1. TOP
  2. Kiraku辞典
  3. メインページ

サントリー学芸賞

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

サントリー学芸賞(サントリーがくげいしょう)は、財団法人サントリー文化財団が主催する学術賞である。

目次

概要

1979年(昭和54年)に創設された。人文科学社会科学研究者日本語で執筆して、日本国内で出版した著書が対象である。受賞者の国籍職業は不問だが、受賞者には研究機関か大学の教員が多い。正賞は楯、副賞は200万円。同一人物による複数回の受賞はない。また、物故者及び物故者の業績に対する遺族追賞はない。

文学賞は数多く存在するが、学術書を対象にした賞は数少なく、存在感、話題性がある。新人賞というわけではないが、若手の研究者が受賞することも多く、「人文科学、社会科学の芥川賞」とも称される。学際的なユニークな研究に対して贈られることも多い。

1994年(平成6年)に大塚英志が、手塚治虫戦後漫画の深い関係性を論じた漫画論の集成『戦後まんがの表現空間 記号的身体の呪縛』で社会・風俗部門を受賞した。2002年(平成14年)に切通理作が、宮崎駿への壮大な批評的ラブレターとも言うべきアニメ論『宮崎駿の〈世界〉』で同部門を受賞した。漫画やアニメの研究は、従来の学術の分野からは黙殺とまではいかなくとも、軽視、または異端視されてきた研究であり、それらを評価した点からも、本賞のユニークさがうかがえる。

一方で、批判としては賞自体が持つ学際性ゆえか、受賞対象の書籍の専門性について疑問が投げられることがある。たとえば、2006年(平成18年)の竹内一郎『手塚治虫=ストーリーマンガの起源』などに関しては漫画研究者から「受賞にふさわしいレベルの著作でない」などの批判が寄せられた[1][2]

部門及び選考委員

選考委員は2010年11月現在

五百籏頭真(1991-)・猪木武徳(1993-)・植田和男(2005-)・北岡伸一(1999-)・船橋洋一(2001-)
大笹吉雄(1997-)・高階秀爾(1979-)・芳賀徹(1993-)・三浦雅士(2002-)・渡辺裕(1997-)
奥本大三郎(1999-)・川本三郎(1999-)・玄田有史(2010-)・佐伯順子(2001-)・袴田茂樹(2007-)
岩井克人(2005-)・鹿島茂(1999-)・田中明彦(2002-)・御厨貴(1999-)・鷲田清一(1998-)
過去の選考委員

全受賞者

受賞者の職業・肩書きは、当時のもの。

政治・経済部門

1970年代

受賞者職業・肩書き受賞作出身専門分野
1979年大嶽秀夫東北大学助教授『現代日本の政治権力経済権力』岐阜県政治過程論
日本政治
小池和男名古屋大学教授『労働者の経営参加』を中心として新潟県労働経済学
斎藤明毎日新聞社政治部副部長『転換期の安保』への寄与を中心として東京都

1980年代

受賞者職業・肩書き受賞作出身専門分野
1980年野口悠紀雄一橋大学助教授『財政危機の構造』を中心として東京都日本経済論
ファイナンス理論
香西泰経済企画庁経済研究所
総括主任研究官
『日本経済展望』への寄与を中心として兵庫県日本経済
1981年中嶋嶺雄東京外国語大学教授『北京烈烈』長野県現代中国政治
村松岐夫京都大学教授『戦後日本の官僚制』静岡県行政学
地方自治論
安場保吉大阪大学教授『経済成長論』東京都経済発展論
比較経済史
1982年猪口孝東京大学助教授『国際政治経済の構図』新潟県政治学
国際関係論
長尾龍一東京大学教授『日本国家思想史研究』東京都法哲学
政治思想史
憲法思想史
1983年石弘光一橋大学教授『財政改革の論理』東京都財政学
植田和男大阪大学助教授『国際マクロ経済学と日本経済』東京都マクロ経済学
金融論
国際金融論
1984年竹中平蔵大蔵省財政金融研究室
主任研究官
『研究開発と設備投資の経済学』和歌山県国際経済学
吉川洋大阪大学助教授『マクロ経済学研究』東京都マクロ経済学
1985年青木昌彦京都大学教授『現代の企業』愛知県比較制度分析
五百籏頭真神戸大学教授『米国の日本占領政策』兵庫県日本政治外交史
政策過程論
日米関係論
1986年斎藤修一橋大学助教授『プロト工業化の時代』埼玉県比較経済史
歴史人口学
1987年猪木武徳大阪大学教授『経済思想』滋賀県労働経済学
経済思想
経済史
北岡伸一立教大学教授『清沢洌』奈良県政治学
1988年大津定美龍谷大学教授『現代ソ連の労働市場』北海道経済政策
関場誓子ボストン総領事館領事『超大国の回転木馬』三重県国際政治学
1989年島田晴雄慶應義塾大学教授『ヒューマンウェアの経済学』東京都労働経済学
日本経済論
経済政策

1990年代

受賞者職業・肩書き受賞作出身専門分野
1990年石井菜穂子大蔵省主税局
国際租税課課長補佐
『政策協調の経済学』東京都国際マクロ経済学
J.M.ラムザイヤーUCLA教授『法と経済学』宮崎県日本法
法と経済学
1991年塩沢由典大阪市立大学教授『市場の秩序学』長野県理論経済学
1992年白石隆コーネル大学准教授『インドネシア 国家と政治』愛媛県インドネシア政治
1993年赤根谷達雄筑波大学専任講師『日本のガット加入問題』秋田県国際政治経済学
安全保障論
岩井克人東京大学教授『貨幣論』東京都不均衡動学
貨幣論
法人論
岡崎哲二東京大学助教授『日本の工業化と鉄鋼産業』東京都日本経済史
1994年黒田明伸名古屋大学助教授『中華帝国の構造と世界経済』北海道東アジア経済史
真渕勝大阪市立大学助教授『大蔵省統制の政治経済学』兵庫県行政学
公共政策分析
1995年受賞者なし   
1996年杉原薫大阪大学教授『アジア間貿易の形成と構造』京都府アジア経済史
田中明彦東京大学助教授『新しい「中世」』埼玉県国際政治学
御厨貴東京都立大学教授『政策の総合と権力』を中心として東京都日本政治史
1997年関満博専修大学助教授『空洞化を超えて』を中心として富山県産業論
中小企業論
地域経済論
若林正丈東京大学教授『蒋経国と李登輝』を中心として長野県台湾現代史
台湾現代政治
1998年ポール・シェアードベアリング投信(株)
ストラテジスト
『メインバンク資本主義の危機』豪州日本経済
高尾義一野村総合研究所研究理事『金融デフレ』を中心として大阪府日本の金融システム
1999年村田晃嗣広島大学助教授『大統領の挫折』兵庫県アメリカ外交

2000年代

受賞者職業・肩書き受賞作出身専門分野
2000年坂元一哉大阪大学教授『日米同盟の絆』福岡県日米関係史
2001年大野健一政策研究大学院大学教授『途上国のグローバリゼーション』を中心として兵庫県開発経済学
途上国経済論
田所昌幸防衛大学校教授『「アメリカ」を超えたドル』大阪府国際政治学
2002年玄田有史東京大学助教授『仕事のなかの曖昧な不安』島根県労働経済学
細谷雄一敬愛大学専任講師『戦後国際秩序とイギリス外交』千葉県国際政治史
イギリス外交史
2003年木村幹神戸大学助教授『韓国における「権威主義的」体制の成立』大阪府比較政治学
朝鮮半島地域研究
津上俊哉独法経済産業研究所
上席研究員
『中国台頭』愛媛県中国地域研究
牧原出東北大学大学院助教授『内閣政治と「大蔵省支配」』愛知県行政学
日本政治史
2004年川島真北海道大学助教授『中国近代外交の形成』東京都アジア政治外交史
国分良成慶應義塾大学教授『現代中国の政治と官僚制』を中心として東京都 現代中国政治
2005年岡本隆司京都府立大学助教授『属国と自主のあいだ』京都府中国近代史
東アジア国際関係史
大竹文雄大阪大学教授『日本の不平等』京都府労働経済学
宮城大蔵北海道大学専任講師『戦後アジア秩序の模索と日本』東京都アジア政治史
2006年黒崎輝立教大学兼任講師『核兵器と日米関係』新潟県国際政治学
国際政治史
神門善久明治学院大学教授『日本の食と農』島根県経済政策
2007年飯尾潤政策研究大学院大学教授『日本の統治構造』兵庫県現代日本政治理論
土居丈朗慶應義塾大学准教授『地方債改革の経済学』奈良県財政学
公共経済学
2008年堂目卓生大阪大学教授『アダム・スミス』岐阜県経済思想史
松田宏一郎立教大学教授『江戸の知識から明治の政治へ』広島県日本政治思想史
2009年武内進一国際協力機構JICA研究所
上席研究員
『現代アフリカの紛争と国家』兵庫県アフリカ政治
地域紛争
平和構築論

2010年代

受賞者職業・肩書き受賞作出身専門分野
2010年倉田徹金沢大学准教授『中国返還後の香港』 現代中国政治
瀧井一博国際日本文化研究センター
准教授
『伊藤博文』福岡県国制史、比較法史
2011年井上正也香川大学准教授『日中国交正常化の政治史』大阪府日本外交史、国際関係論
古川隆久日本大学教授『昭和天皇』東京都日本近代史

芸術・文学部門

1970年代

受賞者職業・肩書き受賞作出身専門分野
1979年磯田光一文芸評論家『永井荷風』神奈川県文芸評論
酒井忠康鎌倉近代美術館学芸員『開化の浮世絵師 清親』を中心として北海道美術史
長谷川堯武蔵野美術大学助教授『建築有情』を中心として島根県建築史

社会・風俗部門

思想・歴史部門

1980年代

受賞者職業・肩書き受賞作出身専門分野
1980年阿部謹也一橋大学教授『中世を旅する人びと』東京都ドイツ中世史
野口武彦神戸大学助教授『江戸の歴史家』東京都近世儒学
1981年塩野七生評論家・小説家『海の都の物語』東京都イタリア史
吉沢英成甲南大学教授『貨幣と象徴』東京都社​会​政​治​経​済​学
1982年清水廣一郎広島大学教授『中世イタリア商人の世界』東京都イタリア史
中村良夫東京工業大学教授『風景学入門』東京都景観工学・国土史
1983年有泉貞夫東京商船大学教授『星亨』山梨県日本近代政治史
本城靖久著述、翻訳業『グランド・ツアー』京都府旅行評論
増成隆士筑波大学助教授『思考の死角を視る』東京都美学・哲学
1984年菅野盾樹大阪大学助教授『我、ものに遭う』東京都記号学
人間学
形而上学
中沢新一東京外国語大学助手『チベットのモーツァルト』山梨県宗教学・人類学
1985年佐伯啓思滋賀大学助教授『隠された思考』奈良県社会経済学
社会思想史
武田佐知子大阪外国語大学助教授『古代国家の形成と衣服制』東京都日本古代史
服装史
女性史
二木謙一國學院大學教授『中世武家儀礼の研究』東京都日本中世史
    (戦国史)
1986年井上達夫千葉大学助教授『共生の作法』大阪府法哲学
今田高俊東京工業大学助教授『自己組織性』兵庫県社会学
坂部恵東京大学教授『和辻哲郎』を中心として神奈川県哲学
1987年延広真治東京大学助教授『落語はいかにして形成されたか』徳島県近世文学・落語
山内昌之東京大学助教授『スルタンガリエフの夢』北海道近代イスラム史
中央アジア史
国際関係史
1988年笠谷和比古国文学研究資料館助手『主君「押込」の構造』兵庫県日本近世史
1989年安野眞幸弘前大学教授『バテレン追放令』神奈川県日本中世史
堀池信夫筑波大学助教授『漢魏思想史研究』東京都中国思想史
鷲田清一関西大学教授『分散する理性』および
『モードの迷宮』
京都府臨床哲学・倫理学

1990年代

受賞者職業・肩書き受賞作出身専門分野
1990年石川九楊書家『書の終焉』福井県書道・書道史
西村清和埼玉大学教授『遊びの現象学』京都府美学
1991年坂本多加雄学習院大学教授『市場・道徳・秩序』愛知県日本政治思想史
山室恭子神戸大学助教授『中世のなかに生まれた近世』東京都日本近世史
1992年坂本一登國學院大學教授『伊藤博文と明治国家形成』広島県日本近代史
新村拓神奈川県立茅ケ崎高校
定時制教諭
『老いと看取りの社会史』
を中心として
静岡県医療史
1993年佐々木力東京大学教授『近代学問理念の誕生』宮城県科学史・科学哲学
高山博東京大学助教授『中世地中海世界とシチリア王国』福岡県西洋史
1994年小杉泰国際大学助教授『現代中東とイスラーム政治』北海道イスラム研究
園田英弘国際日本文化研究センター教授『西洋化の構造』福岡県日本社会史
比較社会学
本村凌二東京大学教授『薄闇のローマ世界』熊本県古代ローマ社会史
1995年石川達夫広島大学助教授『マサリクとチェコの精神』東京都スラヴ文化論
ロシア・チェコ文学
杉山正明京都大学助教授『クビライの挑戦』静岡県モンゴル史
中央ユーラシア史
1996年王柯神戸大学助教授『東トルキスタン共和国研究』中国南陽歴史学
坂本達哉慶應義塾大学教授『ヒュームの文明社会』東京都イギリス社会思想
1997年広田照幸東京大学助教授『陸軍将校の教育社会史』広島県教育社会学
三谷博東京大学教授『明治維新とナショナリズム』広島県日本近代史
1998年豊永郁子九州大学助教授『サッチャリズムの世紀』愛知県比較政治学
山内進一橋大学教授『北の十字軍』を中心として北海道法制史・法文化史
西洋中世法史
1999年東浩紀日本学術振興会特別研究員『存在論的、郵便的
-ジャック・デリダについて』
東京都ポストモダン
現代思想
下條信輔カリフォルニア工科大学教授『〈意識〉とは何だろうか』
を中心として
東京都認知心理学

2000年代

受賞者職業・肩書き受賞作出身専門分野
2000年新宮一成京都大学教授『夢分析』を中心として大阪府精神医学
酒井健法政大学教授『ゴシックとは何か』東京都フランス文学
金森修東京水産大学教授『サイエンス・ウォーズ』北海道科学哲学
2001年長尾伸一名古屋大学助教授『ニュートン主義とスコットランド啓蒙』愛知県経済史
菅野覚明東京大学助教授『神道の逆襲』東京都倫理学
2002年田中純東京大学助教授『アビ・ヴァールブルク 記憶の迷宮』宮城県思想史
2003年六車由実東北芸術工科大学
東北文化研究センター研究員
『神、人を喰う』静岡県民俗学
R.D.エルドリッヂ大阪大学大学院助教授『沖縄問題の起源』米国政治学
2004年平野聡東京大学大学院
法学政治学研究科助教授
『清帝国とチベット問題
—多民族統合の成立と瓦解』
神奈川県アジア政治外交史
2005年村井良太駒澤大学専任講師『政党内閣制の成立』香川県日本政治外交史
関口すみ子法政大学助教授『御一新とジェンダー』群馬県ジェンダー論
苅谷剛彦東京大学教授『教育の世紀』東京都教育社会学
2006年中島秀人東京工業大学助教授『日本の科学/技術はどこへいくのか』
を中心として
東京都科学技術史
苅部直東京大学教授『丸山眞男—リベラリストの肖像』
を中心として
東京都日本政治思想史
2007年納富信留慶應義塾大学文学部准教授『ソフィストとは誰か?』東京都哲学
宇野重規東京大学
社会科学研究所准教授
『トクヴィル 平等と不平等の理論家』東京都政治思想史
2008年松木武彦岡山大学准教授 『列島創世記
-旧石器・縄文・弥生・古墳時代』
愛媛県考古学
日暮吉延鹿児島大学教授『東京裁判』東京都日本政治外交史
2009年松森奈津子静岡県立大学
国際関係学部講師
『野蛮から秩序へ
-インディアス問題とサラマンカ学派』
東京都政治学
池内恵東京大学
先端科学技術研究センター
准教授
『イスラーム世界の論じ方』東京都アラブ研究

2010年代

受賞者職業・肩書き受賞作出身専門分野
2010年田中久美子東京大学大学院
情報理工学系研究科准教授
『記号と再帰
-記号論の形式・プログラムの必然』
計算言語学
言語工学
2011年隠岐さや香広島大学准教授『科学アカデミーと『有用な科学』』東京都科学社会学
伊達聖伸上智大学准教授『ライシテ、道徳、宗教学』宮城県宗教学

脚注

  1. ^ 夏目房之介 (2006-11-09). “『手塚治虫=ストーリーマンガの起源』サントリー学芸賞!:夏目房之介の「で?」”. ITmedia オルタナティブ・ブログ. 2011-10-21閲覧。
  2. ^ 宮本大人 (2006-11-09). “サントリー学芸賞はその歴史に大きな汚点を残した”. はてなダイアリー. 2011-10-21閲覧。

外部リンク