二つの祖国
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1980年6月26日号から1983年8月11日号まで『週刊新潮』(1981年12月10日号から1981年12月24日・31日号まで休載)に連載した。1983年の7月から9月にかけて、新潮社から単行本が全3巻で刊行された。1986年11月に同社から新潮文庫版が刊行された(のち、2009年10月には4分冊に編成された)。
日系2世でロスアンゼルスの日本語新聞社の記者・天羽賢治を主人公に、太平洋戦争によって日米二つの祖国の間で身を切り裂かれながらも、アイデンティティを探し求めた在米日系人たちの悲劇を描いた作品である。
1984年、この小説を原作としてNHK大河ドラマ『山河燃ゆ』が放送された。主演は松本幸四郎 。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。
あらすじ
アメリカのロスアンゼルスに生まれた天羽賢治は、大学を日本で過ごした後、ロスアンゼルスの日本語新聞「加州新報」で日米両国の文化を理解した新聞記者として手腕を発揮する。
新聞記者として脂が乗ってきた最中に日米開戦となる。日系人であるが故に家族全員がマンザナール強制収容所に入れられ、大きな屈辱を味わう。日本人として生きるべきか、それともアメリカ人としてアメリカに忠誠を尽くすべきか悩んだ末、語学兵に志願し、太平洋戦線へ向かう。一方賢治の両親はアメリカへの忠誠テストに背き、マンザナール強制収容所からツールレイク強制収容所に入れられる。
日本が敗戦した後、賢治は進駐米軍の言語モニターとして極東軍事裁判に臨む。
登場人物
- 天羽賢治 - 主人公。天羽家の長男。日本語新聞社で記者をしているさなかに日米開戦となり、米軍への入隊を決意する。実在の人物である伊丹明とハリー・K・フクハラ(福原克治)をモデルにしている。
- 天羽忠 - 天羽家の次男。日本の大学に在籍中に日米開戦し、日本軍に徴兵される。実在の人物であるフランク・カツトシ・フクハラ(福原克利)をモデルにしている。
- 天羽勇 - 天羽家の三男。日系人が収容されたマンザナール強制収容所で米軍への志願を決意し、戦地に赴く。ヨーロッパ戦線で戦死する。
- 天羽乙七 - 賢治ら兄弟の父親。19歳のときに一念発起し、郷里の鹿児島から移民として渡米。日系人に対する過酷な境遇に耐え、ロスアンゼルスのリトルトーキョーでアモウランドリーを経営するも、日米開戦によって全てを没収され、収容所に送られる。
- 天羽テル - 賢治ら兄弟の母親。頑固な乙七を献身的に支える。
- 天羽エミー - 畑中万作の娘で、賢治の妻。賢治と同じ日系2世だが、日本での教育を受けたことがないため日本精神を解さず、賢治との間にすれ違いが生じる。
- 畑中万作 - 乙七と同じ日系1世。商売上手でリトルトーキョーでホテルを経営し、財を成す。
- チャーリー田宮 - 日系2世で、賢治の友人。アメリカ社会での成功を目指す野心家。井本梛子と結婚するが、間もなく破局。戦後マッカーサーの副官にまで上り詰める。
- 井本梛子 - 「加州新報」での賢治の同僚。チャーリー田宮と結婚するが、チャーリーの手段を選ばない上昇志向についていけず、離婚を決意。離婚後両親と共に戦時交換船で広島に帰郷する。進駐米軍の賢治と日本で再会し、互いに惹かれ合う。賢治と将来を約束するが、広島駅での被爆が原因でこの世を去る。
出版
- 単行本
- 『二つの祖国』上・中・下(1983年、新潮社)
- 文庫
- 『二つの祖国』上・中・下(1986年)
- 『二つの祖国』1~4(2009年)※全4巻にまとめたもの。活字が大幅に拡大。
- 全集
- 『山崎豊子全作品』第10巻(1986年、新潮社)
- 『山崎豊子全集』第16~18巻(2004年、新潮社)
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