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スペースオペラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

スペースオペラ: Space opera)は、サイエンス・フィクション (SF) の分類の一つで、宇宙活劇のことである。スペオペと略されることもある。

目次

概要

「スペースオペラ」という呼び名は、1920 - 1930年代アメリカパルプ・マガジン(日本の漫画雑誌に相当)に掲載された娯楽性の強い活劇SFの総称として、すでに存在したソープオペラホースオペラから付けられた。

スペースオペラの基本的な定型は、逞しいヒーロー超光速宇宙船に乗り光線銃を撃ちまくってベム異星人マッドサイエンティストなどを退治し、囚われの美女を救出するという粗筋である。ガンマン・馬・拳銃山賊などホースオペラの題材をSF風のガジェットに置き換えている。宇宙海賊がしばしば登場することから『海洋冒険小説』を宇宙に映したものであるという見方もある。

最初期の作品として、火星を舞台にしたSF冒険小説『火星シリーズ』(エドガー・ライス・バロウズ作)があり、この作品は後のスペースオペラとヒロイック・ファンタジーに大きな影響を与えた[1]。このため初期のスペースオペラ作品はヒロイック・ファンタジーと未分化であった。

SFの一ジャンルであるが、科学に対する態度はハードSFとは対極的である。例えば相対性理論を無視して光速の壁を破る[2] など荒い内容が見受けられ、半裸の美女や異形の怪物が表紙を飾っていたことなどから高い評価は与えられず、「スペースオペラ」という呼称には蔑称の意味合いもあった。

とはいえ、アメリカでは全盛期に専門誌が何誌も出版される程の人気を誇ったが、『ハードSF』の台頭によりSFの主流からは退くこととなる。だが、現在のSFシーンを形成した底流の1つとしてその命脈を現在でも保っており、新しい作品が作られていることも事実である。

日本にスペースオペラを受容させる土壌を作り上げた最大の功労者は、戦後のSF開拓期からSF作家・翻訳家として活動し海外SFコレクターでもあった野田昌宏である。『SF英雄群像』などで紹介された海外スペースオペラ作品が、日本のSFファンの間で受け入れられる作品と重なるほどの影響力を持った。

ただし、用語としてはスペースオペラの概念も多様化した面がある。綿密な科学考証・SF考証よりもSF活劇としての娯楽性を重んじている点は変わらないが、宇宙版ホースオペラという要素は薄くなり、たとえば『銀河英雄伝説』(田中芳樹作)に代表される様な、宇宙や銀河系架空の星系という舞台設定を背景とした政治戦略権謀術数人間関係権力の変遷などに重きを置いたSF史劇的作品をスペースオペラとして分類する傾向も多い。また例えば野尻抱介は『クレギオン』シリーズにおいて科学的考証を行いながらも、自らこの作品をスペースオペラと捉えているとしている[3]

ニュー・スペースオペラ

1970年代に登場したアメリカの作家ラリー・ニーヴンの『ノウンスペース』シリーズは、質的な向上やハードSFとの融合を計り「ニュー・スペースオペラ」と呼ばれた。

1990年代以降イギリスに登場したポール・J・マコーリイケン・マクラウドアレステア・レナルズチャールズ・ストロスなどによるハードSF的SFアイデアとガジェットで描かれる宇宙活劇も「ニュー・スペースオペラ」と呼ばれる。

著名なスペースオペラ作品

海外作品

小説

映像

ゲーム

国内作品

小説

映像

ゲーム

漫画

脚注

  1. ^ バローズが生きている頃には数百人の模倣者がいて、その模倣者の中でも有力な者にはさらに数百人の模倣者がいたという伝説があるほどである。参考:リチャード・A.ルポフ『バルスーム』厚木淳訳、東京創元社、1982年
  2. ^ E・E・スミス宇宙のスカイラーク』に以下のような登場人物たちの遣り取りがある。
    「三億五千マイルだ。太陽系からちょうど半分でかかっている。ということは毎秒一光速の加速度ということだ」
    「そんな速度で走れるはずはないよ、マート。E=mc²だよ」
    「アインシュタインの理論はしょせん理論にすぎんのだよ、ディック。この距離は観察された事実じゃないか」
  3. ^ あとがきにて本人が発言。野尻はその理由について、作品の主題を科学的論理の提示に留まらず人間関係にあるからだとする。

関連項目