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ジャングル黒べえ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ジャングル黒べえ』(ジャングルくろべえ)は、藤子・F・不二雄による日本漫画作品、および同作を原作としたテレビアニメ

目次

概要

内容

アフリカの密林に住むピリミー族(ピグミー族のパロディ)大酋長[1]の息子である黒べえが、ジェット機を大きな鳥と勘違いし、捕らえようと車輪にしがみついたものの日本上空で力尽きて落下し、落ちた先=佐良利家で看病されたことを機に、佐良利家に恩返ししようと得意の魔法や呪術で騒動を巻き起こす、というギャグタッチの物語。

なお、藤子不二雄の漫画『黒ベエ』とは無関係。

作品ができるまで

本作は藤子作品としては珍しくテレビアニメ化企画が先行した作品で、過去『オバケのQ太郎』など一連の藤子作品を手掛けてきた東京ムービーが制作を担当。藤子はストーリーと漫画連載を担当した。

また、このキャラクターの原案は宮崎駿によって考えられたものである。ただし、宮崎が出したアイデアは「アイヌ神話のコロポックル(ホビット)と人間の交流を描く」という、本作とは全く異なるものだった(佐藤さとるの『コロボックル物語』シリーズに酷似)。それを楠部三吉郎が「アフリカの原住民」という形に翻案した。

テレビの企画先行という事情もあり、藤子は「なかなかキャラクターに感情移入出来なかった」と後に語っている。

放送時期など

本作のテレビアニメ版は1973年3月2日から同年9月28日まで毎日放送制作、NETテレビ(現・テレビ朝日)系列(中部地区は放映途中に中京テレビ名古屋テレビへ移行)で毎週金曜日の19時00分 - 19時30分に放送された。30分の1回に2話形式で全31回で合計61話(第25回のみA・Bパート連続)。その後も、以下のように定期的に再放送された。当初は4月放送開始予定だったが前番組の「変身忍者嵐」が一カ月早く終了したため3月2日からの放送開始となった。

連載

漫画連載はアニメ版に合わせて1973年3月から同年12月まで、小学館の学習雑誌(『よいこ』、『幼稚園』、『小学一年生』 - 『小学五年生』[2]毎日新聞(大阪版夕刊)に連載されたが、長らく単行本は発売されず、同じ藤子・F・不二雄原作のギャグ漫画『バケルくん』第2巻の巻末に一部が同時収録されたに過ぎなかった。1988年中央公論社より発刊された藤子不二雄の作品集藤子不二雄ランド第175巻として1冊に収録されて出版。

封印

1989年7月に黒人差別をなくす会が、同じく藤子作品である『オバケのQ太郎』の「国際オバケ連合」の回の描写が黒人差別であると指摘。これを受けて、藤子プロ、単行本を出版していた小学館、中央公論社は、『オバケのQ太郎』の当該エピソードが収録された単行本を増版中止・回収措置をとったが、この際に余波や後難を避けるため、抗議や指摘がなかった本作を同時に自主回収したと見られている。その後、本作を「封印」扱いにし、単行本は絶版、『バケルくん』第2巻に収録された一部エピソードや藤子不二雄の漫画百科なども別作品に差し替え、アニメ版は放送を自粛し、事実上闇に葬られてしまった作品となった。

なお、自主回収について出版社による公式な説明はなされておらず、公には単なる「販売元品切れで重版は未定」として扱われている。本作の出版がなされなくなった経過についてライターの安藤健二が取材を行い、『国際オバケ連合の抗議を受けた出版元が「黒人差別をなくす会」の背景に部落解放同盟などの同和団体があると思い込んで萎縮し、自主回収の形で葬ったようである』との結論に至ったが、関係者の証言を得て事情を明らかにするまでには至らず、依然詳細は不明のままである。

復刊

以上のように、長らく絶版の状況が続いていた作品であったが、藤子・F・不二雄大全集(第一期)の一冊として、2010年5月25日に全1巻で発売された。単行本未収録であった作品[3]も含めて一冊に纏められており、上記のクレームに対しては他の単行本と一律の扱い(巻末に「読者のみなさまへ」という断り書きを掲載)である。巻末解説はアニメ版で黒べえの声を担当した肝付兼太。告知チラシでは著作権上の問題などで絶版状態だった『オバケのQ太郎』と共に黒べえが目立つ位置に描かれ、復刻をアピールしていた。

アニメ本編に関しても、権利元(東京ムービー)は、「差別的だ」というクレームに対応できるメーカーが名乗り出ればメディア化は可能とはしているが、現時点で再放送及びソフト化の予定はない(1979年放送『ドラえもん』以前の藤子・F・不二雄原作のアニメがメディア化されたり、近年に揃って再放送されたことは今までにない[4])。アニメの黒べえの出演は藤子不二雄ランドのCM以降しばらくの登場はなかったが[5]、2011年にはドラえもんED『F組あいうえお』で他の藤子キャラクターと共に新作映像で登場している。なお、主題歌は現在もアニメ主題歌オムニバスなどで入手可能であり、稀にテレビでも流れることがある。各社のカラオケや着信メロディにも収録されている。

登場人物

黒べえ
声:肝付兼太
本作の主人公。黒べえは通称で、本名は漫画では「クロンベンボコメッチャラクッチャラホイサッサ」、アニメ版では「クロベンボコ・ベロチョンタ・ベンボコリンコン・ブラブラボロリン・ボロボロボロリン・バエボコロンタラ・タラリロレンベエ」。
アフリカ大陸出身で、世間では幻の民族と言われるピリミー族の王子。空を飛ぶ魔法を練習している時、巨大な鳥と勘違いしてしがみついたジェット機から振り落とされ、佐良利家の巣箱(犬小屋を改造したもの)に凍えていたところを、しし男に看病してもらってから恩を返す(庭に掘った穴に、しし男を助けるたび、それに応じた大きさの石を入れ、穴がいっぱいになる時)まで、居候することになる。「ウラウラベッカンコー!」などの呪文による魔法を得意としており、しし男を助けることがある一方で、まだ未熟なためか失敗も多く、騒ぎの種になることもしばしば。
ことあるごとに「これジャングルの常識」とピリミー族の教えを言う(「ジャングルの常識」とは言っても、全てが日本社会で非常識なものではなく、「物をもらったらお礼を言う」「自分のことは自分でする」「嘘は悪い」など一般的なものも多い)。嘘が大嫌いで、ピリミー族の教えにより、嘘を吐いた相手には容赦ない仕打ちを返すという。
アニメ版の設定では好きなものはタコ焼きとコロッケ、ホットケーキなど。嫌いなものはネズミ。
佐良利しし男
声:杉山佳寿子
黒べえと仲良くなった弱虫の少年。しかし、心優しく義理堅いところがあり、性格もさっぱりしている。一方、アニメ版では強情で、ワガママなところも見られ、宿題を忘れる、朝寝坊を繰り返すなど怠け者なところがある。たかねのことが好き。タイガーにはいつも苛められている。
名前は「わんぱくでもいいから、獅子のようにたくましくなってほしい」という両親の願いがこもったものである。
パオパオ
声:水鳥鉄夫
2本足の羽が生えた象で黒べえのペット。体は丈夫で、みんなの足となって動き回る。鼻から水を出すことができるほか、空気を吹き出して加速することもできる。また、巨体の割には身体が軽く、自在に跳びはねるほか、羽を使って空を滑空することもできる。ピリミーからは泳いでやってきた。好物はバナナ、パイナップルなどでかなりの食いしん坊。黒べえと同じくネズミが大嫌い。
キャラクターは後に『大長編ドラえもんVOL.2 のび太の宇宙開拓史』にカメオ出演した。また、ダックスキリン、デンデンワニなどピリミー族の動物たちの一部も同作に登場している。
赤べえ
声:桂玲子
黒べえの弟で赤いひげがトレードマーク。幼いため魔法は使えず、「ピキ」としかしゃべれない(言葉は黒べえには理解できる)。ピリミーからは小包に入ってやってきた。槍の達人で、腕は確か。見かけに似合わず食欲は旺盛である。漫画版ではあまり出番はない。
ガック
声:堀絢子山本嘉子
ピリミーからやってきた黒べえのライバル。金持ちで、空き地に自宅を建てて暮らしている。また、催眠術の使い手で、ピリミーから色々な珍獣を召喚する。悪戯好きで騒ぎの火種になることが多い。口癖は「~的ねーぇ」「シャラバーイ」など特徴的。自分のことをぼくちゃんと呼ぶ。
漫画では、毎日新聞(大阪版夕刊)に掲載された4コマの一作にのみ登場。
タイガー
声:山下啓介
近所のガキ大将で、いつもしし男をいじめているが、高所恐怖症だったりおねしょの癖があったりと気弱な一面も。本名はトラ夫。前半はオカラと共に黒べえと争うことが多かったが、ガックが登場してからはライバルとしての存在感が薄れ、オカラと共に、しし男たちと仲良く行動することが多くなっている。
オカラ
声:堀絢子
嫌味で、狡賢い性格。タイガーと一緒に行動することが多く、いつも彼に入れ知恵をしている。口癖は「~でヤンス」。本名はカラ夫で、出っ歯でネズミのような顔立ちをしている。帽子集めが趣味。
富士野たかね
声:恵比寿まさ子
しし男のクラスメートで、しし男を始め、周りの男たち憧れのマドンナ。藤子作品では源静香の系譜を持つキャラクターだが、漫画ではあまり出番がない。一方で、アニメ版では登場機会が多く、キャラクターが掘り下げられている。童話やおとぎ話などメルヘンの世界を愛しており、心優しく大人しいところもあるが、基本的に活動的かつ好奇心の強い性格で、時にヒステリックになって暴れ出すことも。焼き芋が大好物だが、周りには秘密にしている。愛犬家でスリーピーという大型犬(セントバーナード)を飼っている。
佐良利鳥子
声:増山江威子
しし男の母親。叱るときは叱り、褒めるときは褒める良妻賢母で家事一切をこなす。黒べえの居候には猛反発していたが、思いがけぬ情に絆される。
佐良利満
声:矢田耕司
しし男の父親。おっとりした性格で、腰が低い。愛煙家。
先生
声:大竹宏
2年2組の担任教師で、しし男たちの先生。
偏屈じいさん
近所に住む頑固者のお爺さん。名字はその名の通り、変久津。穏和な性格のお婆さんと仲良く二人暮らしをしている。日頃から剣幕ぶりを露呈しており、子供たちは揃って苦手にしていたが、本当は寂しがり屋であった。黒べえとは仲良くなり、彼とよく槍の稽古をしている。
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スタッフ

主題歌

  • OP 「ジャングル黒べえの歌」歌手:大杉久美子、間奏呪文科白:肝付兼太[6]、作詞:藤子不二雄、作曲:三沢郷
  • ED 「ウラウラ タムタム ベッカンコ」歌手:大杉久美子、間奏呪文科白:肝付兼太[6]、作詞:藤子不二雄、作曲:三沢郷

放映リスト

話数サブタイトルシナリオコンテ
1黒べえ大登場の巻!金子裕さきまくら
ベッカンコで恩返しの巻鈴木よしたけ近藤英輔
2くっちゃめっちゃドライブの巻まつしまとしあき出崎哲
神さまさかだちベッカンコの巻吉田喜昭小華和ためお
3パオパオがやってきたの巻山崎晴哉みぶおさむ
るす番はまかせろ!の巻金子裕波多正美
4槍は黒べえの魂の巻松元力出崎哲
わが敵ブタゴリラの巻田原伸二小華和ためお
5パパのやせがまんの巻波多正美
空から赤べえふってきたの巻山崎晴哉さきまくら
6パンを守って恩がえしの巻吉田喜昭出崎哲
なにがなんでも背をのばせ!の巻近藤英輔
7やきいものヒミツの巻金子裕
算数なんてじょうしきだの巻松元力みぶおさむ
8それいけ!パオパオ自動車の巻石黒昇
黒べえがママでーすの巻吉田喜昭近藤英輔
9デパートてんやわんやの巻大西洋三波多正美
ねむくても起きろ!の巻金子裕小華和ためお
10すばらしいコイノボリの巻松元力出崎哲
逃げだしたチンパンの巻大西洋三みぶおさむ
11あのリンゴをおとせ!の巻小田健也さきまくら
はんにんはだれだ?の巻まつしまとしあき小華和ためお
12教室をのぞくなの巻田原伸二石黒昇
いやでも買うのだの巻小田健也近藤英輔
13ノックアウトで花が咲くの巻田原伸二出崎哲
魔法の大せんせい!の巻大西洋三小華和ためお
14黒べえがテレビに出た!の巻小田健也
タイガーのおねしょの巻金子裕近藤英輔
15赤ちゃんをひろった!の巻田原伸二出崎哲
とべ!パオパオヒコーキの巻近藤英輔
16パンツをはいたブルドッグの巻吉田喜昭吉川惣司
のびたりちぢんだり魔法の巻金子裕さきまくら
17たかねちゃんとアイアイがさの巻大西洋三出崎哲
さかさま魚つりの巻松元力さきまくら
18わぁー!空中しょうとつだの巻金子裕石黒昇
パオパオをつかまえろ!の巻山本優吉川惣司
19大酋長がやってきたの巻小田健也
魔法で星がおちてきたの巻金子裕さきまくら
20強敵ガックあらわる!の巻吉田喜昭
黒べえ対ガック、夕陽の決闘の巻吉川惣司
21海ぞくサメマリンがやってきたの巻大西洋三近藤英輔
魚になった新幹線の巻松元力
22生きかえった恐竜タルポの巻大西洋三石黒昇
びっくり!タキビドリの巻城山昇
23出た!ジャングルドラキュラの巻金子裕出崎哲
笑って笑ってゲラゲラポッポの巻九十英夫秦泉寺博
24泣き虫珍獣オーイオイの巻川石光開田進
エレモンキーのキャンプ騒動の巻小田健也さきまくら
25黒べえピリミーへ行くの巻(前篇)金子裕吉川惣司
黒べえピリミーへ行くの巻(後篇)
26食っちゃうぞ!パクパクペリカンの巻吉田喜昭秦泉寺博
黒べえは音楽0点の巻金子裕石黒昇
27黒べえ涙の男泣きの巻吉田喜昭
バクバクは夢どろぼうの巻金子裕吉川惣司
28ジャングルの大どろぼうをやっつけろ!の巻九十英夫さきまくら
おとぼけ坊やにみんなお手あげの巻山本優石黒昇
29あっ、人魚姫が食べられたの巻吉田喜昭秦泉寺博
ジャングルのとうめい忍者の巻金子裕吉川惣司
30母さんどこだ!?涙のポコポンの巻川石光石黒昇
ガックの恋よシャラバーイ!の巻
31珍獣わんさか全員集合の巻松元力
大魔法で仲なおりの巻小田健也さきまくら


劇場版

参考文献

  • 『藤子・F・不二雄大全集 ジャングル黒べえ』(2010年、小学館)
  • 『藤子・F・不二雄大全集 別巻 Fの森の歩き方』(2010年、小学館)

関連書籍

脚注

  1. ^ 酋長という語は侮蔑的な意味があるとして現在は使用が控えられているため、『藤子・F・不二雄大全集』では「王さま」となっている。
  2. ^ 『小学六年生』にも連載されたが、作者は藤子不二雄ではなくしのだひでお
  3. ^ 『小学六年生』にて連載されたしのだひでおの漫画は未収録。
  4. ^ 藤子不二雄A原作のものでは、1968年 - 1969年放映の『怪物くん』(モノクロ版)が2010年にDVD化されている。
  5. ^ ただし、2009年劇場公開作品『ドラえもん 新・のび太の宇宙開拓史』には1981年のオリジナル版同様に、パオパオが大挙してゲスト出演している。
  6. ^ a b なお、徳間書店で刊行された『アニメソング大全集』にて、EDの本編歌手が『肝付兼太』となっているが、肝付は間奏中の呪文の雄叫びのみを担当している。

外部リンク

MBS制作・NET 金曜19時台前半
【当番組よりアニメ枠
前番組 番組名 次番組
ジャングル黒べえ
エースをねらえ!(アニメ版)