厚生年金
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厚生年金(こうせいねんきん)とは、正式には「厚生年金保険」といい、主として日本の民間企業の労働者が加入する公的年金制度である。加入者やその遺族のために、老齢年金、障害年金、遺族年金が日本年金機構から支払われる。厚生年金保険法によって定められている。
目次 |
概要
保険料は、被保険者(労働者)の収入の16.058%(2010年9月現在の料率。2004年10月以降、毎年9月に0.354%ずつ引き上げられる)だが、労働者と企業(雇用主)とが半分ずつ、つまり8.029%ずつ負担する。厚生年金は国民年金に相当する固定部分(基礎年金部分)と報酬比例部分に分けられる。法人事業所は、従業員の人数に拘わらず、必ず加入することが求められる。個人事業形態においても、常時使用する労働者が5人に達すれば強制加入となる。5人未満でも、労働者の要求や事業主の同意があれば、加入することができる。このことを「任意単独被保険者」という。ただし、いずれの場合も個人事業主本人は厚生年金保険に加入できない。
一般の労働者に対する厚生年金の起源は第二次世界大戦下の1942年に施行された民間企業の現業男子を対象とした「労働者年金保険」であり、戦時下における労働力の増強確保と強制貯蓄的機能を期待する目的があったとされているが、手っ取り早い戦費調達手段として導入されたとする見方もある。1944年に、現行の名称になった。
2004年年金制度改正
自由民主党と公明党による与党年金制度改革協議会は、2004年2月4日に厚生年金保険料の引き上げについて合意文書を交わした。
厚生年金保険料は、2004年9月までは年収(総報酬)の13.58%(労使折半)であるが、2004年10月から毎年0.354%(労使折半)ずつ引き上げ、2017年度には年収の18.30%(労使折半)まで引き上げられ13年間で段階的に4.72%引き上げられることになる。ボーナスを含めた平均年収が570万円である場合、2017年度の保険料は年額52万1,550円となり、2004年度よりも13万4,520円の負担増額となる。
厚生年金の支給額については、標準的な年金受給世帯[1]において、現役世代(働いている時)の平均収入の50%以上の水準を確保する。
年齢別の保険料負担と年金給付額についての推計
厚生労働省は、2004年に国会で成立した年金改革案関連法案に基いた世代別の給付と負担の関係、給付と負担の見通しについての推計を公表した [2]。
なお、以下の点に注意する必要がある。
- 年金では負担時と受給時に大きなタイムラグが存在するため、経済成長や物価上昇により貨幣価値が変化する。このため、比較のために何らかの換算を行う必要がある。本表では賃金上昇率 (2.1%と想定) について換算されている。
- 使用者負担の保険料 (労働者負担と同額) は除いて計算している。
- 基礎年金については国庫負担が存在する。
| 2005年時の年齢 | 保険料(万円、賃金上昇率による換算) | 給付額(万円、賃金上昇率による換算) | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 70歳(1935年生) | 670 | 5,500 | 8.3 |
| 60歳(1945年生) | 1,100 | 5,100 | 4.6 |
| 50歳(1955年生) | 1,600 | 5,100 | 3.2 |
| 40歳(1965年生) | 2,200 | 5,900 | 2.7 |
| 30歳(1975年生) | 2,800 | 6,700 | 2.4 |
| 20歳(1985年生) | 3,300 | 7,600 | 2.3 |
| 10歳(1995年生) | 3,700 | 8,500 | 2.3 |
| 0歳(2005年生) | 4,100 | 9,500 | 2.3 |
(厚生労働省推計)
※モデル世帯の夫婦(ただし妻は1986年度以降のみ国民年金に加入)がそれぞれの平均余命まで年金を受給した場合。※保険料は本人負担分。
※金額は物価上昇率で2004年度時点の価値に換算。
※端数処理のため倍率が異なることがある。
| 現在の受給者 | 2025年度からの受給者 | |||
|---|---|---|---|---|
| 現役時の 平均手取り収入 | 世帯の年金額と 給付水準 | 現役時の 平均手取り収入 | 世帯の年金額と 給付水準 | |
| (1) 夫は40年間就労 妻は専業主婦 | 39.3万円 | 23.3万円 (59.3%) | 47.2万円 | 23.7万円 (50.2%) |
| (2) 40年間夫婦で共働き | 63.8万円 | 29.6万円 (46.4%) | 76.6万円 | 30.1万円 (39.3%) |
| (3) 夫は40年間就労 妻は子育て後に再就職 | 55.3万円 | 27.4万円 (49.6%) | 66.4万円 | 27.9万円 (42.0%) |
| (4) 夫は40年間就労 妻は出産後に専業主婦 | 43.4万円 | 24.4万円 (56.1%) | 52.1万円 | 24.8万円 (47.5%) |
| (5) 男性独身者が40年間就労 | 39.3万円 | 16.7万円 (42.5%) | 47.2万円 | 17万円 (36.0%) |
| (6) 女性独身者が40年間就労 | 24.5万円 | 12.9万円 (52.7%) | 29.4万円 | 13.1万円 (44.7%) |
※手取り収入は、世帯の合計で、ボーナスを含めた月額換算。
2025年の金額は現在の価値に換算。()内は給付水準。
厚生年金保険法の改正
2004年2月10日に閣議決定された厚生年金保険法の主要な条項は次の通りである。
- 三十四条の改正
- 政府は政令で年金給付額を調整する期間を定める。調整期間の年金額再評価改定は、原則として名目手取り賃金変動率に調整率をかけた率を基準とする。
- 四十三条の改正
- 年金の受給権者が六十五歳に達した以降の年金額再評価率は、原則として物価変動率を基準とする。
- 八十一条の改正
- 厚生年金保険料率は2004年から毎年、0.354%ずつ引き上げ、2017年9月以降、18.30%とする。
- 二十六条、八十一条の改正
- 三歳未満の子どもを育てる厚生年金加入者の月額賃金が、子育て以前の月額賃金を下回った場合は、以前の賃金を年金額計算の基礎とする。三歳未満の子どもを育てる厚生年金加入者の育児休業期間について保険料を免除する。2005年4月1日から実施する。
- 四十六条の改正
- 七十歳以上で在籍者への厚生年金支給額について、賃金に応じて全部又は一部を支給停止する。2007年4月から実施する。
- 六十三条の改正
- 三十歳未満で遺族厚生年金の受給権を得た妻は、五年を経過すると受給権が無くなる。中高齢寡婦加算支給要件を見直す。2007年から実施する。
- 附則十一条などの改正
- 六十五歳未満で在職者への厚生年金支給額について、二割停止する現行方式を改める。
- 三章の改正
- 離婚した場合、厚生年金の分割割合で合意しているか、裁判所の決定があれば、厚生年金の分割を請求することができる制度を創設する。2007年4月から導入する。
年金種類・年金積立金等
- 老齢厚生年金
- 65歳以上の者で保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上であることを条件に支給
- 男性は1953年4月1日以前、女性は1958年4月1日以前に生まれた者で厚生年金の加入期間が1年以上の者に対しては60歳から特別支給の厚生年金が支給される。その後支給年齢は徐々に繰り上げられ、男性は1961年4月1日以前、女性は1966年4月1日以前に生まれた者で厚生年金の加入期間が1年以上の者に対しては65歳より前に経過措置として特別支給の厚生年金が支給されることとなっている。したがって、現在60歳以上で厚生年金加入期間が1年以上の者には、必ず特別支給の厚生年金が支給される(繰下げても多くもらえるわけではなく、5年で時効になる制度なので注意)。
- 障害厚生年金及び障害手当金
- 障害の原因となった傷病ではじめて医師または歯科医師の診察を受けた日(初診日)が被保険者であった場合で、その日から1年6月(あるいはそれより早く障害が固定した場合はその日)に所定の障害にある場合、その障害の程度に応じ年金または一時金が支給される。(所定の保険料納付要件を満たしていることも必要)
- 遺族厚生年金
- 被保険者が死亡したとき、被保険者であった者が被保険者期間中に初診日のある傷病により傷病の日から5年以内に死亡または障害等級が1級若しくは2級の障害厚生年金受給者が死亡したとき、あるいは老齢厚生年金の受給権者または老齢厚生年金の受給資格要件を満たした者が死亡したときで以下の生計維持関係のあった遺族に支給される(所定の保険料納付要件を満たしていることも必要)
- 妻については年齢に関わらず
- 夫、父母、祖父母については死亡当時55歳以上であった場合60歳から支給
- 子、孫については18歳の誕生日の年度末まで(障害等級1級、2級に該当するときは19歳まで)
- 支給順位は、1位配偶者または子、2位父母、3位孫、4位祖父母
| 厚生年金基金 | 共済年金(職域加算) | |||
|---|---|---|---|---|
| 国民年金基金 | 厚生年金(受給時の正式呼称は老齢厚生年金) | 共済年金 | ||
| 国民年金(基礎年金、受給時の正式呼称は「老齢基礎年金」) | ||||
| 加入者数 | 受給者数 | 年度 |
| 3265万1000人 | 1191万1000人 | 1993年度末 |
| 積立金 | 約91兆1134億円 | 1992年度まで |
厚生年金の平均受給額
厚生年金は所定の年齢に達して受給する段階では「老齢厚生年金」(2階部分)と呼ばれ、国民年金の受給分である老齢基礎年金(1階部分)を含めて老齢厚生年金と呼ばれる。 2004年3月末現在、男女共通の平均月額は約16万9,000円、男子だけでは平均約19万6,000円、女子だけでは平均約11万円となっていると社会保険庁は発表している。[3]
関連項目
- 年金
- 厚生年金保険法
- 公的年金である厚生年金、国民年金や厚生年金基金の年金記録問題などの解決のための照合または突合せ作業に住民基本台帳ネットワークシステムも利用される。
- 共済組合
- 議員年金
- 社会保障
- 厚生年金会館(ウェルシティ)
- 厚生年金休暇センター(ウェルサンピア)
- 厚生年金老人ホーム(ウェルハートピアなど)
- 厚生年金基金
- 公的年金流用問題
- 年金記録問題
- 年金改ざん問題
- ねんきん定期便
- 年金個人情報提供サービス
- ねんきん特別便
- 社会保険労務士
脚注
- ^ 夫が平均的な収入で40年間就業し、妻が専業主婦であるという世帯
- ^ 年金財政ホームページ
- ^ 厚生年金の受給額、実際は?、2005年8月17日読売新聞
外部リンク
- 厚生労働省 (Ministry of Health, Labour and Welfare)
- 日本年金機構 (Japan Pension service)
- 社会保険庁 (Social Insurance Agency)
- 厚生年金保険法(総務省法令データ提供システム)
- http://www.stat.go.jp/data/nenkan/zuhyou/y2010a00.xls エクセルファイル形式、年金の英語表記一覧、総務省統計局
- 厚生年金特例法についてPDFファイル、社会保険庁
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