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日本の鉄道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

世界の鉄道一覧 > 日本の鉄道

日本の鉄道(にほんのてつどう)では、日本国内における広義の鉄道について述べる。

目次

概説

日本における鉄道とは、狭義には鉄道事業法に基づいた国土交通省鉄道局の管轄のもとにあるものを指す。軌道法に基づいて建設されたものは法的には軌道と呼ばれ、鉄道とは異なるものであるが、一般的にはこれも鉄道と呼ばれる。鉄道事業法と軌道法の2種類があるのは、軌道法が主に道路に敷設される鉄道を対象としているからである。また鉄道事業法は旧運輸省、軌道法は旧運輸省と旧建設省の共同管轄と、管轄する省庁も異なっていた(運輸省と建設省は2001年に統合され国土交通省となっている)。

鉄道事業法や軌道法以外の法規の適用をうける鉄道もある。森林鉄道鉱山鉄道、かつて存在した簡易軌道(←殖民軌道)がこれにあたる。

これらとは別に、一部私有地において、鉄道事業法や軌道法に基づかず建設された鉄道も存在する。旅館などの送迎などに使われるもののほか、小規模なトロッコ、遊園地の「おとぎ汽車」のような園内遊覧鉄道がこれにあたる。

日本は、比較的人口密度が高く、都市内輸送、都市間輸送において鉄道が重要な役割を担っているため、日本の鉄道の旅客輸送人員は、世界全体の4割のシェアを占めるまでになっている。また、鉄道技術、定時運行性、旅客サービスについては、世界で最も優れた水準に達している。

しかしながら、輸送密度の低い過疎地域においては、人口の減少やモータリゼーションの定着もあって、かなり厳しい経営をせざるを得ない地域があり、過疎路線の整理も進んでいる。ただ、経営努力により黒字経営を続けている中小鉄道事業者もある。

定義

日本の法律では、鉄道事業法施行規則第四条で、次のものが列挙されている。

第四条 法第四条第一項第六号の国土交通省令で定める鉄道の種類は、次のとおりとする。
一 普通鉄道 - ごく一般的な鉄道(2本の線路の上を走るもの。→新幹線から軽便鉄道人車軌道まで)
二 懸垂式鉄道 - 懸垂式モノレールスカイレール
三 跨座式鉄道 - 跨座式モノレール
四 案内軌条式鉄道 - 新交通システム (AGT)・ガイドウェイバス (GBS)
五 無軌条電車 - トロリーバス
六 鋼索鉄道 - ケーブルカー
七 浮上式鉄道 - 磁気浮上式鉄道リニアモーターカー(ただし浮上せず、一に該当するリニアモーターカーもある。→リニア地下鉄など)
八 前各号に掲げる鉄道以外の鉄道

上記(八)に当たるものとしては、2005年日本国際博覧会(愛・地球博)のIMTS愛・地球博線)が「磁気誘導式鉄道」として追加された。

現在の概況

※歴史的な流れは後述

鉄道網の構成

1872年(明治5年)に開業した日本最初の鉄道は、国による建設であり、日本の鉄道は国有国営を旨としたが、その後勃発した西南戦争による政府財政の窮乏により、幹線鉄道網の一部は日本鉄道などの私鉄により建設された。しかし、日清日露の両戦争を経て、軍事輸送の観点などから鉄道国有論が高まり、1906年(明治39年)に鉄道国有法が制定され、日本の鉄道網は基本的に国が運営することとなった(一部の私鉄は民営のまま残ったが、一地方の輸送を担うのみとなった)。その後も、鉄道敷設法に基づいて、私鉄の買収国有化が行われた。

このように、鉄道国有法以降、第二次世界大戦直後までは、国(鉄道寮→鉄道院→鉄道省→運輸省)が全国の主要路線(国有鉄道)を直接運営していたが、1949年(昭和24年)の公共企業体日本国有鉄道)への改組を経て、1987年(昭和62年)には国鉄分割民営化により国鉄そのものが解体され、JRグループ7社に承継されている。

JRグループのほか、地域によっては私鉄も存在する。大都市圏にある大手私鉄準大手私鉄は主に都心と郊外を結ぶ路線網を構築している。中小私鉄は主にJRの駅から離れた都市とJR駅を結ぶ役割のものが多い。大都市では地下鉄もある。日本では地下鉄はいずれも特殊会社または地方公営企業公営交通)の形態をとっている。このほか、地方部には、主に旧国鉄の赤字ローカル線を継承した、地元自治体等の出資による第三セクター鉄道が存在する。

法規上路面電車軌道法に準拠し、厳密には「鉄道」ではないものがほとんどである。路面電車は撤去が進んだが、現在でも一部の都市で運行されている。地方公営企業(公営交通)形態のものと民間企業(私鉄)形態のものが混在する。

JRグループ

1987年に日本国有鉄道(国鉄)がJRグループ分割・民営化された。このうち、東日本旅客鉄道(JR東日本)は鉄道事業体として世界最大の規模を誇っている。JR東日本、東海旅客鉄道(JR東海)および西日本旅客鉄道(JR西日本)については、国が保有していた株式をすべて市場に売却し、完全民営化が達成されている。

一方、北海道旅客鉄道(JR北海道)、四国旅客鉄道(JR四国)、九州旅客鉄道(JR九州)、日本貨物鉄道(JR貨物)に関しては、JR会社法の適用を受け、政府100%出資の株式会社形態特殊会社である。また株式の上場も行なわれていない。これら4社は経営基盤が脆弱であり、鉄道事業だけでは経営が難しいため、経営安定基金などの政府の支援や、多角的な関連事業の展開により、利益の向上を目指している。

大手私鉄

大手私鉄各社は、大都市部を中心として多くの輸送量を有し、どの会社も利益を上げている。しかし、日本全体の人口減や分割民営化されたJRの攻勢による競争激化などの影響を受け、輸送人員は減少傾向である。鉄道事業だけではなく、不動産事業などの関連事業で利益を出している会社も多い。

中小私鉄

大都市近郊の準大手私鉄は、沿線開発や駅周辺の商業施設の運営に関わり、経営基盤は比較的安定している。しかし、それ以外の地方私鉄は、人口減、過疎化、モータリゼーションの定着などの影響を強く受けており、富士急行など沿線に観光資源を有し観光事業が好調な事業者を除くと黒字になっている所は少ない。都市間輸送や観光輸送、政令指定都市中核市クラスの都市での通勤通学輸送など一定の需要が存在する路線以外は、路線縮小や廃止も相次いでいる。既存路線の高速化や新規車輌の導入など改善策の実施が、財政難から不可能な会社もある。昨今の地方公共団体の財政状態の悪化により補助金が減少あるいは停止されること、鉄道事業法の改正により届出だけで廃止が可能になったことが、地方私鉄を取り巻く環境をさらに厳しいものとしている。

公営鉄道等

地方公共団体(公営交通)や、民間企業と地方公共団体の共同出資による第三セクターによる鉄道は、都市部の地下鉄や、交通網が脆弱な地域の交通需要を担っている。しかし、地方においては、旧国鉄の赤字路線をそのまま引き継ぐなど、経営状態はどこも苦しいのが実情である。都市部においてはまとまった需要があるため、路線により様々な状況がある。建設費の高騰から運賃が高価になり、そのため輸送量が伸び悩み、沿線の開発も進まないという悪循環に陥っている路線が多い。その一方でつくばエクスプレスのように好調な輸送実績をあげ、沿線開発が盛んに行われている鉄道路線もある。公営という性質上、保守的な経営形態をとるものが多い一方で、路線を新設し、LRTを導入した富山ライトレールのように新しい戦略をとる会社もある

貨物輸送

国鉄分割民営化に伴い、貨物輸送は日本貨物鉄道(JR貨物)に委ねられた。かつて鉄道貨物は日本の貨物輸送の基軸を担っていたものの、昭和40年代以降、高速道路網の伸長、宅配サービスの充実などにより、貨物輸送量は激減した、昭和50年代の国鉄末期には、経営合理化のために、貨物列車や設備は大幅に整理された上で、JR貨物に引き継がれた。

JR貨物発足後も、鉄道貨物輸送量は低水準にとどまっているが、環境保護という観点や、鉄道輸送のメリットの再見直し、貨車車扱貨物)からコンテナ化、新車導入による速達化などの営業努力により、JR貨物の経営は黒字に転じている。

しかし、地方の貨物輸送を中心とする中小私鉄(臨海鉄道等)については、経営の厳しいところも多い。

輸送量

昭和30年代までは全体的に増加傾向にあったが、昭和40年代以降は、まず高度経済成長期の産業構造の変化にともなう人口分布の変化(大都市への集中)と、自家用車の普及により地方中小私鉄の輸送量減少が進み、多くの中小私鉄が廃線となった。昭和40年代後半(1970年代)以降は航空運賃の低廉化、道路特定財源制度等を利用して高速道路建設等の道路整備、オイルショック後の石油の低価格化による自動車・航空機の増加で、鉄道による長距離輸送の需要減が進んだ。

現在では少子化高齢化と人口分布の都心回帰が進み、地方中小私鉄だけでなく、大都市圏の私鉄でも、都心と郊外を結ぶ路線については輸送人員が増加から減少に転じる路線も出てきている。

一方、都市部においては輸送量が年々増加している路線もあるし、路線の開業による輸送量の増加もみられる。地方においても自動車や航空機に対抗した種々の改善策、観光客の増加などにより、一部路線においては輸送量が増えているところもある。

速度

特別に高速運転ができるように設計・建設された新幹線では、最高で時速300km/h(山陽新幹線のぞみ」、西明石以西)の高速運転がなされている。

一方、在来線の最高速度はごく一部に160km/h走行が可能な路線がある程度で、重要幹線でもおおむね120 - 130km/hにとどまっている。主な理由は

  • 多くの路線が狭軌であり、台車が小さくなるので高出力のモーターを搭載するのが難しかった。
  • 山地が多いが長大トンネルを建設費等を理由に多数建設できないためカーブが多い(蒸気機関車の走行にはカーブを増やしてでも勾配をできるだけ避けた方が有利であった。また、長大トンネルは建設費等のほかに蒸気機関車からの煤煙の問題があった)。
  • 人口が密集しているために踏切が多く、そのため非常ブレーキをかけてから600m以内で停止しなければならないという規制があった(600m条項)。

などが挙げられる。

安全対策

福知山線脱線事故などにより、交通機関の中では安全性が高い鉄道に対する信頼感が低下する傾向がある。各社ともより一層の安全対策に投資するようになってきている。自動列車制御装置 (ATC) などの基幹的な安全対策は元より、ホームドア等の細かな安全対策を取る所も多い。

バリアフリー

交通バリアフリー法の施行に伴い、各事業者とも、バリアフリー化に力を入れている。主にエスカレーターエレベーター設備の拡充が、都市部を中心に行なわれている。駅のトイレも多目的トイレの増設などが行なわれている。列車内トイレを多目的化したものもある。しかし、経営状態のよくない事業者ではバリアフリー化が進展していないところも多い。 路面電車においては低床車両であるLRVが盛んに導入されている。

サービス向上

利用者の増加を図るためにはサービス向上が必要であり、このために各事業者とも種々の施策を講じている。社員教育などの人的な点から、複数路線をまたがって利用したときの精算の手間を省く共通カード導入、さらにキャッシュレス化などが行なわれている。

また、駅構内に店舗を勧誘・設置する(いわゆる「駅ナカ」)ことにより、利用者の利便性を向上し、同時に鉄道事業者の収益を確保する手法も広く用いられている。JRは、民営化によって旧国鉄時代に比べて自由に事業が実施できるようになったため、大都市部の主要駅を中心に、多くのテナントが駅舎内に展開するようになった。しかし、駅構内という圧倒的に有利な立地に商店を開業することで、駅周辺の商店への影響が出ている場合もある。

日本の鉄道史

地域別の鉄道概要

旧日本統治地域における鉄道

日本の鉄道の他国と比べた特徴

正確さ

日本の鉄道は、他国の鉄道と比較して、定時性がきわめて高いといわれている。

鉄道紀行作家の宮脇俊三は、日本の鉄道が世界に誇れることとして、列車本数の多さと時間の正確さを挙げていた[1]。現に海外の鉄道関係者が来日して新幹線に乗車した際、各人に懐中時計を持たせて駅の到着時刻を計らせたら、1秒違わず到着するのを見て「クレイジー」であると証言したという逸話も存在している[2]。また、海外では5 - 15分程度の遅れは(高速鉄道であろうと)定時とみなすところが多いが、日本では15 - 30秒程度のずれも遅れと見なされることもあり、時間に関する日本人の感覚を裏付けるもととして各書籍物で紹介されることさえある。

鉄道の正確さを支えたもの

  • 列車本数の多さ - 人口が密集している日本においては、列車本数が諸国に比べても必然的に多くなる傾向があるが、そうなると僅かな時間差でも他の列車に影響を及ぼすため、必然的に定時性を保つ必要が出てきた。
  • 路線網の複雑さ - 日本は、スイスの鉄道等一部の国には劣るものの、世界で最も緻密な鉄道網を有する国の一つである。分岐駅で列車同士が接続することも多くなり、時には分割併結を行うこともある。この場合も僅かなずれが生じると、全部の路線の多数列車に影響を及ぼすことになるため、定時性が高まる。

反面、合理化で以下のような定時制確保の妨げになるものが生じている。

  • インフラストラクチャの貧弱さ - 日本の鉄道は、列車本数や輸送量の多さに対して、線路や駅設備などのインフラストラクチャが貧弱である。本来なら複々線が適当な線区でも、複線しか敷設されていないことも多い。そのため、ある列車のわずかな遅れで、関係する路線すべてに影響を及ぼす。近年は特に「合理化」を目的に、待避線や行き違い線の撤去などを行っており、ダイヤ乱れに対する回復力が低下している。
  • 人的能力 - 以前は、列車の正確な運行を支えるため、多くの社員・職員が努力していたほか、ダイヤが乱れた場合でも、局所的な対応で間に合う場合も多かったが、近年は要員の削減や合理化、指令の一元化などにより、きめ細かな運転整理が難しくなっている。また、コンピュータの導入により、ダイヤが乱れた場合の融通が利かなくなっている。

定時確保のための努力

工夫と努力なしでは定時性を保つことはできなかった。「運転の神様」と呼ばれる結城弘毅をはじめ、様々な関係者が鉄道の定時性を保とうと苦心した結果、現在の定時性が保たれている。最近では各地でダイヤの見直しによって一旦は競合交通機関対策で短縮した所要時間を多少延ばして遅れても問題ないように余裕時間を増やしている鉄道会社もある[3]

旅客輸送量の多さ

高い輸送密度

日本の鉄道の旅客輸送量は高水準であり、特に都市鉄道として東京圏、大阪圏の主要路線と、都市間を結ぶ鉄道として東海道新幹線は、世界の鉄道でも類例を見つけることが困難なほどの高い輸送密度を有している。

東京圏では、山手線、中央快速線等の路線で、10両編成で3,000 - 4,000人の乗客が輸送され、複線でラッシュ1時間当たり片道10万人前後の輸送人員に達するが、このような輸送量を持つ路線は少なくとも先進国の鉄道では他に例がない。混雑時に椅子がすべて収容される6扉車は他国に類のない設計であり、過酷な通勤ラッシュは他国でもしばしば紹介されることがある。エネルギー消費や土地利用の観点からは非常に効率がよく、世界最大の都市圏である首都圏の経済活動はこのような鉄道なしには成立しえない反面、人々の生活の快適性や福祉の観点からは問題があり、しかも100年以上の日本の鉄道の歴史において、抜本的な改善を見ていない。

また東海道新幹線の東京 - 新大阪間は、通勤列車なみの頻度で運行され、朝夕には毎時10本もの列車が走っているが、これだけの輸送量・頻度で中長距離の都市間を結ぶ鉄道も、現在のところ世界では他に例がない。

高い輸送人員

上記の高い輸送密度と関連して、日本の鉄道の輸送人員は約235億3800万人で、2位以下を大きく引き離して世界一である。[4]

日本の次に世界で二番目に旅客輸送人員の多い国としてインドの鉄道があげられるが、それでもインドの鉄道の輸送人員は50億人をわずかに超える程度で、年間60億人以上の輸送人員を持つJR東日本よりも少ない[5]。また、世界で三番目に輸送人員の多いドイツのドイツ鉄道の輸送人員は18億3100万人に過ぎず[6]、日本の鉄道はドイツの約13倍もの輸送人員を運んでいる。このことからも日本の鉄道輸送人員の多さは他の国と比べて群を抜いているのが分かる。

また、世界一の乗降人員を持つ駅は新宿駅で、1日あたりの乗降人員は約346万人に達する。世界2位は池袋駅でこちらは約271万人である。3位以下については計算方法により渋谷駅もしくは大阪駅と多少の順位変動があるが、少なくとも上位は全て日本の駅が占めている。

ちなみに、ヨーロッパで最も乗降人員の多い駅はパリ北駅であり、数字を発表している中でも日本国外では最も多い年間1億9000万人の乗降人員を持っている。ただし 1日平均に直せば約52万人であり、これは新宿駅の約7分の1で、日本の駅では町田駅と同程度の人員にすぎない[7][8]

高い旅客シェア

日本の鉄道の旅客輸送のシェアは、昭和30年代、40年代の自動車の普及(モータリゼーション)を経て大幅に低下した後も、約30%を維持しており、世界各国と比較しても最も高い水準である。前述したとおり特に東京圏、大阪圏の鉄道と新幹線は、他の交通機関と比べて相対的に利便性が高いため、日常的に人々に利用され親しまれている。ただし東京圏、大阪圏以外の地方部では自動車の利便性の方が高く、鉄道はあまり利用されない場合が多い。なお、貨物輸送のシェアは5%弱で低水準にとどまっている。

動力分散方式の普及

日本の旅客列車のほとんどは、電車または気動車で運転されており、1編成の中に動力車を複数に分散する「動力分散方式」が取られている場合が多い。

逆に機関車が動力を持たない客車を引っ張る動力集中方式の列車は貨物列車をのぞけば一部の寝台列車と観光用の臨時列車などに使われているのみである。

このような動力分散方式の普及に貢献したのが新幹線の開発にも関わった島秀雄や、動力近代化計画を推し進めた星晃である。

日本は人口密度が高く国土が狭いため駅間が比較的短く、また山が多いため、日本の鉄道は特に蒸気機関車には過酷な環境で、蒸気機関車に限らず動力分散方式に比べて加減速性能やカーブ・勾配に対する適応力に劣る動力集中方式そのものが日本の国土には不適当であった。

それでも、従来は長距離列車などは動力集中方式が有利と見られていた。しかし、東京と大阪を走る在来線特急「こだま」から新幹線の0系といった長距離を走る電車が開発され、従来の短中距離に加え、長距離の分野でも動力分散方式の優位は決定的なものとなった。

さらに最近では、JR貨物が世界初の“貨物電車”であるM250系電車を開発させたり、夜行寝台列車においても世界初の寝台電車である583系サンライズエクスプレスにおいて“寝台電車”が運転されているなど、動力集中方式が決定的に優位と見られている分野にさえ動力分散方式の電車や気動車がその任にあたっている。

一方の諸外国では、長距離列車は未だに動力集中方式が中心であり、東南アジアにおいては通勤列車でさえも客車列車が現存している場合もある。

民間部門の強さ

日本では、特に東京圏、大阪圏、名古屋圏、福岡圏の鉄道は、私鉄の果たす役割が大きい。また分割・民営化後のJRも、JR東日本JR東海JR西日本の3社は黒字経営を続けている。これらのJR、私鉄は、鉄道業を中心として、不動産、小売業、宿泊業など、鉄道利用者や沿線住民の生活に関する様々な関連事業を展開している。 他国では、現在では鉄道業で採算が成立することはきわめて難しく、鉄道事業は政府などの出資なしには成り立たないとされる。それ故に他の諸国での鉄道業は、公営鉄道国有鉄道の国や地方の公共事業となっていることが多い。鉄道の草創期は民間事業者によって鉄道網が発展した国は多いものの、現在に至るまで私鉄が広く路線網を維持している国はない。また、鉄道事業者が様々な関連事業を展開している例もない。

鉄道と街づくり

日本では、特に東京圏、大阪圏や、県庁所在都市、新幹線停車駅など地方の主要ターミナルでは、鉄道駅を中心に都市が発展し、駅が人々の生活やビジネスの中心となって活気を呈している。さらに東急阪急などの私鉄は、自ら不動産開発を行い、自社線を核にした郊外住宅地を作るという事業展開を進めてきた。

現在、鉄道駅が街の中心、街の顔として、特に日本の東京圏、大阪圏ほど機能している例は世界的にも多くない。むしろ、かつては街の中心であったものの、自動車の普及後は街の発展から取り残されて治安の悪いさびれた場所になっていたり、街の核から外れて駅が人の集まらない場所になっている場合が多い。

治安・清潔性の高さ

日本は鉄道の治安や清潔性が世界で最も高い国の一つである。治安の悪化を指摘する声もあるものの、日本では地下鉄の車内で乗客が居眠りをしても犯罪に遭う可能性が低く、また深夜でも女性が安心して1人で鉄道を利用できる。これは世界的にみれば特筆すべきことである。また鉄道車両への落書き、器物破損(ヴァンダリズム)により荒廃した列車が見られる国は多いものの、現在の日本ではこのようなことは珍しく[9]、一般に鉄道車両は公共物として尊重され、清潔な状態が保たれている。

脚注

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  1. ^ 宮脇俊三「時刻表ひとり旅」講談社、1981年
  2. ^ 三戸祐子「定刻発車」交通新聞社、2001年
  3. ^ JR福知山線脱線事故以降のJR西日本がその例。
  4. ^ http://www.jreast.co.jp/youran/pdf/jre_youran_group_p31_36.pdf
  5. ^ http://www.mtij.jp/download/Keynote.pdf
  6. ^ http://www.jreast.co.jp/youran/pdf/jre_youran_shogen_p85.pdf
  7. ^ http://www.odakyu.jp/company/business/railways/jyokou.html 1日平均乗降人員
  8. ^ http://www.jreast.co.jp/passenger/index.html 各駅の乗車人員
  9. ^ 仮に落書きやシートなどが切られるなどの器物破損があっても発覚され次第修繕されるので、被害の様子が露見することは少ない。

関連項目

外部リンク