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バトル・ロワイアル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

バトル・ロワイアル』 (BATTLE ROYALE) は、高見広春小説、及びそれを原作とした漫画、映画作品。略称は「バトロワ」「BR」。また、しばしば「バトル・ロワイル」と表記されるが、 正しくは「バトル・ロワイル」である。

目次

概要

中学生達が殺し合いを強いられるという内容。第5回日本ホラー小説大賞の最終候補に残ったものの、審査員からは「非常に不愉快」「こう言う事を考える作者が嫌い」「賞の為には絶対マイナス」等、多くの不評を買い、受賞を逃す[1](選者の一人が後に書くところによると、最大の落選理由は作品的に落ちるからであり、しかしおもしろいから売れるだろうと、別の場で語り合っていたとされる[2])。 その後、1999年4月太田出版から刊行され、先述の事情と共に話題を呼ぶ。2002年8月には最低限の修正(ミス部分など)を施した上で文庫化され、幻冬舎より刊行された。

ヤングチャンピオン』(秋田書店)にて田口雅之作画で2000年から2005年の5年間に渡って漫画版が連載された。青年雑誌連載だったためか、原作や映画がアクションや心理描写に重点を置いたサバイバル人間ドラマであるのに比べ、こちらは殺害シーンの残酷描写や性描写に重点をおいた際どい内容となっている。尚、原作や映画には性描写はほとんどない。また、同誌にて、2011年No.3から『バトル・ロワイアル 天使たちの国境』が連載開始された。この作品は、灯台に籠った6人の女生徒達を中心に描いたスピンオフ作品である。

また、深作欣二監督藤原竜也主演で映画版の『バトル・ロワイアル』が2000年12月6日に公開された。公開前には国会でこの映画に関する質疑がなされ、また西鉄バスジャック事件を初めとする“少年犯罪”が注目された時期でもあり、社会的関心を集めた事で話題を呼び、大ヒット作となった。

題名の「ロワイアル」はフランス語読み。執筆段階では「バトル・ロイヤル」と言う英語の題名だったが、作者が友人に見せて感想を求めた所、フランス語好きだったその友人による「フランス語で読むと『バトル・ロワイアル』だな」との返事から、語感がよかったので題名を変更した。正しく仏訳すると「La Bataille Royale」(ラ・バタイユ・ロワヤル)になる。

以下、原作の設定を中心に記述する。漫画版、映画版もこの設定に準拠するが、体制、小道具の名前等々、異なる点は幾つも存在する(原作と漫画版は大東亜共和国という架空の国、映画版は現在の日本の体制の延長線上)。


注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。


あらすじ

極東の全体主義国家「大東亜共和国」では、西暦1947年より、全国の中学3年生のクラスから厳正なる抽選の結果抽出された50クラス(1949年以前は47クラス)に対して、「戦闘実験第六十八番プログラム」と呼ばれる殺人ゲームを実施していた。

西暦1997年、七原秋也ら香川県城岩町立城岩中学3年B組の42人は、修学旅行へ向かう筈のバスで眠らされ、ゲームの舞台となる小さな島、「沖木島(おきしま)」へ送り込まれた。極限状態の中、クラスメイトによる最悪の椅子取りゲームが始まる。

プログラムの概要

正式名称「戦闘実験第六十八番プログラム」。選抜された中学三年生のクラス全員を、隔離されたエリア(離島や、電気鉄条網と警備兵によって外界と隔絶された廃屋、山間部など)で生存者一人になるまで互いに殺し合わせるもの。施行時は大規模な反対運動が起こったが、現在では忌み嫌われているものの表立って反対するものはいない状況。

表向きは「防衛上の理由から陸軍が行う実戦シミュレーション」とされているが、実際は反政府運動や革命が起こることを防ぐため、「互いに見知った人間同士の殺し合い」という状況を日常のものとすることで国民の間に相互不信を生み出すことが目的。また、政府高官によって、誰が生き残るかの賭けが行われている。

優勝者には、総統直筆の色紙と一生涯の生活保障が与えられるが、強制的に他県に転校させられ、プログラムについて語らないように政府から厳命される。

映画版では、新世紀教育改革法(通称BR法)によって「子供に対する恐怖支配で大人の権威を復活させるため殺し合いを強いる」という設定になっており、対象のクラスは原作の毎年50クラスに対して1クラスとなっている。

ルール

基本的に反則は無い。エリア内の施設は電気や水道が止まっているが、エリア内の施設から武器等を調達しても、私物を武器等に使っても、寝込みを襲っても、徒党を組んでも構わない。とにかく最後まで生き残った1名のみが優勝者となり、家に帰る事が出来る。

支給される品物

生徒達にはそれぞれ、僅かな食料、1リットルの水が入ったボトルが2本、地図方位磁針時計懐中電灯、そして特定の武器が与えられる。

武器は全員に渡されるが、その種類は様々で、ショットガンサブマシンガン等の殺傷能力の高い武器や、GPS防弾チョッキの様な補助的ツールもあるが、中にはフォークブーメラン等のハズレの武器(映画版はハリセン鍋蓋など、よりシュール)もある。これは戦いに不確定要素を盛り込み、全員に少しでも優勝の可能性を与える為である(武器支給が平等だと、弱者・強者が明白になる為)。

首輪

このゲームを成立させる上で、最も重要なアイテムがこの首輪(正式名称:ガダルカナル22号)である。生徒達には必ずこれが装着させられている。

それぞれの首輪には発信機が付いており、生徒の現在位置と生体反応を常に送信し続けている。これにより、政府が生き残っている生徒の数とその現在地を把握する。また、これには爆弾も取り付けられていて、首輪を無理に外そうとしたり、禁止エリアに侵入したりした時などに爆発する様になっている。防水も完璧。

更に、生徒達には知らされていないが、この首輪には盗聴器も内蔵されており、これによって逃げ出そうとしたり反抗しようとしたりする者に先手を打ったり、最悪の場合は政府が即座に遠隔操作でその生徒の首輪を爆破する事もある。

電気回路をいじることができ、内部構造を知っている者であれば、ラジオなどに入っている部品を使って簡単に外すことも可能である。ただし内部構造は国家機密。

禁止エリアの進行

このゲームでは禁止エリアが設定されている。このエリアに足を踏み入れると、首輪が爆発する仕組みになっている。

始めに、睡眠ガスで眠らせる等して強制的に会場まで連れて来られた対象クラスの生徒全員を一箇所に集めて、プログラムの開会式とルール説明が行われる。試合が開始された後、予めくじで決定された生徒(基本的に最初に出発した生徒の方が有利になるので、公平性を保つための措置。作中行われたプログラムでは偶然男子1番から出発となった)から順に、政府の兵士達がいるスタート地点から2分おきに一人一人を出発させる。全員出発した20分後を以て、そのスタート地点から半径200mが禁止エリアとなり、その後は最初の定時放送の1時間後から2時間毎にエリアが3つずつ増えて行く。禁止エリアの座標はコンピューターによって不規則に決められるので、どこが禁止エリアになるのかは放送を聞くまで分からない。禁止エリアの範囲は政府から支給された地図に記されているが、地面に目に見える線やロープが存在する訳ではない。

基本的にこのゲームは一箇所にじっとしていた方が得策なので、それを防いで強制的に生徒達を移動させ、他の生徒達と遭遇する様に仕向けるためのシステムである。一度禁止エリアに設定されたエリアはゲーム終了まで解除されることがないので、時間が経過するに連れて自然と行動範囲が狭められ、遭遇率が高くなるのである。

定時放送

ゲーム中には1日4回、午前と午後の0時と6時に放送が流れる。放送では、ゲーム開始後または前回放送後からその時の放送までの間に死亡した生徒の名前が名簿順(映画版では死亡順)に読み上げられる。その後に、放送から1時間後、3時間後、5時間後の禁止エリアの座標が告知される。優勝者が決定した時も、放送によってその旨のアナウンスが行われる。なお映画版の場合、最初にラデツキー行進曲など有名なクラシック音楽が流れる。

タイムリミット

このゲームにはタイムリミットがあり、24時間に渡って死亡者が出ない場合は時間切れとなる。時間切れになると生存者全員の首輪が爆破され、優勝者無しとなる。しかし、時間切れによって決着したケースは全体の0.5%程度しかなく、タイムリミットになる事は極めて稀であると言える。

ちなみに映画版では、首輪に内蔵されているバッテリーの関係でタイムリミットは3日間となっている。

登場人物

用語

大東亜共和国 (だいとうあきょうわこく)
本作の舞台となる架空の全体主義国家。作中に登場した地名のうち城岩町、沖木島は架空であるものの、香川県高松市善通寺市志度町神戸市梅田大阪)と言った日本に実在する地名が出て来る事から、地理的には日本に限りなく近い風土である事が分かる。しかし、国家元首総統であり、志願制ではあるが軍隊(専守防衛軍と呼ばれる)が存在し、準鎖国体制が採られている、南樺太を実効支配している、アメリカ米帝と呼ぶ反米国家である等(オリンピック等でもアメリカを敵視している)、社会体制は全く違っており、また「前口上」にて「ある異なる世界」と称して、日本と思われる国で実在のプロレスラーによるバトルロイヤルの場面が描写されている事から、本編の舞台はいわゆる日本のパラレルワールドであると考えられる。国際的には孤立しているが、高い技術力と産業基盤を持っており(高性能軍事衛星でプログラム会場を撮影するなど。わずかに遅れている分野としては宇宙技術とコンピューターがあげられている)、国民の生活水準はかなり高く、国民1人あたりのGNPは世界一。少子化が国の問題になっている。なお、国名や中国大陸を自国の領土と主張している点など、大アジア主義的に東アジア全域の支配を目指しているようにも思えるが、かつて朝鮮半島南半部に存在した全体主義国家「南鮮共和国」とは友邦関係にあったことから、それはイデオロギーとしてのある種の方便と考えられる。
その体制は作中で「特殊な国家社会主義体制」と呼ばれており、戦前大日本帝国を基本として、ナチス・ドイツソ連北朝鮮等の独裁国家を模している。国内には言論統制や思想教育が徹底されているが、一般市民レベルの生活そのものは現実の日本社会とあまり大差はなく(ガス抜きの意味合いもあってか、信教の自由や外来語・外国文化も「敵性」「退廃的」とされたものを除けば認められている)、また心の底から「国家への忠誠」を持つ国民はあまりいないと見られる。総統は数千年にわたり代々この国を支配してきたとされるが、実際は12代76年の歴史に過ぎない。武家政権を打倒して成立したらしいが、国家成立以前の歴史を捏造して国民を教育しているようである。また、「総統」自体が国民統合のためのシンボルで、実在しない指導者という見方もある。ちなみに漫画版での国旗は旭日旗にそっくりの図画である。
沖木島
香川県内の島。今回のプログラムの舞台。周囲約6キロの有人島だが、住民はプログラム開催に際して、一時的に強制退去させられている。
慈恵館
香川県城岩町のカソリック系孤児院。七原秋也、国信慶時が住んでいる。
四月演説
1947年、第317代総統が、反プログラムの過激派に対し、プログラムの正当性を説いた有名な演説。
大東亜ネット
大東亜共和国内の情報通信ネットワーク。
外国へのアクセスは禁止されており、国内のみに限定されているイントラネット。基本的に世界各地に繋ぐ事が可能で、技術力のある者は改造して利用している。
南鮮共和国・韓半民国
朝鮮半島の国家。朝鮮半島南半分を支配していた南鮮共和国は大東亜共和国と友邦関係にあった独裁国家で朝鮮半島北半分を支配していた韓半民国はアメリカと友邦関係にあった国家。1976年に韓半民国が南鮮共和国を滅ぼして朝鮮半島を統一している。
映画版では「北朝鮮」という国家名が出てくる事から、朝鮮半島は分断されていると思われる。
アメリカ
大東亜共和国と敵対関係にある国。能力さえあれば移民でも大したハンデはなく、世界から注目の的となっており、優秀な学者が集まっている国とされている。一方で大東亜共和国政府からは暴力や麻薬や同性愛でめちゃくちゃになっており過去の遺産で持っていると評されている。

その他

書籍情報

脚注

  1. ^ バトル・ロワイヤル研究委員会編『バトルロワイヤル The MOVIE 完全攻略ガイドブック』角川書店 2000年 91頁
  2. ^ 週刊文春2004/7/1号[1]
  3. ^ 高見 広春, 「バトル・ロワイアル」制作委員会, ギンティ小林 「バトル・ロワイアル・インサイダー」(太田出版)

関連項目

外部リンク