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新宗教

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

(新興宗教 から転送)

新宗教(しんしゅうきょう)もしくは新興宗教(しんこうしゅうきょう)とは近年創始された新しい宗教のことをいう。日本では江戸時代後期以降に成立したもののうち、第2次世界大戦前に興されたものを新興宗教、戦後に興されたものを新宗教と区別する考え方が一般的。西洋では19世紀末以降のものをいう場合が多い。

1951年立正佼成会PL教団などが中心となって、他の新宗教団体と共に新日本宗教団体連合会(略称:新宗連)が結成されたが、新宗連では一般的に使用されてきた従来の「新興宗教」は悪いイメージがある用語として、「新宗教」という用語を使うよう各種関係団体などに働きかけてきた。現在使われている「新宗教」はここに端を発している。

いわゆる「冗談宗教」とは一般に区別されるが、地球平面協会などのように両者の境界はあいまいな場合もある。さらにはいわゆる冗談宗教からスタートしても、実践する人間によっては冗談からきわめて深遠な思想にたどり着き、「本物の」宗教として成立してしまうこともある[1]

目次

概説

日本の宗教学では、近現代に生まれた宗教を指す価値中立的な用語として新宗教を用いている。正確な範囲は論者によって異なるが、19世紀中頃以降に成立した宗教のうち、既成の宗教組織を引き継いでいないもの、新たな教義を掲げて伝統宗教から自立したものを新宗教と呼ぶ。具体例を挙げれば、天理教は代表的な新宗教であり、お東騒動で分派した浄土真宗東本願寺派は新宗教にあたらず、本門佛立宗御嶽教は判断が分かれる。

特に、1970年代以降に台頭してきた宗教を新新宗教と呼ぶことがある。これは宗教社会学の西山茂、室生忠などが提唱した概念で、既存の教勢が停滞する一方で、幸福の科学統一協会が急速に拡大した現象に注目したものである。しかし、どこまでを新新宗教に含めるか、他の新宗教と区別する意義は何か、といった議論があり、この用語は新宗教ほどには定着していない。

当初、新宗教という用語は日本の宗教現象を指すものであったが、欧米でもcultに代わる中立的な用語としてnew religious movementが使われるようになってきている。ただし、歴史的、宗教的背景の相違から、意味内容や対象とする年代に若干のずれがあり、例えばバハーイー教(天理教より新しい)は新宗教に含めないことが多い。

新宗教の多くは、伝統宗教の教義、教流を何らかの形で継承しており、特に在家仏教系の教団の中には独自の教義をほとんど持たないものもある。他方、教祖や教団設立に至るまでに宗教的な背景がほとんどなく、「突然の天啓」や「神がかり」によって派生・形成されてきた教団もあり、こうしたものは新新宗教に目立つと言われる。いずれにせよ、宗教的な実践においては伝統的な教団と大きく異なるのが常である。例えば冨士大石寺顕正会浄土真宗親鸞会はそれぞれ日蓮正宗浄土真宗の分派であり、当然に教義教学は連続しているが、布教手法や他教派に対する姿勢は母教団と甚だしく異なっている。

一部の新宗教では、霊感商法といった詐欺恐喝まがい行為、悪質な勧誘、大学などで宗教団体であることを隠して活動するダミーサークル、終末感を煽った教義による反社会的な活動などにより社会問題となることも少なくない。また、逆に、一部の「悪徳な商行為をする企業」が新宗教を偽装したり、「生活の向上や幸福」などと新宗教の信者獲得手法を取り入れたりして、その境界があいまいとなっている面がある。

そのため、多くの新宗教団体はこれらの問題行状のある教団と一括りにされることを嫌っており、世間一般においても近時はこれら問題行状のある教団をカルト教団と呼称して区別する傾向にある。

「カルト」と同様に「新興宗教」も前述のような教団・団体を指すことが多く、マスコミはそれを前提にもちいている傾向がある。したがって、学術用語として「新興宗教」がもちいられることはない。

日本の新宗教の中には政治に積極的に参加していくという姿勢を持っている教団も多く、日本の政治に一定の影響力を持っている。例として、公明党の強力な支持母体である創価学会が有名であるが[2]立正佼成会世界救世教なども国政選挙において特定の候補者を支持したりしている。 また、新宗教という用語は最近おこった新しい宗教というイメージがあるが、例えば、天理教金光教などはその起源が江戸時代にまでさかのぼり、高校の日本史の教科書にも記載されている。新宗教としてくくられる宗教であっても、それなりの歴史と伝統を持ち、宗教教誨事業への参加やボーイスカウト日本連盟で単独の宗教章が承認されているものある。

新宗教の中には、いわゆる伝統宗教と連携して、死刑廃止運動やカルト対策などの社会問題に取り組む教団や宗教者もある。

新宗教と現代社会

新宗教はその国の伝統的な宗教が背景にあって、日本においては神道系や仏教系といったように、その新宗教が土台とする宗教文化が明確である場合が多い。しかしながら、産業革命以降の交通機関の発達などで国家間のグローバル化が進んだ影響により、特に1970年代以降の新宗教(新新宗教)においては世界各地でどの宗教文化が中心となっているかが不明確な宗教運動が興ってきている。また、複数の伝統宗教の要素を取り込む以外にも、宗教とは異分野の要素(ビジネス科学等)を取り込むことによって、宗教行為そのものについてもそれが経済行為なのか、あるいは心理療法行為なのかが判然としない場合もある。

そのようなハイパー的な特徴を持った宗教運動を「ハイパー宗教」と呼んで従来型の新宗教と区別することもある。代表的なハイパー宗教の例としてはアメリカのサイエントロジーやフランスのラエリアン・ムーブメント、日本においては GLA幸福の科学が挙げられる。幸福の科学は自らを「先進宗教(アドバンスト・レリジョン)」と称して他の新宗教と同様の分類に属さないとしたが[3]、組織としては1990年代の後半から従来型の新宗教と同様に宗教施設・建物を国内各地・世界各地に建立する活動を展開した。

一方、IT革命等でインターネットの普及が進んだことにより、「サイバー宗教」と呼ばれるような、インターネット上で活動を展開して組織的な広がりを持つ運動もおこっている。例えば、1992年に活動を開始した中国の法輪功では、創始者がニューヨークに移住後にサイバー宗教的な性格を持ち、インターネットをもちいることで組織的に拡大した。

神道系の新宗教団体

国家神道系

教派神道系

山嶽信仰系

想念憑依系

大本系

世界救世教系

生長の家系

真光系

天理教系

独立系その他

仏教系の新宗教団体

日蓮宗系

霊友会系

日蓮正宗系

天台宗系

浄土系

浄土真宗系

その他浄土系

真言宗・密教系

曹洞宗系

チベット密教系

その他の仏教系

ヒンドゥー教系の新宗教団体

キリスト教系の新宗教団体

イスラム系の新宗教団体

精神修養団体・心霊研究系の新宗教団体

宇宙・UFO系の新宗教団体

その他の新宗教団体

脚注

  1. ^ マーゴット・アドラー『月神降臨』 江口之隆訳、国書刊行会、2003年、349-350頁。
  2. ^ 『世界大百科事典』 86頁。
  3. ^ 『宗教の挑戦』あとがきp239幸福の科学出版(1992年10月30日)ISBN 4-87688-179-0

関連項目

関連書籍

  • 新宗教事典(編著:井上順孝、弘文堂 1990年)

参考文献

  • 佐木秋夫・小竹明 『世界大百科事典』16巻、平凡社、1978年印刷(原著1972-04-25)。2009-05-05閲覧。

外部リンク