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三木卓

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

三木 卓(みき たく、1935年5月13日 - )は日本小説家詩人翻訳家日本芸術院会員。

目次

来歴・人物

本名、冨田三樹。東京に生まれるが、新聞記者だった父に連れられて一家で大連に移住、幼年期を過ごす。しかし敗戦で引き揚げを余儀なくされ、帰国途中で父、祖母らを亡くす。この辺りの情景は「砲撃のあとで」「ほろびた国の旅」に詳しい。

帰国後は静岡県に育ち、母子家庭の貧困と左足の障害に苦しみながら、静岡県立静岡高等学校を経て、早稲田大学文学部露文科卒業(この少年期の記憶を辿った連作が「はるかな町」である)。

河出書房就職の後、江東区に居を構える。当時あかね書房編集部の山下明生と知り合い、親交を深める。詩を書き始め、ロシア文学の翻訳を手がけるようになる。1967年に詩集『東京午前三時』でH氏賞1970年に詩集『わがキディ・ランド』で高見順賞受賞。

その後、小説も書き始め、「ミッドワイフの家」で芥川賞候補になり、1973年に「鶸」で芥川賞受賞し(連作『砲撃のあとで』のうちの一編)、作家として歩み始める。中でも破傷風にかかった娘を描写した初期の中編『震える舌』は高く評価され、野村芳太郎によって映画化された。

1980年代からは三浦半島のリゾートマンション(横須賀市芦名)に住み、小説を書くようになる(「海辺で」)。1984年に児童文学『ぽたぽた』で野間児童文芸賞1986年に小説『馭者の秋』で平林たい子文学賞1989年に小説『小噺集』で芸術選奨文部大臣賞する。

1994年心筋梗塞のため死にかけたことから鎌倉市雪ノ下に居を移し、このときの臨死記録をノンフィクション『生還の記』として発表する。その後、1997年に児童文学『イヌのヒロシ』で路傍の石文学賞、同年に小説『路地』で谷崎潤一郎賞2000年に小説『裸足と貝殻』で読売文学賞2006年に『北原白秋』で毎日芸術賞藤村記念歴程賞蓮如賞をそれぞれ受賞する。

また、1999年には紫綬褒章受賞。2007年に文学諸分野での長年の功績が認められ、日本芸術院賞恩賜賞を受賞、日本芸術院会員となり、2011年に旭日中綬章を叙勲される。

英米、ロシアの児童文学の翻訳は数多く、特にアーノルド・ローベルのシリーズはロングセラーとなっている。

三木文学の特徴は生々しい人物や自然描写にある(「かれらが走りぬけた日」など)。異性に固執する点は谷崎潤一郎に通じるが、谷崎と違ってその視線の背後には死が滞在している。

「系図」という詩は、高田渡により作曲、歌われ、ボンゾズがカヴァーしている。

テストや問題集などにおいて著作者の許諾なく著作物が使用されることには否定的で、日本は文化の後進国であり検印制度を復活すべきだと主張している(JVCAニュース創刊号)。

著作

詩集

  • 東京午前三時 思潮社, 1966
  • わがキディ・ランド 思潮社, 1970
  • 三木卓詩集 思潮社, 1971 (現代詩文庫)
  • 子宮 思潮社, 1973
  • 茶色の画帖 初谷行雄, 1980
  • 三木卓詩集 : 1957-1980 れんが書房新社、1981
  • 肖像画 初谷行雄, 1983
  • 十二の家の物語 韻文叢書, 1989
  • 百八つものがたり : 連詩 高橋順子,新藤凉子と共著 思潮社、2001

小説

  • われらアジアの子 文藝春秋, 1973(のち集英社文庫)
  • ミッドワイフの家 講談社, 1973(のち講談社文庫)
  • 砲撃のあとで 集英社、1973(のち集英社文庫)
  • 庭からきた声 青娥書房, 1974
  • はるかな町 集英社, 1975(のち集英社文庫)
  • 震える舌 河出書房新社, 1975(のち新潮文庫、講談社文芸文庫)
  • 胸、くるしくて 文藝春秋, 1976
  • かれらが走りぬけた日 筑摩書房, 1978(のち集英社文庫)
  • 魔にくすぐられて 筑摩書房, 1979
  • 野いばらの衣 講談社, 1979(のち講談社文庫、同文芸文庫)
  • 胡桃 集英社, 1980
  • 海辺で 講談社, 1984
  • ころぶはおへた 集英社, 1984
  • 午前中の少年 毎日新聞社, 1985
  • 水彩画の女たち 講談社, 1985
  • 日々のたわむれ 福武書店, 1985
  • 馭者の秋 集英社, 1985(のち集英社文庫)
  • 小噺集 文藝春秋, 1988
  • 仔熊座の男 集英社, 1989
  • 惑星の午後に吹く風 河出書房新社, 1989
  • 月蝕の道 福武書店, 1990
  • となりのひと 講談社, 1991
  • 野鹿のわたる吊橋 福武書店, 1992(のち集英社文庫)
  • となりの女 河出書房新社, 1993
  • ボディ・シャンプー 河出書房新社, 1996
  • 路地 講談社, 1997(のち講談社文芸文庫)
  • 裸足と貝殻 集英社, 1999(のち集英社文庫)
  • 理想の人生 河出書房新社, 1999
  • 錬金術師の帽子 講談社, 2001
  • 柴笛と地図 集英社, 2004(のち集英社文庫)

児童文学

  • 時間の国のおじさん 盛光社, 1969 (創作SFえほん)
  • 星のカンタータ 理論社, 1969 (のち角川文庫)
  • ほろびた国の旅 盛光社, 1969(のち角川文庫)
  • 七まいの葉 構造社, 1971(のち講談社文庫)
  • 真夏の旗 あかね書房, 1971(のち講談社文庫)
  • おつきさまになりたい あかね書房, 1972
  • しらべにきたよ 金の星社, 1974
  • 馬とつるくさと少年 佐野洋子絵 エルム, 1976
  • ばけたらふうせん 長新太絵 講談社, 1978
  • おおやさんはねこ 荻太郎絵 福音館書店, 1982(のち福音館文庫)
  • ぽたぽた 筑摩書房, 1983
  • パジャマくん 講談社, 1986
  • 元気のさかだち 筑摩書房, 1986
  • コップの海 金の星社, 1987 (フォア文庫)
  • えいっ サンリオ, 1988
  • イヌのヒロシ 理論社, 1995
  • はりがねネコ ポプラ社, 1997
  • 三木卓童話作品集 全5巻 大日本図書 2000
  • むしのうた 講談社, 2006

随筆・評論

  • 詩の言葉・詩の時代 晶文社 1971
  • 東京微視的歩行 講談社 1975
  • 言葉のする仕事 筑摩書房 1975
  • 青春の休み時間 集英社 1976(のち集英社文庫)
  • 昆虫のいる風景 新潮社 1978(のち集英社文庫)
  • 夏のよろこび 小沢書店 1979
  • ちょっと寄り道 集英社 1979
  • 遠くまで見える道 毎日新聞社 1980
  • 降りたことのない駅 文和書房 1980
  • らんぷと水鉄砲 安野光雅絵 新潮社 1981(のち新潮文庫)
  • 蝶の島 沖縄探蝶紀行 桐原書店、1982(のち小学館ライブラリー)
  • 大原 里をあるく 吉田智一写真 桐原書店、1983
  • マーク・トウェーン チャイルド本社 1986
  • 月下の花々 毎日新聞社 1986
  • 海辺の博物誌 筑摩書房 1987
  • ファーブル 講談社 1990
  • いじわる動物園 小学館 1992
  • 日本の昆虫 小学館 1993
  • 生還の記 河出書房新社 1995(のち河出文庫)
  • When I'm 64 64歳になったら 小学館、2001
  • 鎌倉日記 かまくら春秋社 2002
  • わが青春の詩人たち 岩波書店 2002
  • 北原白秋 筑摩書房 2005
  • 鎌倉日記 2(2001-2005) かまくら春秋社 2006
  • 雪の下の夢 わが文学的妄想録 冬花社、2010 

翻訳

  • ながぐつをはいたねこ ペロー 世界出版社, 1966
  • ななつのおねがい ワレンチン・カターエフ あかね書房, 1969
  • トラストDE イリヤ・エレンブルグ 河出書房新社, 1970
  • サクラの枝 オフチンニコフ 新潮社, 1971
  • 青の国の冒険 ピーター・マックス 講談社, 1971
  • 赤の国の冒険 マックス 講談社, 1971
  • 黄色の国の冒険 マックス 講談社, 1971
  • ふたりはいっしょ アーノルド・ローベル 文化出版局, 1972
  • ふたりはともだち ローベル 文化出版局, 1972
  • とうさんおはなしして ローベル 文化出版局, 1973
  • やどなしねずみのマーサ ローベル 文化出版局, 1975
  • ふくろうくん ローベル 文化出版局, 1976
  • ポケットのたからもの R.コーディル あかね書房, 1977
  • おはなしばんざい ローベル 文化出版局, 1977
  • カヌーはまんいん ナサニエル・ベンチリー 文化出版局, 1978
  • きりぎりすくん ローベル 文化出版局, 1979
  • せかいのはてってどこですか? アルビン・トレッセルト 佑学社, 1979
  • きりの中のまほう マーガレット=M.キンメル 偕成社, 1980
  • ふたりはきょうも ローベル 文化出版局, 1980
  • こわ-いおはなし トーネ・ジョンストン 佑学社, 1981
  • ローベルおじさんのどうぶつものがたり 文化出版局, 1981
  • ぼくのきしゃ デーヴィッド・マクフェイル 佑学社, 1981
  • ぼくのおじさん ローベル 文化出版局, 1982
  • ピーターのとおいみち リー=キングマン 講談社, 1983
  • フレディ : 小さないのちの物語 レオ・ブスカリア 講談社、1985
  • いっとうしょうはだあれ シンシア&ブラィアン・パターソン 金の星社, 1986
  • がまくんとかえるくんのとびだすえほん ローベル 文化出版局, 1986
  • つきよのぼうけん パターソン 金の星社, 1986
  • レモネードはいかが パターソン 金の星社, 1986
  • ひみつがいっぱい パターソン 金の星社, 1987
  • どこからきこえてくるの? バイオレット・イーストン ほるぷ出版, 1988
  • 3にんぐみはめいたんてい パターソン 金の星社, 1990
  • びっくりクリスマス パターソン 金の星社, 1991
  • 三木卓の方丈記 講談社、1992
  • ローベルおじさんのねこのマザーグース ローベル 文化出版局, 1993
  • こぐまくんのハーモニカ ジョン・セバスチャン リブロポート, 1994
  • こぶたくん ジーン・バン・ルーワン 童話館出版, 1995
  • せかいのはてってどこですか? トゥレッセルト 童話館出版, 1995
  • しりたがりやのこぶたくん バン・ルーワン 童話館出版, 1995
  • みずうみのたから イワン・ガンチェフ 講談社, 1996
  • ピーターのとおいみち バーバラ・クーニー 講談社, 1997
  • トム・ソーヤーの冒険 マーク・トウェイン 小学館, 1998
  • しあわせみつけた ガンチェフ 講談社, 2000
  • ながれ星がはこんできたおはなし ヴァリスカ・グレゴリー 偕成社, 2001
  • 井原西鶴集 ポプラ社、2002
  • てぶくろ トレッセルト のら書店, 2005
  • しあわせの石のスープ ジョン・J.ミュース フレーベル館, 2005
  • そういうきみがすき デイビッド・ベッドフォード 佼成出版社, 2005
  • ゆきがやんだあとで… 福音館書店, 2006
  • パンダのシズカくん ジョン・J.ミュース フレーベル館、2007

外部リンク

インタビュー記事 - e-hon 上のページ。三木の生い立ちが読める。