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甲賀三郎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

甲賀三郎(こうがさぶろう)とは、

  1. 諏訪地方の伝説の主人公の名前。地底の国に迷いこみさまよう。後に地上に戻るも蛇体となり諏訪の神になったという。
  2. 小説家作家推理作家。本名は春田 能為(はるた よしため、1893年明治26年)10月5日 - 1945年昭和20年)2月14日)。本稿にて詳述。

目次

略歴

滋賀県蒲生郡日野町に生まれる。生家は、甲賀郡水口藩の藩士であった井崎家。1907年に上京し、京華中学校から第一高等学校へと進む。1918年東京帝国大学工科大学化学科を卒業。和歌山県にある由良染料株式会社勤務を経て、農商務省臨時窒素研究所技手となる。この研究所の同僚に、やはり後に推理作家となる大下宇陀児がいた。

研究所に在職中の1923年、雑誌『新趣味』の懸賞に応募し、一等入選して掲載された作品「真珠塔の秘密」でデビューする。応募のときに、郷土の伝説上の勇者である甲賀三郎兼家になぞらえて、筆名を甲賀三郎とした。

1924年、『新青年』に「琥珀のパイプ」を発表、その初期には自らの専門である科学知識を利用した、短編の本格派探偵小説を多く執筆した。

江戸川乱歩と並んで1920年代の日本で本格派の探偵小説に取り組んだ先駆者として後年の批評家からも評価されているが、トリック設定では科学知識に過剰依存する傾向もあった。この時代に自動車が普及しつつあった実情を鑑み「今後は現実の犯罪でも自動車が多用されるようになるであろう」と指摘しており、その予見は以後のモータリゼーション進展によって的中した。

1927年には、島倉儀平、正力松太郎布施辰治による実話をモデルにした長編小説「支倉事件」を『読売新聞』に連載(1月15日~6月26日)、代表作となる。翌1928年に作家専業となり、以後は「姿なき怪盗」(1932年)などの通俗的な長編探偵小説も多く執筆した。

作家活動と共に探偵小説の普及を推進、探偵戯曲にも関心を示し、その確立に尽力した。木々高太郎とのあいだで探偵小説の文学性についてかわされた論争が後世に知られる。

1942年日本文学報国会事務局総務部長に就任、1944年には日本少国民文化協会事務局長となった。

1945年2月、少国民文化協会の業務出張により九州に赴いた帰途で急性肺炎を発症、列車を降りて入院した岡山県で客死した。

著書

  • 母の秘密 サンデー・ニュース社 1926
  • 欧米飛びある記 春田能為 博文館、1927
  • 恐ろしき凝視 創作探偵小説集 春陽堂 1927
  • 強盗殺人実話 平凡社、1929
  • 幽霊犯人 平凡社 1930
  • 電話を掛ける女 新潮社 1930
  • 神木の空洞(うつろ) 附池水莊綺譚 先進社 1930.4
  • 盲目の目撃者 新潮社 1931
  • 血染のパイプ 改造文庫 1932
  • 姿なき怪盗 新作探偵小説全集 第3 新潮社 1932
  • 犯罪発明者 新潮社 1933 のち春陽文庫
  • 犯罪・探偵・人生 随筆 新小説社 1934
  • 血液型殺人事件 ぷろふいる社 1935
  • 死頭蛾の恐怖 春秋社 1935
  • 体温計殺人事件 黒白書房 1935
  • 死化粧する女 かきおろし探偵傑作叢書 黒白書房 1936
  • ビルマの九官鳥 フタバ書院成光館 1942.10
  • 音と幻想 紫文閣 1942.1
  • 街の良民 東光堂 1942.8
  • 支那服の女 大白書房 1942.1
  • 虞美人の涙 一号館書房 1946
  • 血染の裸女 美和書房 1947
  • 甲賀三郎全集 全10巻 湊書房 1947-1951 日本図書センターより復刊
  • 謎の紅鱗 青柿社 1948
  • 真紅の鱗形 少年探偵 世界社 1948
  • 荒野の秘密 東方社 1955
  • 蟇屋敷の殺人 東方社 1955
  • 妖魔の哄笑 東方社 1955 のち春陽文庫
  • 黒い天使 ポプラ社 1956
  • 山荘の殺人事件 東方新書 1956
  • N2号館の殺人 東方社 1956
  • 支倉事件 春陽堂書店 1956 (長篇探偵小説全集)
  • 探偵手塚竜太 東方社 1956
  • 二度死んだ男 東方新書 1956
  • 公園の殺人 東方社 1956
  • 菰田村事件 東方社 1957
  • 隠れた手 東方社 1957
  • 乳のない女 春陽文庫 1966

近年の刊行

翻訳

  • 真紅の窓掛 フレツド・ホワイト 春陽堂 1930 (探偵小説全集)

参考文献

外部リンク