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ジョニーは戦場へ行った

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

『ジョニーは戦場へ行った』(-せんじょうへいった、原題"Johnny Got His Gun") は、ドルトン・トランボ1939年に発表した反戦小説。

また、これを原作とする1971年に公開された映画

原題の直訳から『ジョニーは銃を取った』と称されることもある。『ジョニーは戦場行った』は誤り。

目次

概要

本作は第二次世界大戦勃発の1939年に発表されたが、反戦的な内容が「反政府文学」と判断され、戦争の激化した1945年、ついに絶版(事実上の発禁処分)となる。 戦後になって復刊されたものの、朝鮮戦争時には再び絶版とされ、休戦後に復刊されるなど、戦争のたびに絶版と復刊を繰り返す。 これは本書が非常に強力な反戦メッセージを持っていることに、アメリカ政府(特に軍部)が危機感を持っていたことの証左とも言える。(実際に著者は1947年共産主義者レッテルを貼られて逮捕禁固刑に処されている。詳細はドルトン・トランボを参照のこと)

後の1971年(ちなみにベトナム戦争の最中)、著者自身の脚本監督により映画化された。

なお、本作のタイトル『ジョニーは戦場へ行った(Johnny Got His Gun)』は、第一次世界大戦時の志願兵募集の宣伝文句「ジョニーよ、銃を取れ(Johnny Get Your Gun)」への痛烈な皮肉となっている。

あらすじ

本作は2つの章からなる。

なお本作は、彼自身の過去の記憶や現状など、全てが彼の「内的独白」によってのみ記述されており、一切の第三者視点が存在しない。

  • 第一章「死者」
ジョニーは、徴兵によって最愛の恋人カリーンに別れを告げて第一次世界大戦へと出征する。
しかし、異国の戦場で迫り来る敵の砲弾を避けようと塹壕に飛び込むが、目(視覚)、鼻(嗅覚)、口(言葉)、耳(聴覚)を失い、また壊疽をおこした両腕、両脚も切断されてしまう。
ほとんど身体を動かすこともできず、ジョニーの意識は「現在」と「過去の記憶」とを何度も行き交いながら、孤独と暗黒と沈黙の中へと落ち込んでいき、ついには自らを望むようになる。
  • 第二章「生者」
ジョニーは自分が生きていることを実感するために、さまざまな思考をめぐらす。
そして、ついに自らの意思を伝える手段として、モールス信号を使うことに辿り着く。
僅かに動く首を使って、必死にモールス信号を送り続けるジョニー。
モールス信号を理解できない、またジョニーに意識があることを信じない看護婦医師は、それを痙攣発作と勘違いし、麻酔を投与して押さえ込んでしまう。
しかし、あるクリスマスの日、新しくやってきた看護婦はジョニーの胸に、指で「MERRY CHRISTMAS」と書いた。
一文字書かれるごとに頷くジョニーをみて、看護婦はジョニーに意識があることを知り、彼の首の動きが何らかを求めるサインではないかと試行錯誤し、ついにはそれ自体がなにかの信号であることに気付く。
そして、ほどなく現れた別の者の指が、ジョニーの額にモールス信号を叩く。
「何が望みか?」と。
それに対して、ジョニーは答える…。

登場人物

  • ジョニー
本作の主人公。上述の通り、触覚を除くほとんどの知覚を失い、また手足も無い「意識を持つ生きた肉塊」と化してしまう。

参考文献

  • 『ジョニーは戦場へ行った』 信太英男・訳 角川文庫刊 ISBN 4-04-229201-1

映画

ジョニーは戦場へ行った
Johnny Got His Gun,
監督 ドルトン・トランボ
脚本 ドルトン・トランボ
製作 ブルース・キャンベル
撮影 ジュールス・ブレンナー
編集 ミリー・ムーア
公開 1971年 ファイル:Flag of the United States.svg
1973年ファイル:Flag of Japan.svg
製作国 アメリカ
言語 英語
テンプレートを表示

映画は、原作者であるドルトン・トランボ自身の監督、脚本により1971年アメリカ映画として制作された。

カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ、国際映画評論家連盟賞、国際エヴァンジェリ映画委員会賞を受賞。

スタッフ

  • 原作、監督、脚本=ドルトン・トランボ
  • 製作=ブルース・キャンベル
  • 撮影監督=ジュールス・ブレンナー
  • 編集=ミリー・ムーア

出演

役名 俳優 日本語吹替
ジョニー・クレイ ティモシー・ボトムズ 松橋登
カリーン キャシー・フィールズ 二木てるみ
看護婦 ダイアン・ヴァーシ 山田早苗
キリストと呼ばれる男 ドナルド・サザーランド 家弓家正
ジョニーの父親 ジェイソン・ロバーズ 大木民夫
ジョニーの母親 マーシャ・ハント 京田尚子
テイラリー軍医 エドュアルド・フランツ

関連事項

  • 映画では視聴者の視覚に訴える必要上、第三者からの視点で描かれている点が小説とは大きく異なっている。特にラストシーンにおいて「ジョニーの知りえない周りの状況を示す」ことで、小説では描かれなかった「死の尊厳」についてのメッセージを視聴者に訴えかけている。
  • メタリカ - 「ワン」のPVでこの映画が使用されている。
  • THE BLUE HEARTS - 真島昌利作詞・作曲の歌「ラインを越えて」にてこの映画の題名がそのまま使われている。

外部リンク