガ英語』 (Gautreks Saga)
  • 勇士殺しのアースムンドのサガ』 (Ásmundar saga kappabana) - ヒルデブラントの伝説にも関わる物語。
  • ヘルヴォルとヘイズレク王のサガ』 (Hervarar saga ok Heiðreks) - ティルヴィングに関する物語。
  • ボーシとヘラルドのサガ英語』 (Bósa saga ok Herrauðs)
  • 『ラグナル・ロズブロークのサガ』 (Ragnars saga loðbrókar) - ラグナル・ロズブローク英語と彼の息子たちの生涯を描く。
  • フロールヴ・クラキのサガ英語』 (Hrólfs saga kraka) - デンマークの伝説的な王フロールヴ・クラキ英語に関するサガ。

アイスランド・サガ

『エッダとサガ』や『アイスランド・サガ』(いずれも谷口幸男訳)では、以下の5つの長編サガが「五大サガ」として挙げられている。

  • エギルのサガ』 (Egils saga)
  • ニャールのサガ英語』 (Njál's Saga)
  • ラックス谷の人々のサガ英語』 (Laxdœla Saga)
  • エイルの人々のサガ英語』 (Eyrbyggja Saga)
  • グレティルのサガ英語』 (Grettis Saga)

他にも、以下のようなサガがある。

その他のサガ

  • シズレクのサガ』 (Þiðrekssaga) - 『シドレクスサガ』とも。「騎士のサガ」英語に分類されている。ディートリヒ・フォン・ベルン(東ゴートテオドリック)の活躍を描き、シグルズジークフリート)の伝説やヴェルンドへの言及も見られる。
  • ギュータサガ英語』 (GutaSaga)
  • 植民の書』 (Landnámabók) - 『入植の書』とも。
  • 『キリスト教のサガ』 (Cristni saga)
  • ストゥルルンガ・サガ英語』 (Sturlunga Saga) - ストゥルルング一族英語に関するサガ。
  • フェロー諸島の人々のサガ英語』 (Færeyinga Saga)
  • オークニー諸島人のサガ英語』 (Orkneyinga Saga)

脚注

[ヘルプ]
  1. ^ 『エッダとサガ』p.91。
  2. ^ 同。
  3. ^ 『エッダとサガ』p.92。
  4. ^ 『スカルド詩人のサガ』pp.161-163。
  5. ^ 『アイスランド・サガ 血讐の記号論』pp.6-7。

日本語訳

  • 菅原邦城訳 『ゲルマン北欧の英雄伝説―ヴォルスンガ・サガ』 東海大学出版会、1979年。
  • 松谷健二訳 『エッダ グレティルのサガ 中世文学集3』 ちくま文庫、1986年。
  • 大塚光子訳 『スールの子ギースリのサガ』 麻生出版、2011年。ISBN 978-4-905383-01-7
    • 初版は三省堂より『スールの子ギースリの物語』として1987年に発行。
  • 日本アイスランド学会編訳 『サガ選集』 東海大学出版会、1991年。
    • 「アイスランド人の書」、「めんどりのソーリルのサガ」、「蛇舌のグンラウグのサガ」、「グリーンランド人のサガ」、「棒打たれのソルステインの話」、「ヴェストフィヨルド人アウズンの話」、「ハーコン善王のサガ」、「勇士殺しのアースムンドのサガ」、「司教パールのサガ」を収録。巻末に用語集付き。
  • 菅原邦城他訳 『アイスランドのサガ 中篇集』 東海大学出版会、2001年。
    • 「フレイル神ゴジ・フラヴンケルのサガ」、「ヴァープナフィヨルドのサガ」、「ドロプラウグの息子たちのサガ」、「バンダマンナ・サガ―欺かれた首領たちの物語」、「赤毛のエイリークルのサガ」を収録。
  • 森信嘉訳 『スカルド詩人のサガ』 東海大学出版会、2005-09-05、初版第1刷。ISBN 978-4486016960
    • 「コルマクのサガ」、「ハルフレズのサガ」を収録
  • 渡辺洋美訳 『ギスリのサガ(1000点世界文学大系 北欧篇2)』 北欧文化通信社、2008年。
  • 谷口幸男訳 『ヘイムスクリングラ 北欧王朝史(1000点世界文学大系 北欧篇3)全4巻』 北欧文化通信社、2008年~2011年。

参考文献

  • 谷口幸男 『エッダとサガ-北欧古典への案内』 新潮選書、1976-03-15、初版。ISBN 978-4106001826
    • 28篇のサガの概説が載っている。
  • 山室静 『北欧文学の世界』 弘文堂、1959-01-15、初版。ISBN 978-4486007937
    • 二十数篇のサガの概説が記載されており、また附録として「めんどりのトーレ記(めんどりのソーリルのサガ)」、「氷島改宗記(キリスト教のサガ)」、「西氷島のオードウンの話」の3篇が収録されている。
  • J. L. バイヨック 『アイスランド・サガ 血讐の記号論』 柴田忠作訳、東海大学出版会、1997-06-20、初版第1刷。ISBN 978-4486014089
  • ペーテル・ハルベリ 『北欧の文学 古代・中世編』 岡崎晋訳、鷹書房、1990-09-30、初版。ISBN 978-4803403732
  • 熊野聰 『サガから歴史へ―社会形成とその物語』 東海大学出版会、1994年、初版。
  • 熊野聰 『続・サガから歴史へ』 麻生出版、2011年、初版。ISBN 978-4-905383-02-4

関連項目

外部リンク