トヨタ・プリウス
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プリウス(Prius)は、トヨタ自動車が1997年に製造・発売を開始した世界初の量産ハイブリッド専用車である。現在、世界93か国で販売されていて、車名はどの国においてもプリウスを名乗る。
目次 |
プロトタイプ(1995年)
| トヨタ・プリウス プロトタイプ | |
|---|---|
|
第31回東京モーターショー 展示:1995年10月27日-11月8日 | |
| 乗車定員 | 5名 |
| ボディタイプ | 4ドアノッチバックセダン |
| エンジン | 1AZ-FSE型改(D-4)1.5L 直4 DOHC |
| 変速機 | CVT |
| 駆動方式 | FF |
| 全長 | 4,150mm |
| 全幅 | 1,695mm |
| 全高 | 1,490mm |
| ホイールベース | 2,550mm |
| -自動車のスペック表- | |
- 1995年11月
- 第31回東京モーターショーにて参考出品車として展示。
- 「人と地球にとって快適であること」というコンセプトの元に開発。
- 低燃費走行を目的としたパワートレーンシステム「TOYOTA EMS(Energy Management System)」を搭載。これは直噴ガソリンエンジン「TOYOTA D-4」・CVT(Continuous Variable Transmission・ベルト式無段変速機)・キャパシターを電源としたインダクションモーター/ジェネレーター(M/G)をコンピューター(ECU)によって協調制御した世界初のパワートレーンシステムで、エンジン・駆動系の効率を大幅に向上させ、エネルギー回生、停車時のエンジン停止などの画期的な機能を採用し、同クラス車の約2倍の燃費30km/L(10・15モード走行)実現を目標にしていた。
- 環境を配慮した機能として、電動パワーステアリング・低転がり抵抗タイヤ・電動コンプレッサーエアコンシステム・RSPP(新リサイクル防音材)の採用・空力ボデー・高性能熱線吸収ガラス・着色樹脂を使った無塗装バンパー&サイドモールがあった。
- 安全装備として早くも側面衝突対応SRSエアバッグを装備し、計6カ所のエアバッグがあった。
- 珍しい装備としては助手席およびリヤシートに組み込み式チャイルドシートや、近未来対応型マルチメディアシステム、ドームランプに設置された4方向のセンサーから発信されるマイクロ波により、駐車中の車内への侵入者を感知。アラーム(ホーン吹鳴、ライトの点滅)で異常を知らせるセキュリティシステムがあった。
- 内装においてはセンターメーターでは無く、運転席側にメーターを配置したオーソドックスなタイプが採用されていた。
初代 NHW10・11(1997年 - 2003年)
| トヨタ・プリウス(初代) NHW10・11型 | |
|---|---|
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前期型(NHW10:1997年10月-2000年5月) 前期型リア | |
| 販売期間 | 1997年 - 2003年 |
| デザイン | CALTY |
| 乗車定員 | 5人 |
| ボディタイプ | 4ドアノッチバックセダン |
| エンジン | 1NZ-FXE型 1.5L 直4 DOHC |
| モーター |
交流同期電動機 前期型:1CM型 後期型:2CM型 |
| 最高出力 | エンジン:56kw(76PS)/5,000rpm |
| 最大トルク | エンジン:110.0Nm(11.2kgm)/4,000rpm |
| 変速機 | 電気式無段変速機 |
| 駆動方式 | FF |
| サスペンション |
前:ストラット式コイルスプリング 後:トーションビーム式コイルスプリング |
| 全長 | 4,275 - 4,310mm |
| 全幅 | 1,695mm |
| 全高 | 1,490mm |
| ホイールベース | 2,550mm |
| 車両重量 | 1,220 - 1,240kg |
| -自動車のスペック表- | |
車両概要
- 1997年、世界初となる「量産ハイブリッド自動車」として誕生。
- サイズは小型5ナンバー4ドアセダンで、デザインは歴代セリカなどを手がけたトヨタのアメリカのデザイン拠点である「CALTY」が担当し「未来からやってきた車」のイメージに相応しいエクステリアを構築する。外観は当時としては珍しいフロントグリルとボンネットをシームレスにつないだデザインを採用した。これは単にデザインだけではなく、空気抵抗の減少にも大きく寄与している。また、専用の超軽量鍛造アルミホイールを装着し、さらにその上に空気抵抗低減のための樹脂製のホイールカバーを装着するという珍しい手法を採用した。なお、これは2代目や3代目にも引き続いて採用されている。
- 駆動ユニットはTHS(Toyota Hybrid System)と呼ばれ、アトキンソンサイクル方式の1NZ-FXE型ガソリンエンジンと、1CM 型永久磁石式同期モーターを併用して動力を発生する。1CM 型はマイナーチェンジ時に改良され2CM 型となる。
- 発表当初の燃費は28.0km/l(10・15モード)とガソリンエンジン車としては驚異的なものであったが、同じ車格のカローラのベーシックグレードが100万円未満で販売されていた時代としては215万円という価格は決して安くなく、2代目以降のような「大ヒット」というわけにはいかなかった。
- インテリアの最大の特徴としてセンターメーターがあるが、当時はまだ採用車種が少なく話題を呼んだ。また、5.8インチマルチインフォメーションディスプレイ(運転席と助手席の間に埋め込まれた液晶画面で、オーディオやカーナビゲーション、エアコンなどの機能を表示、制御できる。セルシオ、ソアラ、クラウンのエレクトロマルチビジョンで実用化済み。)を始めからインテリアデザインに盛り込む設計がされたのも、同時期にデビューしたハリアーとともに初めての試みである。これらは後の乗用車全般のインテリアデザインに大きな影響を与えた。なお独特の駆動方式(走行中でもエンジンが停止するなど)から、タコメーターと水温計が省かれている。
沿革
- 1997年12月
- 正式発表、発売開始。
- 1998年11月
- 特別仕様車「Gセレクション」、「Gセレクション・ナビパッケージ」発売。同時にカタロググレードも仕様変更し、ボディカラーに「スーパーホワイトII」を追加。
- 1999年11月
- 特別仕様車「Gセレクション」を再発売。前回仕様より3万円値下げした。
- 2000年5月
- マイナーチェンジを実施。形式がNHW11型となったことから、これ以降の初代モデルを俗に後期型ないし1.5代目と呼ぶこともある。超-低排出ガス認定(☆☆☆)を受け、10・15モード燃費は29.0km/Lに向上。グレード体系を変更して「S」と「G」の2グレード体制になる。また、2000年モデルから北米での販売が開始されるのに伴って現地での安全基準へ適合させるためバンパー形状が変更された。さらにリアスポイラーを新設定し空力性能の向上を図っている。
- 2001年1月
- 「S」をベースに、DVDボイスナビゲーションシステムやクルーズコントロールなどの上級装備を備えた特別仕様車「S プレミアム21」を発売。
- 2001年8月
- 一部改良。欧州仕様用のセッティングが施されたサスペンションと新デザインの14インチアルミホイールを装備する「ユーロパッケージ」の導入と、新ボディカラーである「ボルドーマイカ」を追加。
- 2002年1月10日
- 「S」をベースに、ボディカラーにボルドーマイカ等の専用色を2色設定すると共に、DVDボイスナビゲーションシステム、クルーズコントロール等を装備した特別仕様車「S Premium」を発売。
- 2002年8月6日
- 一部改良。制動時のエネルギー回収量を増加したことで、10・15モード燃費を31.0km/Lに向上。同日にDVDボイスナビゲーションなどを装備した特別仕様車「Sナビスペシャル」、「Gナビスペシャル」を発売。
1st-Toyota-Prius.jpg
後期型(NHW11:2000年5月-2003年2月) |
Toyota Prius 1 (1997-2004) back.jpg
欧州向け(後期型) |
Toyota Prius EcoMission Europe 2000.JPG
エコミッションヨーロッパ出場車(2000年) |
2代目 NHW20(2003年 -2011年(予定))
| トヨタ・プリウス(2代目) NHW20型 | |
|---|---|
|
後期型(2005年11月 -2011年12月) 後期型リア | |
| 販売期間 | 2003年 - (ビジネスユーザー向けのEXのみ販売継続中。2011年12月生産終了予定) |
| 乗車定員 | 5人 |
| ボディタイプ | 5ドアハッチバックセダン[1] |
| エンジン | 1NZ-FXE型 1.5L 直4 DOHC |
| モーター | 3CM型 交流同期電動機 |
| 最高出力 |
エンジン:57kw(77PS)/5,000rpm モーター:68PS |
| 最大トルク |
エンジン:115Nm(11.7kgm)/4,200rpm モーター:40.8kgm |
| 変速機 | 電気式無段変速機 |
| 駆動方式 | FF |
| サスペンション |
前:ストラット式コイルスプリング 後:トーションビーム式コイルスプリング |
| 全長 | 4,445mm |
| 全幅 | 1,725mm |
| 全高 | 1,490mm |
| ホイールベース | 2,700mm |
| 車両重量 | 1,250 - 1,290kg |
| プラットフォーム | トヨタ・MCプラットフォーム |
| -自動車のスペック表- | |
車両概要
- 先代の4ドアセダンから5ドアハッチバックと、大きくボディ形状が変更となる(ちなみに、自動車の同一モデルのフルモデルチェンジでボディ形状まで変化したケースは稀である)。また2代目からは日本国外での市場を考慮してやや大型化され、ホイールベースも2,700mmとなり、車格はプレミオ/アリオン(旧コロナ/カリーナ)クラスとなった。車幅が1,725mmと拡大されたため、日本市場では3ナンバー登録となる。ホイールハブの初代は4穴から2代目からは5穴に変更された。目標月間販売台数は3,000台。これは、先代の直近の販売実績の3倍であった。
- 2代目に搭載されているユニットは「THS-II」 と呼称される「THS」の発展型で、エンジンは先代と同じく1NZ-FXE型を搭載するが最高回転数を5000rpmまで増加。新型モーター(3CM)の出力を従来型の33kWから50kWへと向上させるなどパワーアップを図るも、10・15モード燃費はさらに向上して35.5km/Lになり、4人乗り以上の市販ハイブリッドカーとしては当時の世界最低燃費を達成した。
- 後の3代目モデルにも継承された「トライアングル・シルエット」と呼ばれる三角形の「おむすび形」のスタイリングが特徴的で、2003年度にはグッドデザイン大賞を受賞した。
- なお、トヨタのハイブリッドシステムはこの他にもクラウン(JZS170系セダン他)などに搭載されていた簡易ハイブリッドユニットである「THS-M (マイルドハイブリッド・・・現在は搭載車種なし)」、エスティマやアルファードに搭載された「THS-C」などのバリエーションがある。またパナソニックEVエナジー(現 プライムアースEVエナジー)のニッケル水素電池は小型トラック(日野・デュトロ)や大型路線バス(日野・ブルーリボンシティ)のハイブリッド車にも採用されている。後述の#ハイブリッドシステムの特性も参照。
- その他、2代目モデルでは、後方カメラの映像上で場所を指定するだけで駐車のハンドル操作を自動化できる「インテリジェントパーキングアシスト」(世界初搭載)、横滑り防止機構と電動パワーステアリングを統合制御する「S-VSC」(世界初搭載)、アイドリングストップ中もバッテリを電源として動作可能な電動インバータエアコン(車載用として世界初搭載)、キーをポケットに入れたままドアノブに手を掛けるだけでロック解除となる「スマートエントリー」などの最新技術が投入された。
グレード
- 初代の後期モデルより引き継いだ「S」と「G」の2グレードを基本として、上級オプションパッケージとなる「TOURING selection」を新設定した。
- S
- 最量販グレードとなる標準仕様車。タイヤサイズは185/65R15となるプリウス専用開発の低燃費エコタイヤ(グッドイヤー・GT3)を装備する。また、装備を厳選した「スタンダードパッケージ」が後期モデルより新設定される。
- G
- 「S」に本革巻きステアリング、キーレスオープン(スマートエントリー)、CDチェンジャーなどの豪華装備を追加した上級グレードである。
- TOURING selection
- 先代後期モデルに初設定された「ユーロパッケージ」をさらに昇華させ、走行性能を大幅に向上させた上級のオプションパッケージで、車体底部にフロアアンダーカバーとリアバンパースポイラーを装着し、リアゲート部に大型リアスポイラーを装備して空気抵抗を低減。初採用の16インチアルミホイールと195/55R16サイズの高性能タイヤ(ミシュラン・Pilot Primacy)を組み合わせ、さらに専用チューンの強化サスペンションを装着することで、高速走行時の直進安定性を向上させた。2005年以降の後期モデルでは、モデル初の本革シートが追加された「G TOURING selection LEATHER package」も設定された。
- EX
- 3代目モデル発表と同時に設定された新グレードである。「S スタンダードパッケージ」をベースに、ボディカラーをスーパーホワイトII・シルバーメタリック・ブラックの3色とし、内装色をグレーのみに絞ってフロントグリルをボディ同色に変更。また、フロントフォグランプやホイールキャップをオプション設定にして装備を厳選し189万円という超低価格を実現した。なお、運転席・助手席デュアルステージSRSエアバッグ等の安全装備や温度センサー付電動インバーターエアコン等の快適装備は従来どおり装備される。1クラス下のセグメントにアクアが登場することもあり、2011年12月をもって生産終了予定である。
沿革
- 2004年2月
- 仕様変更。車両型式を変更し「平成17年基準排出ガス75%低減レベル(☆☆☆☆)」に対応。
- 2004年8月4日
- 「S」と「G」をベースに、「ツーリングセレクション」の装備とアルカンターラ専用シート表皮・ディスチャージヘッドランプ・G-BOOK対応DVDボイスナビゲーション付EMV(エレクトロマルチビジョン)&インテリジェントパーキングアシスト(カラーバックガイドモニター機能付)を特別装備した特別仕様車「S ツーリングセレクション・プレミアム/G ツーリングセレクション・プレミアム」を発売。
- 2005年11月1日
- マイナーチェンジ。
- デザインの大幅な変更は無いが、フロントグリルフィンのメッキ処理化・リヤワイパーの標準装備化(これまでは寒冷地仕様車のみオプションとして選択可能で装着車は数少なかった)・ヘッドライトエクステンションのブルー着色・リアコンビネーションランプLED部の色を黒からクリアに変更・メーカーオプションのナビをDVDからHDDに変更し、「HYBRID」の文字エンブレムがトヨタのハイブリッドカーとして初めてフロントフェンダー部にも装着された。またハロゲンヘッドランプ車にはマニュアルレベリング機能が装着された。
- また、ボディ剛性のさらなる向上や遮音性の向上、アルミホイールの剛性向上やサスペンションのチューニング変更等、走行性能に関する点が改良された。内装ではシート生地の変更とインパネ・ドアトリム部にソフトパッドが採用され内装の質感が大幅に向上した。さらに新グレードとして「S」の装備を簡略化した「S スタンダードパッケージ」と3代目でも最上級グレードとなった「G ツーリングセレクション・レザーパッケージ」が追加された。
- 2007年2月1日
- 一部改良。エンジン直下の触媒の性能向上と車両床下の触媒追加、エンジン制御のコンピューター(ECU)の改良により排出ガス浄化性能をさらに向上。パーキングブレーキの戻し忘れ警告ブザーも追加される。
- 2007年4月2日
- プリウス生誕10周年を記念して、SグレードにHDDナビ、スマートエントリー&スタートシステム等の特別装備を追加した「S"10th Anniversary edition"」を発売。
- 2009年5月18日
- 3代目モデルの発売と共に、ビジネスユーザー向けに特化した新グレード「EX」を発表(発売は6月8日からで、189万円から)。以後の2代目プリウスは、このグレードのみ販売されている。2011年12月まで。
- プリウス・サーキットバージョン
- 2代目モデルをベースとしてトヨタ自動車が「サーキットバージョン」を製作。外装はトヨタF1をイメージしたカラーリングが施され、内装は遮音材等の快適装備を撤去し大幅な軽量化を図り、ボディ剛性向上と安全性能向上のためロールゲージを組むなど一般のレーシングカー(N耐レベル)と同じ方法で製作された。
- そしてプリウスの特徴であるハイブリッドシステムにもチューニングが施され、エンジンは標準搭載のアトキンソンサイクル型からカローラ用の通常燃焼型(1NZ-FE)へ換装。インバーターシステムもチューニングされ昇圧性能を強化しシステム出力を大幅に向上させた。またバッテリーも直接外気を導入して冷却できるようリアドアにエアインテークが設けられた。また、タイヤ・ホイールはツーリングセレクション用の16インチ(タイヤはブリヂストン・POTENZAのハイグリップのものに変更)を装備し、ブレーキも欧州仕様車と同じ物(リアをディスク化)が採用されストッピングパワーを強化している。
- 将来的なワンメイクレース開催を見込んで同様のサーキット仕様が数台制作されたが、結局市販化されることは無かった。
2ndPriusinterior.jpg
室内 |
Toyota Prius Hinomaru Taxi.JPG
タクシー |
Prius Circuit Version .JPG
サーキットバージョン |
Prius mfd energy.jpg
システムモニター |
3代目 ZVW30(2009年 -)
| トヨタ・プリウス(3代目) ZVW30/35型 | |
|---|---|
|
フロント(前期型) リア(前期型) 内装(前期型) | |
| 販売期間 | 2009年 - |
| 乗車定員 | 5人 |
| ボディタイプ | 5ドアハッチバックセダン[1] |
| エンジン | 2ZR-FXE型 1.8L 直4 DOHC |
| モーター | 3JM型 交流同期電動機 |
| 最高出力 |
エンジン: 73kw(99PS)/5,200rpm モーター: 60kw(82PS) |
| 最大トルク |
エンジン: 142Nm(14.5kgm)/4,000rpm モーター: 207Nm(21.1kgm) |
| 変速機 | 電気式無段変速機 |
| 駆動方式 | FF |
| サスペンション |
前:ストラット式コイルスプリング(スタビライザー付) 後:トーションビーム式コイルスプリング |
| 全長 | 4,460mm |
| 全幅 | 1,745mm |
| 全高 | 1,490mm |
| ホイールベース | 2,700mm |
| 車両重量 | 1,310 - 1,490kg |
| ハイブリッド方式 |
HV(THS II) PHV(THS II Plug-in) 共にリダクション機構付 |
| 動力用主電池 |
ニッケル水素電池(HV) リチウムイオン電池(PHV) |
| プラットフォーム | トヨタ・新MCプラットフォーム |
| -自動車のスペック表- | |
車両概要
- 2代目から採用され、ハイブリッドカーならではのスタイルとして確立した「トライアングル・シルエット」を引き続き採用。3代目ではオーリスより採用された「トヨタ・新MCプラットフォーム」を採用したため、ボディサイズは2代目よりわずかながら大きくなり(全長+15mm、全幅+20mm、全高は同じく1,490mm[ノーマルルーフ車の場合])後席居住性確保のためルーフの頂点を後ろにずらしたものの、空気抵抗の低減策(アンダーフロアカバーの配置見直しや、ボディのコーナー部分の鋭角化による無駄な空気の流れをコントロールする工夫等)を講じることでcd値(=空気抵抗係数)は0.25と、2代目(0.26)よりも向上している。
- 3代目モデルでは、全体の9割以上を新開発した「リダクション機能付THS-II」を採用。高速域での燃費向上のため搭載エンジンを1.5Lの1NZ系から新世代のZR系1.8Lの2ZR-FXE型に変更し、モーターも改良により3JM型に変更された。また、トヨタ車では初となるエンジン冷却用の電動ウォーターポンプを搭載し、ベルトを廃止することでフリクションロスを低減した。またレクサスRX450hに先行搭載された「排気熱再循環システム」が採用された。これは従来捨てていた排気熱を、ヒーターやエンジンの暖気に再利用するというシステムで、冬季の燃費低減に効果をもたらすシステムである。さらにトランスアクスル・パワーコントロールユニット・ハイブリッドバッテリーの改良で小型軽量化されたことにより、世界トップクラスの低燃費(「L」の10・15モード燃費で38.0km/L)と2.4Lガソリンエンジン車並みのパワーを実現した。また、新開発の軽量化と薄型化を図った座席を採用している。
- また、当初予想されていたリチウムイオン二次電池ではなく安全性やコスト面の観点から、改良型のニッケル水素電池が搭載されたが、これまでの技術蓄積と専用部品を減らすことなどによってコストを削減し、同時期での2代目ホンダ・インサイトの低価格路線に対抗するために先代型(「EX」への一本化前)と比べ安価な価格設定となった(最低価格205万円=Lグレード)。
- インテリアではシャシーを共有するオーリスのようなセンターコンソールを設けた。これにより歴代モデルのような左右のウォークスルーが不可能になったものの、シフトレバーはセンターコンソールに移設され操作性の向上が図られた。[2] また、今までのモデルはハイブリッドシステムの作動状況を表示するために全グレードにエレクトロマルチビジョンが標準装備されていたが、コストダウンのため今回からそれらの情報はメーター内に内蔵された簡易型のディスプレイで表示するようになり、EMVは廃止された。
- 先代より採用された「インテリジェントパーキングアシスト」や「S-VSC」に加え、ステアリングスイッチの触れた場所をセンターメーターに表示する「タッチトレーサーディスプレイ」[3] を世界で初めて搭載した。
- ムーンルーフが歴代モデルとしては初めて設定され、さらにその後部へ太陽電池(ソーラーパネル)を搭載して発電した電力で駐車中の車内の換気を行う「ソーラーベンチレーションシステム」と、車外からスマートキーの操作でエアコンを作動させることができる「リモートエアコンシステム」を世界で初搭載した[4]このソーラーパネルは、京セラがトヨタ自動車と共同開発した(自動車特有の振動対策等を行なっている)世界初の自動車用ソーラーパネルで、京セラが自社の太陽光発電のテレビCMでも宣伝している[5]。 また、同システム搭載車は重量対策のために足回りが「TOURING selection」用のチューンドサスペンションに変更される(但し、タイヤは「S」と「G」に標準装着の15インチとなる)。
プラグインハイブリッド(PHV)
- 2009年12月より官公庁をはじめ『EV・PHVタウン』選定自治体や電力会社などの特定利用者に向けてプラグインハイブリッドのリースを開始。2011年の箱根駅伝では運営管理車としても提供された。
- 「S」グレードをベースとして(但しタイヤを「L」グレードに採用されている低燃費仕様のグッドイヤー・GT3へと変更し、センター+リアのフロアアンダーカバーとリアバンパースポイラー、そして雨滴感知式オートワイパーを標準装備している)、3代目で採用された「リダクション機構付THS-II」に高効率外部充電機構を追加し、駆動用電池にトヨタ製ハイブリッド車としては初採用となった「リチウムイオン電池」を組み合わせた「リダクション機構付THS-II Plug-in」を搭載。これにより、57.0km/L(プラグインハイブリッド燃費)という極めて高い燃費性能を実現すると共に、最大航続距離23.4kmのモーター走行(EV走行)と最高時速100km/hを実現した。また、電池の残量低下に伴うEV走行が不可能となった場合でも従来のハイブリッド車と同様に走行させることが可能である。[6]
- 型式はDLA-ZVW35-BHXEB、本体価格(参考)5,000,000円(2010年4月現在)。
- 価格は320万円弱に設定した[8]。
グレード
- 2代目に引き続き「S」と「G」を基本として、新設定の「L」を加えた3グレードとなる。さらに「S」と「G」には上級オプションパッケージの「TOURING selection」が設定される。
- L
- 先代型でも採用されたプリウス専用開発の低燃費エコタイヤ(グッドイヤー・GT3)と専用の軽量ダンパーをはじめ、空気抵抗の低減を狙いフロアアンダーカバー(センター&リヤ)や他車種に設定されていないリアホイルハウスライニングを標準装備し、さらに装備品を大幅に厳選して軽量化(他のグレードより40kg軽い1,310kg)を図った超低燃費仕様であり、本グレードのみcd値が0.25で10・15モード38km/Lをマークする。
- S
- 最量販グレードとなる標準仕様グレード。「L」にスマートキーや大型コンソールボックス、リヤセンターアームレストなどの装備が追加されている。タイヤは「L」より1サイズ幅広となる195サイズとなる[9]。
- G
- 「S」に上級ファブリックシート、パワーシート、雨滴感知式フロントワイパー、クルーズコントロール等の安全装備や豪華装備を追加搭載した上級仕様。
- TOURING selection
- 2代目より設定された、走行性能の強化を主眼に置いた上級のオプションパッケージである。
- エクステリアはトヨタブランド車初採用のLEDヘッドランプ[10]を装備して標準車との差別化を図る。車体底部にはフロアアンダーカバー(センター&リヤ)に加えリアバンパースポイラーを装備して空気抵抗を低減させた。
- モデル初採用の17インチアルミホイール、215/45R17サイズの低偏平タイヤ[11]、ブラシレスモーターを用いたよりクイックなパワーステアリング[12]、乗り心地を改善する入力分離式のアッパーサポートなどを装備している。
- 「G TOURING selection」には上述の装備に加え、本革シート、プリクラッシュセーフティシステム+レーダークルーズコントロール、ハイグレードタイプのHDDナビゲーションシステム(8スピーカー仕様)とインテリジェントパーキングアシストシステムが追加された最上級仕様の「G TOURING selection LEATHER package」が設定される。
販売
2009年5月18日に、販売開始した。車両本体価格の引き下げ(2代目モデル比)や2009年4月に施行された事実上の「ハイブリッド車優遇」ともとれる「エコカー減税政策」、さらに量産車では史上初のトヨタ4系列全店舗扱いの恩恵もあり、発売開始から6月17日までの1か月間の受注台数は月販目標(10,000台)の18倍(1年6か月分)にあたる約180,000台を受注。また納車は最大で約7か月待ちと自動車史上稀に見る「スマッシュヒット」となった(なお、2011年2月10日時点で約1週間程度の納車待ちとなり、納車までに数か月間を要した販売開始当初時に比べれば生産が落ちついている)。
また、2009年6月の新車販売台数ランキングで軽自動車を含めた総合でスズキ・ワゴンR(16,185台)を上回る22,292台を販売し、発売開始以来初めて首位を獲得した(ハイブリッド車での月間総合販売台数首位も史上初)。その後も2010年12月までの19か月連続で首位を獲得。フルモデルチェンジから1年以上経過後も安定した人気を誇った。さらに、2010年の年間販売台数が315,669台となり、1990年に記録したカローラの300,008台を20年ぶりに更新し、車名別による年間販売台数の歴代首位となった[13]。なお、2011年1月度はエコカー補助金の打ち切り等が響き、ハイブリッドモデルが設定されたホンダ・フィットや軽自動車のダイハツ・ムーヴに抜かれ3位に後退した。しかし、販売攻勢を強めたことで2月度は首位に返り咲いている。
2009年7月24日には「7月23日以降に受注した分は2010年4月以降の工場出荷になり、2010年3月末までの新車登録が期限となる「エコカー補助金」には間に合わない」との旨を、メーカーであるトヨタ自動車側から発表されるなど異例ともいえる緊急事態となった。[14]
主な日本国外仕様車
- 初代より世界各国で販売される同車であるが、各国の地域特性や現地事情に合わせるため、日本仕様車では同時装着することができない装備品(メーカーオプション品)を特別に組み合わせたグレードが販売されている。日本国外仕様車も生産はすべて日本で行われる。
- 北米仕様
- アメリカ、カナダの2カ国で販売。「I」から「V」まで5種類のグレードを用意する。うち最上級の「V」は日本の「Gツーリングセレクション」に相当し、LEDヘッドライトと17インチアルミホイール+タイヤを装備するが、日本仕様同様にムーンルーフ+ソーラーベンチレーションシステムの同時装着は不可であるものの、「V」の下に位置する「IV」は日本の標準仕様「G」グレードに相当するため、ムーンルーフ+ソーラーベンチレーションシステムが搭載できる。なお北米仕様の15インチホイールに組み合わされるタイヤは、日本仕様の「ブリヂストン・ECOPIA」に代わって横浜ゴムの「AVID」に変更され、ボディカラーと内装色にはベージュを設定。さらに2代目にも設定されていたJBL製のハイグレードオーディオが設定されている。
- 欧州仕様
- 欧州全域(EU加盟国)で販売。「T3」(日本仕様の「S」に相当)、「T4」(同「Sツーリングセレクション」)、「T-SPRIT」(同「Gツーリングセレクション」)の3タイプで、「T-SPRIT」にのみLEDヘッドライト+レザーシート+ムーンルーフ&ソーラーベンチレーションシステムの3つをメーカーオプションで同時搭載できるものの、ムーンルーフ+ソーラーベンチレーションシステムを搭載した場合のみ、車両総重量が大幅に増加するため17インチホイールは強制的に15インチサイズへと変更される。さらに北米仕様と同様にJBL製のハイグレードオーディオ(左ハンドル圏のみ)が設定され、LEDヘッドライトとセットで雨滴感知式オートワイパー+ECルームミラーもオプション設定される。なお、欧州仕様全車に寒冷地仕様が標準となる。
- オセアニア仕様
- 「PRIUS」(Gグレード相当)、「i-TECH」(Gツーリングセレクション・レザーパッケージに相当)の2タイプとなり、英連邦の右ハンドル圏となるオーストラリアとニュージーランドの2カ国のみで販売。最上級の「i-TECH」には、欧州仕様ではオプション扱いとなるムーンルーフ&ソーラーベンチレーションシステム+LEDヘッドランプ+雨滴感知式オートワイパー+ECルームミラー+8スピーカー仕様ハイグレードHDDナビ+ヘッドアップディスプレイが標準装備される(しかし、17インチアルミホイールは標準装備されないが、ニュージーランド仕様ではオプションで「i-TECH」にも17インチタイヤ+アルミホイールが装備可能となっている)。
- 韓国仕様
- 「Gツーリングセレクション・レザーパッケージ」に相当する単一グレードのみの設定であるが、ドアミラーのターンランプとLEDヘッドライトは省かれている(後者は韓国の法規に適合しないため)。代わりに前後のレンズサイドには北米仕様同様リフレクターが備わる。尚、リヤプレートに関しては現行規格であるEUサイズが入らないため旧サイズで対応する形となる。
2010 Toyota Prius II 3 -- 07-01-2009.jpg
北米仕様 |
Toyota Prius III 20090710 front.JPG
欧州仕様 |
Toyota Prius ZVW30 KOREA FRONT.jpg
韓国仕様 |
Toyota Prius ZVW30 KOREA REAR.JPG
韓国仕様 リヤ |
沿革
- 2009年1月
- 北米国際オートショー(デトロイト・モーターショー)にてワールドプレミア。
- 2009年5月18日
- 日本にて正式発表。同日販売開始。
- 2009年10月21日
- 日本カー・オブ・ザ・イヤー2009-2010受賞。初代モデル以来となる受賞となった。
- 2009年11月6日
- 2009年度グッドデザイン金賞を受賞。
- 2009年12月14日
- 家庭用電源など外部電源の導入による給電が可能な「プラグインハイブリッド(PHV)」の市場導入を発表[1]
- 2010年2月9日
- 制御装置(ABS制御コンピュータ)の不具合の為、国土交通省へリコールを届出(同様のシステムを持つSAI、レクサス・HS250hもリコールを届出)。リコールの対象は2010年1月27日までに製造された3代目のZVW30型と2010年2月5日までに製造されたZVW35型(プラグインハイブリッド)で、ZVW30型については翌2月10日より無償修理を開始、修正用プログラムの準備のため遅れていたZVW35型も2月27日から修理受付を開始した[2]。なお、2010年1月8日までに製造されたZVW35型については、リコール修理と共にサービスキャンペーンの修理も行われる[3]。
- 2010年10月7日
- 2010年9月末時点で初代モデル発売からの累計販売台数が200万台を突破したことを発表。
- 2010年10月19日
- 同年7月にトヨタが発売するハイブリッド車の国内累計販売台数100万台達成を記念した特別仕様車「S"LEDエディション"」、「G"LEDエディション"」を発表(11月1日販売開始)。本仕様では「S」・「G」をベースにLEDヘッドランプ(ロービーム・オートレベリング/ポップアップ式ヘッドランプクリーナー付)を装備すると共に、「S"LEDエディション"」ではアクアとミストグレーのツートーンスエード調ファブリックシート表皮(ダブルステッチ付)、本革巻き4本スポークステアリングホイール、ファブリック巻き大型コンソールボックス(ダブルステッチ付)を装備。「G"LEDエディション"」はブラックとバイオレットのツートーン本革シート表皮(バイオレットのダブルステッチと運転席・助手席ヒーター付)、本革巻き4本スポークステアリングホイール(バイオレットステッチ付)、ブラックソフトレザーのドアトリムオーナメント&ドアアームレスト表皮、専用ゴールド加飾などを施した仕様である。
- 2011年5月13日
- プリウスのワゴン・ミニバンモデルプリウスαを発売。
- 2011年6月13日
- 特別仕様車「S"LEDエディション"」・「G"LEDエディション"」を一部改良(同年8月1日販売開始)。ボディカラーに専用色のライトブルーマイカメタリックとブロンズメタリック、カタログカラーのブラックとレッドマイカメタリックの4色を追加し全8色に拡大。さらに、「S"LEDエディション"」では内装色にミディアムグレー、シート表皮にミディアムグレーとブラックのツートーンスエード調ファブリック(ミディアムグレーのダブルステッチ付)の設定を、「G"LEDエディション"」にもシート表皮にブラックとブラウンのツートーン本革(ブラウンのダブルステッチと運転席・助手席ヒーター付)の設定をそれぞれ追加した。
- 2011年11月29日
- マイナーチェンジ(同年12月19日販売開始)。エクステリアはフロントフェイス・リアコンビランプ・ホイールキャップのデザインが変更され、ディスチャージヘッドランプを新設定。さらに、「L」を除く全グレードのクリアランスランプをLEDに変更した。ボディカラーはボルドーマイカメタリック、フロスティーグリーンマイカメタリック、ライトパープルマイカメタリックの3色を追加した8色(ダークブルーマイカ、アクアブルーメタリック、アイスバーグシルバーメタリックは廃色)を設定。インテリアはシフトノブ周りやステアリングスイッチベースに高輝度シルバー塗装を施し、シートカラーにメーカーオプションの2トーンカラー(「S」・「S"ツーリングセレクション"」・「G」・「G"ツーリングセレクション"」に設定、グレードにより2トーンカラーの種類は異なる)を設定し、コンソールボックスのカップホルダーをオープン収納式に変更。また、「G」・「G"ツーリングセレクション"」はスーパーUVカットガラス(フロントドア)とJBLプレミアムサウンドシステムを採用した。併せて、自社開発のスポーツコンバージョン車「G SPORTS」の新モデルとして、「S"ツーリングセレクション・G's"」を追加(12月26日販売開始)。「S」をベースに、"ツーリングセレクション"の装備に加え、サスペンションのコイルスプリングやショックアブソーバーにチューニングが施され、ボディ剛性も向上。高剛性と軽量を兼ね備えた専用18インチアルミホイール、専用バンパー、大径マフラー、フロントLEDイルミネーションビーム等を装備し、ヘッドランプ・リヤコンビネーションランプにはブラック加飾、インパネ・ドアトリムにカーボン調加飾、ペダル類にアルミ製を採用した。
- 同日に、「プリウスPHV」の受注受付が開始された[4]。
TOYOTA PRIUS ZVW30 G's 01.jpg
後期 G's フロント |
TOYOTA PRIUS ZVW30 G's 02.jpg
後期 G's リヤ |
ハイブリッドシステムの特性
システムの利点及び欠点を以下に挙げる。
ハイブリッドカーの項目も参照。
利点
- 従来車と変わらないガソリンスタンドでの燃料補給のみで電気自動車(EV)の長所を享受できる。すなわち、ハイブリッドカー(HV)のために新たなインフラを整備する必要が無い。
- ガソリンエンジンの効率が悪い低回転域では、低回転トルクに優れる電気モーターを使用して効率的に発進・加速できる。
- 極低速時などモーターの動力のみで駆動できるときや、停止中のエアコン使用時でも、HV(=ハイブリッドビークル)バッテリーの充電状況が十分であればエンジンを停止できるアイドリングストップ。
- 減速時にエンジンを停止(速度によってはガソリン供給のみを停止)し、運動エネルギーをモーターによって発電して回収しさらに充電することが可能な回生ブレーキを搭載する。その結果、ブレーキパッドの磨耗等が少ない。
- プリウスは、「シリーズ・パラレルハイブリッド」という方式を採用しているため、速度域や加速・減速といった条件変化によって、「エンジンのみ」「モーターのみ」「エンジン・モーター併用」の切り替えを頻繁に行い、燃費効率を上げている。ゆるい下り坂では、エンジン・モーターともほとんど作動させないまま走行することも可能で、走行中の燃料消費量を減らす事が出来る。
- THSには、一般的なトランスミッションに必要な多数のギアやトルクコンバータを使わずに済む為、凝った構造の割にはコスト面の不利は少ない。
- 電気モーターのみの電気自動車に対してもう一方の動力機関であるガソリンエンジンを搭載するハイブリッドカーは、エンジンの動力はもちろん回生ブレーキなどから発生する電力で電池への充電が可能であるため、外部から給電する必要がない。すなわちEVが抱える問題点の一つである航続距離の点においても有利であるといえる。
欠点
- ハイブリッドシステムの限界
- ハイブリッドカーの燃費性能には計測環境の違いにより、カタログ表記の燃費と実用上の燃費の差が大きい。
- 制御上、短時間でストップ&ゴーが連続する市街地走行ではその長所を発揮することができるが、山や峠を上り下りするような連続しての上り坂や下り坂の場合はシステムの性能を十分に活かしきれない場合がある。
- 長い上り坂ではモーターアシストでバッテリーを使い切った後、モーターやバッテリーの重量が負荷となるし、長い下り坂ではバッテリーが満充電となるために回生失効となり、回収できなくなる。高速道路ではエンジン停止することが少ないため、基本的なエンジンの燃費性能と空力性能に依存することになる。
- エコカーに厳しい評価を下すことで有名なBBCの自動車番組『トップ・ギア』が専用サーキットで行った2代目とBMW・M3の燃費比較テストを行っている。「プリウスが全開でサーキットを攻め、M3がその後をぴったり追走する」と言う内容で、M3の方が燃費が良かったとしているが、M3は終始スリップストリームに入っており、欧州モード燃費値からも計測の正当性には疑問がある。
- LCA
- 有害物質の排出量軽減という観点では、確かに走行中の有害物質の排出は少ない。しかし、バッテリーやインバーター素子を含むハイブリッドシステムの部品の製造と廃棄に伴う有害物質の排出量は、ハイブリッドシステムを搭載しない車両よりも明らかに多いものとなる。このため、車両のライフサイクル全体における有害物質排出量の総合では、従来のガソリン車との比較という形で謳われているほど軽減されていないという指摘がある。
- トヨタは資源採取から廃棄・リサイクルまでの各段階で、クルマが環境に与える要因を定量化し、総合評価する手法LCA(ライフ・サイクル・アセスメント)を計測し、「旧型のガソリン車」よりも、10年10万km走行時の環境負荷が二酸化炭素換算で約43%低いとしている[1]。
- 寿命に関する懸念
- 高性能な燃費を支える主要部品であるインバータや駆動用のHVバッテリー等は、運用によって発生する熱や電圧、あるいは充放電サイクル等によって必然的に疲弊・劣化する。そのため、車両やエンジン本体の寿命よりも短い周期で、ハイブリッドシステム用部品の交換が必要となる可能性がある。
- 初代プリウスは、インバーターの有償交換には実費で約40万円、バッテリーはリサイクルバッテリーを使用した場合、11万円程度とされていたが、出力制限警告灯などが点灯する不具合によるサービスキャンペーン(経年・走行距離・交換履歴を問わないため実質交換回数が無制限)が、NHW11にはバッテリー液漏れ不具合によるサービスキャンペーンがメーカーから公開されている。なお2代目NHW20のバッテリー交換費用は13万円程度である。2代目以降はバッテリーの性能が改善し短期間で交換が必要になったという報告はほとんど無く、メーカー側は名目上「5年または10万km」の保証期間としている。
- 低騒音ゆえの問題
- 低速域ではエンジンが停止しモーター走行となるため、通常のガソリン車よりも走行音が極端に小さい。アイドリングストップ状態から発進した直後では走行音が全くない場合もある。そのため歩行者に気付かれにくい、気付いてもらえない場面がしばしば見られる。特に、視覚障害者は周囲の状況を走行音などの音場で認知するため危険に晒されやすい。低速域でのことであるため重大事故にはつながりにくいとはいえ、ユーザーともども悩ませている問題である。さらに、走行音が小さいことを悪用した犯罪も実際に発生している[2]。
- なおこの点に対してはトヨタも一部対策を行っており、2010年8月には3代目プリウス用として、車速が時速25km以下の場合にスピーカーから音を発して車前方の人間に接近を知らせる「車両接近通報装置」をオプション設定している[3]。2011年11月のマイナーチェンジでは車両接近通報装置を標準装備した。
評価
- 同等クラスのガソリン車と比較すると、燃費では高い経済性を持つが、車両本体価格が高く、価格差を燃費で相殺するまでには相当な走行距離を要すると言われてきたが、3代目では価格が先代に比べ最大30万円程度安かったため、ホイールベースや標準の車両安全装置やカーテンエアバッグの装備を考慮すると事実上の価格差はほとんど無い。[4]。
- しかし、プリウスは単に燃費性能が良いというだけではなく環境負荷の低減や先進的なEV機能などを評価して購入すべきであるという見方も強い。実際、アカデミー賞に俳優がプリウスに乗って登場したように、プリウスは環境に良いというブランドイメージを築いており、好調な販売成績を挙げている。
- アメリカにおいてもプリウスは非常に人気が高い。カリフォルニア州では州の厳しい規制をパスした当時唯一のガソリンエンジンの実用車としてプリウスが話題を呼び、環境問題に積極的な富裕層を中心として次々にプリウスを購入したことから、ハリウッド・スターなどのセレブリティも環境問題に積極的であるということをアピールするためにこぞってプリウスを自家用車に選ぶ、という時期もあった。中でもレオナルド・ディカプリオは数台購入したといわれる。現在でも、原油価格が高騰から人気が冷めず、最長で半年待ちとなるほど予約が殺到しているという[5]。しかし一方では、環境問題に積極的な姿を誇示する一部のプリウス所有者を不快に感じる人や、ハイブリッド車に乗らない人は環境問題に消極的であるかのように扱われることに反感を抱く人もおり[6][7]、プリウスは単に環境破壊の免罪符にはならないとする声もある[8]。
- ディーゼルエンジンとマニュアルトランスミッション指向の強いヨーロッパにおいても、環境問題への関心の高まりから、イギリスなどを中心に高い評価を得ている。2007年のフランクフルトモーターショーをはじめ、大陸ヨーロッパでも積極的なプロモーションが始められた。2000年に発売されたヨーロッパでは、2007年8月までに約10万台のトヨタ・ハイブリッドが販売された[9]。トヨタのハイブリッド車は同年5月に販売累計が100万台に達していることから、その約1割が欧州市場での販売であったことになる。イギリスのAmberjac Projects社では、プリウスに搭載されたニッケル水素電池をリチウムイオン電池に載せ換えて、燃費や航続距離を改善するという改造を行なっている。
日本国外での受賞
- 北米カー・オブ・ザ・イヤー(2004年/平成16年) - 2001年(平成13年)にもノミネート
- ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー(2006年/平成18年) - 37人の審査員からの最高得点を得て計406点で1位を受賞
他、多数の受賞がある。また、ヨーロッパの自動車衝突安全テストユーロNCAPでは、星5つの評価を得ている。
レンタカー
一方、一部のレンタカー会社(及び地域)で車種をプリウスに限定したキャンペーンが行なわれることがある。この場合のレンタル料金は一般車種とほぼ同額であり、利用者にとっては自分で購入するのと異なり車輛価格が高額であることを意識せずに済む上一般に燃料費も安くつき(走行距離が長ければ若干レンタル料金が高くても燃料費の差額で十分元がとれてしまう)、またレンタカー会社としても車輛の回転効率を上げることで初期費用を早く回収することができるので、利用者と所有者のどちらにとっても有益であり、ハイブリッド車の普及を図る上では非常に有効な手段であると言える。なお、トヨタレンタリースではこれまでカローラと同じP3クラスだったが、2008年10月1日以降予約分はプレミオ/アリオンと同じP4クラスに変更され、値上げとなったが、2009年5月1日以降はP3クラスに戻され、値下げとなった。同年6月から順次導入されている3代目はP4クラスの料金が適用される(2代目と3代目では排気量が異なる為、P3クラスの2代目には(1.5L)、P4クラスの3代目には(1.8L)と表記し区別されている)。アメリカ合衆国の大手レンタカー会社では、2007年7月現在エイビス・レンタカー(Avis)が約1,000台のプリウスを保有するほか、ハーツ・レンタカー(Hertz)が2008年までに3,400台のプリウスを導入し、ニューヨーク市などハイブリッド車の需要が旺盛な地域に重点配備することを発表した[10]。エイビス・レンタカーはイギリスでもプリウスを保有し、ロンドンなどに配置している[11]。
また、2010年7月4日からはトヨタレンタリース長崎管轄の福江店(長崎県五島市)において、プリウスプラグインハイブリッドのレンタカー貸出を開始。これは、長崎県が経済産業省のモデル事業である「長崎県EV・PHVタウン」の主要プロジェクトとして五島地域で展開する未来型ドライブ観光システム「長崎EV&ITS(エビッツ)」に協力し、プリウスPHVを福江店へ2台配備される。一般ユーザーがレンタカーでPHVを運転できる国内唯一の店舗となる[12]。
販売店
初代はトヨタ店のみであったが、2代目からはトヨペット店が加わり、2チャンネル併売となった。また、販売台数も2代目からは格段に増え、発売後半年経っても、購入から納車まで数か月待ちという事態も起きた。3代目ではカローラ店とネッツ店にも販売網を広げ、レクサス専売店を除くトヨタの全販売店で販売を開始した。トヨタの全販売店で販売する車種の登場は、トヨタが現体制になった1982年以降では2000年に限定生産されたオリジンの例があったのみで、限定生産車以外では初めてとなる。なお、2代目モデルもグレード体系などを見直し、ビジネスユーザー向け新グレード「EX」に一本化し継続販売される(取扱いは従来どおりトヨタ店とトヨペット店)。低価格路線を打ち出しているホンダ・インサイトに対抗するため、「EX」の車両本体価格はインサイトの「G」と同じ189万円に設定。3代目モデルも205万円からの価格設定にした。
車名の由来
- PRIUS ラテン語で「~に先立って」の意味。ちなみに、かつて日立製作所が発売していた同名の家庭用パソコン「プリウス」(こちらはP以外のアルファベットを小文字にして、"Prius"と表記する)も全く同じ意味でネーミングされたもので、こちらは1年早い1996年に発売された。また、Pはプレゼンス(存在感)、Rはラディカル(技術的革新)、Iはアイデアル(理想)、Uはユニティ(調和)、Sはソフィスケート(洗練)を意味するキーワードとしている。[13]
その他
- 2002年に週刊少年マガジンで製作したスタッフチーム等の苦悩を描いた漫画「プリウス~21世紀への翼~」が掲載された(作画は日和一吾)。
- 一般的にスポーツグレードを持たない実用車種にはエアロパーツやサスペンションキットなどのチューニングパーツはあまり発売されないが、2代目プリウスでは空気抵抗を減らして燃費をさらにあげるためのボディキットが発売されたり、またTRDやトムスなど、アフターパーツメーカーからもマフラーやホイール、サスペンションキットなど改造部品が販売されている。
- 大阪トヨペットグループでは、レーシングドライバーの片山右京と共同開発したカスタマイズカーである「ENERGY MASTER [1]」を発売。「究極の環境性能を誇るエコカー」をテーマに、環境問題にも執心であるプロデューサーの片山氏の意見を取り入れて足回りの軽量化のため、専用の超軽量アルミホイールを開発した(ちなみに、17インチサイズで1本5Kgの軽量化に成功している)。タイヤには横浜ゴムのエコタイヤである「DNA Earth-1」が採用され、さらに空気抵抗を低減し燃費をさらに向上させるエアロパーツセット(オプション品)も用意されている。
- 3代目モデル(ZVW30型)の発表を2週間前に控えた2009年5月2日よりTBSラジオにて、「TOYOTA PRIUS Presents 高樹千佳子のハイブリッドな週末」というタイアップ番組を放送開始。パーソナリティには、車や音楽好きでも知られるタレントの高樹千佳子を起用し、高樹がプリウスを実際にドライブしながらゲストとのトークや開発スタッフとのプリウス開発秘話、そして高樹によるプリウスの試乗インプレッションを交えた新感覚の番組で、車内外の走行音やウインカーの作動音などもそのまま収録されている。
- ハリウッドスターのみならず日本の芸能界でも2代目モデル以降は多くの芸能人が所有しており、「環境負荷の低いハイブリッドカー」という高級輸入車とはまた一味違った“ステイタス”のクルマとしてプリウスは認知されている。ただ、ハリウッドではプリウスよりもCO2排出量の少ない電気自動車のスポーツカーであるテスラ・ロードスターや燃料電池車ホンダ・FCXクラリティ(リースのみ)などに乗り換える動きも既にある。現に、プリウスを購入したレオナルド・ディカプリオは、後にテスラ・ロードスターへと乗り換えた[14]。
- 一般的に新型車が発表された際は自動車関連のニュースや一部の経済ニュースでは報道されるものの、一般紙や通常のニュース番組で報道されることは殆ど無い。だがプリウスに関しては、報道発表会の模様や試乗インプレッションが一般紙やニュース番組で特集を組んで報道されている。
- ナゴヤドームのトヨタグループの電動回転広告板には「魅せろよ プリウス」と表記されている。
- ゼネラルモーターズのダニエル・アカーソンCEOは「さえない車」「おたくの車 (geek-mobile) 、私だったら絶対に乗らない」とこき下ろした[15]。
- 3代目で派生車種が誕生したことで英語表記での複数形が必要になったことから、米国トヨタ自動車販売ではホームページ上の投票で応募を受け付けた結果、2011年2月に複数形を「Prii(プリアイ)」とすることを発表している[16][17]。
脚注
- ^ toyota.jp プリウス>環境仕様
- ^ 静かなプリウスでひったくり 被害者「走行音聞こえず」 asahi.com 2010年4月15日。
- ^ トヨタ自動車、3代目プリウス用「車両接近通報装置」を発売 - トヨタ自動車・2010年8月24日
- ^ 。
- ^ “プリウス、モデルチェンジ前でも納車2ヵ月待ち。ハイブリッドカーひとり勝ち状態続く”. MONEYzine (2008-08-12). 2011-01-10閲覧。
- ^ “Green With Envy: Prius Owners Smile as Neighbors Fume”. FOXNews.com. 2008年10月11日閲覧。
- ^ “Celebrity Hybrid Drivers”. hybridCARS. 2008年10月11日閲覧。
- ^ “【地球をどうしますか 環境2008】米国に浸透するハイブリッド車”. 産経ニュース. 2008年10月11日閲覧。
- ^ “ハイブリッド攻勢のなかでトヨタのブースは?!(前編)”. 日経BP (2007-09-12). 2009-10-05閲覧。
- ^ Jennifer Conlin (2007-07-01). “IN TRANSIT; Rental Fleets Go Hybrid To Attract the Green Set”. New York Times 2009-10-05閲覧。
- ^ “Avis introduces the Toyota Prius to UK Fleet”. easier.com. (2007-06-25) 2009-10-05閲覧。
- ^ “トヨタ自動車、トヨタレンタリース長崎 福江店(長崎県五島市)でプリウス プラグインハイブリッド(PHV)のレンタカー貸出を開始”. トヨタ自動車:ニュースリリース. (2010-07-02) 2010-07-03閲覧。
- ^ 第330弾『新型プリウスのすべて』18ページ
- ^ Leonardo DiCaprio's New(Green)sports car ハフィントン・ポスト2008年12月28日
- ^ プリウスは「オタクの車」GMのCEOが発言AP・共同
- ^ ラテン語の文法では-usで終わる名詞の複数形は-iiであり、それに従えばPriiは「プリイイ」と読む。
- ^ プリウス、複数形は「プリアイ」=一般投票で決定-トヨタ - 時事通信・2011年2月21日
参考文献
- モーターファン別冊 ニューモデル速報 第330弾『新型プリウスのすべて』三栄書房、2003年9月 ISBN 4-87904-690-6
- モーターファン別冊 ニューモデル速報 第426弾『新型プリウスのすべて』三栄書房、2009年7月 ISBN 978-4-7796-0619-9
関連項目
- トヨタ・プリウスα(プリウスのワゴン・ミニバンモデル)
- プライムアースEVエナジー(HVバッテリーの製造メーカーで、トヨタとパナソニックの合弁。旧・パナソニックEVエナジー。)
- Honda IMAシステム(本田技研工業のハイブリッドシステム)
- ホンダ・インサイト(本田技研工業のハイブリッド専用車)
外部リンク
- toyota.jp プリウス
- toyota.jp プリウスPHV
- トヨタプリウス(ヨーロッパ)
- Amberjac Projects社
- 1998年度グッドデザイン賞受賞の概要 - グッドデザイン賞公式サイト
- 2003年度グッドデザイン大賞受賞の概要
- 二代目プリウスのユーロNCAPの評価詳細
- 三代目プリウスのユーロNCAPの評価詳細
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