1. TOP
  2. Kiraku辞典
  3. メインページ

ベンジン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ベンジン (benzine) は、原油から分留精製した揮発性の高い可燃性の液体であり、主として炭素数5~10のアルカン(飽和炭化水素)からなる混合物である。揮発油(きはつゆ)、ナフサ(naphtha)、ガソリン(gasoline)、石油エーテル(せきゆ—、petroleum ether)、リグロイン(ligroin)などとも呼ばれるが、用語の使い分けは地域や文脈によって著しく異なっている。日本では概ね、分留で得られる半製品をナフサ内燃機関用に調製された製品をガソリン、溶剤などそれ以外の用途に用いられる製品をベンジンと呼ぶ慣行がある。

目次

概要

ベンジンは非極性溶媒であり水には不溶だが、エタノールジエチルエーテルなどと自由に混ざり合う。 揮発性が高く、引火しやすい。

沸点留分であるナフサを、濃硫酸で処理し、アルカリで中和後水で洗浄、脱水したのち蒸留によって精製する。

名称

国によって、ベンジンという言葉が指す物は異なる。ヨーロッパ諸国では燃料としてのガソリンのことをベンジンと呼ぶ(正確にはその同系の語)。例外はイギリス・フランス・スペイン・ポルトガルなどである。アメリカ合衆国とイギリスでは、用語としてベンジンを用いることはなく、代わりにナフサという用語を用いる。なお、綴りと語感の類似から混同されがちだが、芳香族化合物であるベンゼン (benzene) とは無関係である。

日本工業規格

本節では日本工業規格(JIS)に規定のあるベンジン類について、規格ごとに解説する。いずれも消防法上はガソリンに該当し、危険物第4類・第1石油類・危険等級IIとして取り扱われる。また労働安全衛生法有機溶剤中毒予防規則における第3種有機溶剤となっている。

JISにおけるベンジン類の規格

工業ガソリン1号石油エーテル石油ベンジンリグロイン
JISK 2201K 8593K 8594K 8937
留分(°C)30-15030-6050-8080-110
密度(g/mL, 20°C0.668-0.7640.62-0.660.64-0.740.68-0.75

工業ガソリン1号

一般に「ベンジン」と呼ばれているのは、JIS K 2201:1991に規定されている工業ガソリン1号である。 染み抜きなどの溶剤や機械の洗浄などに使われる。また、ハクキンカイロなどの懐炉の燃料として利用されることもある。

一般に市販されているベンジンには懐炉用としみ抜き用とが有るが、しみ抜き用のものは懐炉には使用できない。(洗剤成分が含まれている事があるため)逆に懐炉用はしみ抜き、シール剥がしにも使用できる。

なお工業ガソリン2号(ゴム揮発油)はゴム工業用、3号(大豆揮発油)は植物油の抽出用に調製されたもので、物理的性状はベンジンと大差ない。4号、5号は本節でいうベンジンより揮発性が低く、性状はむしろ灯油に近い。

石油エーテル

化学実験に用いる石油エーテルは、試薬としてJIS K 8594:1996に規定されている。日本薬局方にも定義がある。CAS登録番号8032-32-4。名称に「エーテル」を含んでいるがエーテル結合を持たず、有機化学でいうエーテルとはまったく別のものである。炭素数は5~6が主で、ペンタンのほか、イソペンタンヘキサンなどの混合物である。

クロマトグラフィーの展開溶媒として利用されるが、日本では精製度の高いヘキサンが安価に入手できるため、ヘキサンを利用する場合が多い。

石油ベンジン

試薬としてのベンジンは、JIS K 8594に規定されている。炭素数は6~7が主で、ヘキサンやイソヘキサンなどの混合物である。CAS登録番号8030-30-6。

リグロイン

リグロインは試薬としてJIS K 8937に規定されている。主に炭素数7~8の炭化水素の混合物で、ベンジン類の中では揮発性が低い。

関連項目