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壁 (小説)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

』(かべ)は、安部公房の最初の短編集。石川淳の序文を添えて、1951年5月に月曜書房から刊行された。第25回芥川賞受賞作。

「S・カルマ氏の犯罪」「バベルの塔の狸」「赤い繭」の三部からなる。このうち第一部「S・カルマ氏の犯罪」(初出時の題名は「壁―S・カルマ氏の犯罪」)は第25回芥川賞を、第三部「赤い繭」は第2回戦後文学賞をそれぞれ受賞した。


注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。 [記述をスキップ]


目次

あらすじ

第一部 S・カルマ氏の犯罪

ある日、目を覚ますと自分の名前を失ってしまったことに気づいた男。事務所の名札には、「S・カルマ」と書かれているが、しっくりとこない。しかも、男の席に、「S・カルマ」と書かれている名刺がすでに座っていた。名刺は男の元から逃げ出し、空虚感を覚えた男は病院へ向かう。だが、院内の雑誌の口絵を胸の中に吸い取ってしまったことがわかり、帰されてしまう。男は動物園に向かったが、ラクダを吸い取りかけたところを、窃盗の罪で裁判にかけられることになった。

第二部 バベルの塔の狸

公園で空想にふけっていた貧しい詩人は、奇妙な獣を見つける。その獣は突如、詩人の影をくわえ逃げ去り、影を失った詩人は透明人間になってしまう。その夜、獣は霊柩車に乗ってやってきて、自分は「とらぬ狸」であると言い、詩人をバベルの塔へ連れて行く。

第三部 赤い繭

「赤い繭」「洪水」「魔法のチョーク」「事業」の四作品からなる。


以上で物語・作品・登場人物に関する核心部分の記述は終わりです。


解題

初出
「壁―S・カルマ氏の犯罪」『近代文学1951年(昭和26年)2月号
「バベルの塔の狸」『人間1951年(昭和26年)5月号
「赤い繭」『人間』1950年(昭和25年)12月号
単行本
『壁』 月曜書房、1951年(昭和26年)5月。
文庫
』 新潮社〈新潮文庫〉、1969年(昭和44年)5月。ISBN 978-4-10-112102-4 1988年(昭和63年)12月改版。