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西村賢太

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

西村 賢太
(にしむら けんた)
誕生 1967年7月12日(44歳)
ファイル:Flag of Japan.svg 日本東京都江戸川区
職業 小説家
言語 日本語
国籍 ファイル:Flag of Japan.svg 日本
最終学歴 公立中学
活動期間 2004年 -
ジャンル 私小説
代表作 『苦役列車』(2010年)
主な受賞歴 野間文芸新人賞(2007年)
芥川龍之介賞(2011年)
処女作 『けがれなき酒のへど』(2004年)
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西村 賢太(にしむら けんた、1967年7月12日 - )は、日本小説家東京都江戸川区春江町出身[1]。町田市内の市立中学校卒。

目次

略歴

祖父の代から続く運送業者の家庭に生まれる。実家は下請け仕事が中心で、トラック3台、従業員は最盛期でも4人の零細企業だった[1]。父は外車マニアで、数年ごとにジャガーカマロクーガーなどを買い換えていたが[1][2]1978年秋に強盗強姦事件を起こして逮捕され、刑務所に収監される。このため両親が離婚し、3歳上の姉と共に母子家庭で育つ。読書好きな姉の影響で、幼児期から『赤毛のアン』『キュリー夫人』などを読み、活字に親しんでいた[3]。江戸川区立二之江第二小学校5年の2学期に千葉県船橋市原木中山へ転居し、さらに小学校6年に進級する春休み中に東京都町田市のコーポに転居[1]

それまでは父が単なる強盗事件を起こしたと聞かされていたが、町田市立中学校3年の時、父が起こした事件が性犯罪だったことを知り、その衝撃で2学期頃から不登校となる[1]。卒業後は進学せず、家を出て東京鶯谷の家賃8000円のアパートに下宿。やがて、家賃を4か月滞納したまま1年半で鶯谷のアパートから強制退去処分を受け、飯田橋横浜市戸部町豊島区要町板橋などでトイレや風呂のない一間のアパートに住み、家賃滞納と強制退去を繰り返す[1]。この間、港湾荷役や酒屋の小僧、警備員などの肉体労働で生計を立てていた。

傍ら、16歳頃から神田神保町の古本屋に通い、戦後の探偵小説の初版本などを集めていたが[1]土屋隆夫の『泥の文学碑』を通じ田中英光の生涯を知ってから私小説に傾倒。1994年より1996年まで私家版『田中英光私研究』全8冊を刊行、この研究書の第7輯に私小説「室戸岬へ」を発表。第8輯にも私小説「野狐忌」を発表している。この間、暴行傷害事件で二度逮捕され、東京地裁罰金刑を受ける。田中英光研究から離れた理由については「田中英光は、結局、一種のエリートなんですよ。そこでもう、なんか、そこでこう、もの足りないものを感じた」[4]と語っている。

23歳で初めて藤澤清造の作品と出会った時は「ピンと来なかった」というが、29歳の時、酒に酔って人を殴り、留置場に入った経験から清造に共鳴するようになり[1]、以来、清造の没後弟子を自称し、自費で朝日書林より刊行予定の藤澤清造全集(全5巻、別巻2)の個人編集を手掛けている。朝日書林の主人からは相当額の金銭的援助を受け、神田神保町のビルの一室を契約したとき費用を借りた他、「これまでにトータルで5、600万は借りてる」[1]という。

清造の墓標を貰い受けて自宅に保存している他、1997年頃から[1]清造の月命日の毎月29日には清造の菩提寺浄土宗西光寺(石川県七尾市)に墓参を欠かさない。2001年からは自ら西光寺に申し入れて「清造忌」を復活させた他、清造の墓の隣に自身の生前墓を建ててもいる。このエピソードがいくつかの作品において主人公の行動に擬して描かれているように、西村の作風は強烈な私小説である。また「瘡瘢旅行」で、敬愛する藤澤清造は「小説家」ではなく「私小説家」だと呼んでいる。

2003年夏、同人雑誌『煉瓦』に参加して小説を書き始める。2004年、『煉瓦』第30号(同年7月)に発表した「けがれなき酒のへど」が『文學界』12月号に転載され、同誌の下半期同人雑誌優秀作に選出される。同年に『煉瓦』を退会。2006年、「どうで死ぬ身の一踊り」で第134回芥川賞候補、「一夜」で第32回川端康成文学賞候補、『どうで死ぬ身の一踊り』で第19回三島由紀夫賞候補となる。2007年、『暗渠の宿』で第29回野間文芸新人賞受賞。2008年、「小銭をかぞえる」で第138回芥川賞候補。2011年、「苦役列車」で第144回芥川賞受賞。芥川賞受賞後の2011年7月には、「この受賞の流れを逃したら次はない」[5]という自身の提案で新潮社から清造の代表作『根津権現裏』を文庫復刊させた。

作品リスト

小説

単行本

  • どうで死ぬ身の一踊り(2006年2月 講談社2009年 講談社文庫 ISBN 9784062762533
    • 墓前生活
    • どうで死ぬ身の一踊り(『群像2005年9月号)
    • 一夜(『群像』2005年5月号)
  • 暗渠の宿(2006年12月 新潮社2010年 新潮文庫 ISBN 9784101312811
    • けがれなき酒のへど(『文學界2004年12月号)
    • 暗渠の宿(『新潮』2006年8月号)
  • 二度はゆけぬ町の地図(2007年10月 角川書店、2010年 角川文庫 ISBN 9784043943869
    • 貧窶の沼(『野性時代』2007年7月号)
    • 春は青いバスに乗って(『煉瓦』29号、2004年1月)
    • 潰走(『野性時代』2006年2月号)
    • 腋臭風呂(『野性時代』2006年12月号)
  • 小銭をかぞえる(2008年9月 文藝春秋)のち文庫
    • 小銭をかぞえる(『文學界』2007年11月号)
    • 焼却炉行き赤ん坊(『文學界』2008年6月号)
  • 瘡瘢旅行(2009年8月 講談社)「廃疾かかえて」新潮文庫
    • 廃疾かかえて(『群像』2008年11月号)
    • 瘡瘢旅行(『群像』2009年4月号)
    • 膿汁の流れ(『群像』2009年6月号)
  • 人もいない春(2010年6月 角川書店 ISBN 9784048740623
    • 人もいない春(『野性時代』2008年7月号)
    • 二十三夜(『野性時代』2007年10月号)
    • 悪夢 ― 或いは「閉鎖されたレストランの話」(『野性時代』2006年6月号)
    • 乞食の糧途(『野性時代』2008年12月号)
    • 赤い脳漿(『野性時代』2010年2月号)
    • 昼寝る(『野性時代』2010年4月号)
  • 苦役列車(2011年1月 新潮社 ISBN 9784103032328
    • 苦役列車(『新潮』2010年12月号)
    • 落ちぶれて袖に涙のふりかかる(『新潮』2010年11月号)
  • 寒灯(2011年6月 新潮社 ISBN 9784103032335
    • 陰雲晴れぬ(『新潮』2010年8月)
    • 腐泥の果実(『新潮』2011年2月)
    • 寒灯(『新潮』2011年5月 )
    • 肩先に花の香りを残す人(『東と西 2』(2010年7月 小学館))

随筆

  • 随筆集 一私小説書きの弁(講談社、2010年)のち新潮文庫

単行本未収録作品

  • 「室戸岬へ」田中英光私研究第7輯、1995年
  • 「野狐忌」田中英光私研究第8輯、1996年

解説

出演

論文

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j 『週刊文春』2011年2月24日「新・家の履歴書」
  2. ^ 当時の実家は裕福であり、小説における「お寿司」「お蕎麦」「ぼく」などの丁寧な物の言い方は、言葉遣いに厳しい両親に育てられた影響によると当人は2011年10月14日の『スタジオパークからこんにちは』(NHK総合)で語っている。
  3. ^ 2011年10月14日スタジオパークからこんにちは』(NHK総合)における西村の発言。
  4. ^ NHK「かぶん」ブログ:NHK|取材エピソード|芥川賞・西村賢太さん
  5. ^ 日本経済新聞夕刊2011年7月12日付