主力艦
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主力艦(しゅりょくかん。Capital ship)とは、海軍において重要な役割を果たす戦闘艦を指す概念である。通常は公式に定義された概念ではないが、戦略上の海軍の取り扱いにおいて有益な概念である。各国を比較するに当たり、その詳細に立ち入ることなく比較するためにも用いられる。
19世紀末に全鋼製の軍艦が登場するまでは、イギリス海軍の等級制度に照らし合わせて1等から3等までに相当する艦が戦列艦、つまり主力艦として考えられた。1800年ごろの等級分類は以下のとおりである。
- 1等艦は、100門以上の砲を持ち、通常3層から4層構造であった。最下層の砲門は喫水線に迫り、海が穏やかでなければ砲の使用は困難であった。
- 2等艦は、90から98門の砲を有していた。
- 3等艦は、64から80門の砲を有していた。
- 4等艦の多くと5等艦はフリゲートである。4等戦列艦はごく少ない。
- 6等艦、無等級艦の多くはスループである。無等級艦の分類は非常に混乱している。
20世紀、とりわけ第一次世界大戦と第二次世界大戦にあっては、戦艦と巡洋戦艦が主力艦と見なされていた[1]。また、遅くとも1942年の末には、航空母艦もまた主力艦として見なされるようになった。これらは、排水量20,000t近辺かそれ以上の大型艦であり、重巡洋艦はその重要性にもかかわらず主力艦とは見なされなかった。
ドイッチュラント級装甲艦はその例外であり、重巡洋艦とさほどかわらない船体に強力な火力を有しており、イギリスが「ポケット戦艦」としたように概ね主力艦と見なされていた。また、アラスカ級大型巡洋艦は、戦艦あるいは巡洋戦艦として扱われなかったものの巡洋艦としては異例の巨艦であり、主力艦に含めて考えられる場合もある。
冷戦期のキーロフ級ミサイル巡洋艦は、第二次世界大戦当時の主力艦に匹敵する大きさであり、新たな巡洋戦艦として考えられた。
21世紀初頭では、これらのうち、航空母艦が主力艦として存在している。火力は艦載機の数と性能に依存し、艦船自体の艦砲やミサイルによるものではない。アメリカ海軍は100機近い航空機を運用可能な大型空母を複数保有し、他を圧する勢力となっているばかりか、強襲揚陸艦も他国のV/STOL機を運用する軽空母に匹敵するだけの性能を有している。
弾道ミサイル潜水艦は、初期の戦艦に相当する排水量を有する重要性の高い艦であるが、核抑止の一部を担う艦であって伝統的な主力艦のように制海権を保持すべく運用されることはない、新たな主力艦である。アメリカとイギリスでは、弾道ミサイル潜水艦にかつての戦艦と同様の命名を行っている。
また、単にその海軍の主力となる艦艇という意味で「主力艦」という語が用いられることがある。
軍事要素を含むSFでは、他の海軍用語と同様に大型宇宙船に対してこの語が使用されている。
- ^ 1920年代から30年代に締結されたワシントン海軍軍縮条約、ロンドン海軍軍縮条約では、主力艦を定義したことがある。ワシントン海軍軍縮条約における主力艦は、航空母艦を除く基準排水量10,000t以上の排水量を有するか、口径203mm以上の砲を有する艦であった。




