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講談社BOX新人賞

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

講談社BOX新人賞(こうだんしゃボックスしんじんしょう)は、講談社の文芸書レーベル「講談社BOX」が主催する小説・イラストの新人賞。2006年のレーベル創刊時より、講談社BOX新人賞“流水大賞”として全7回実施され、その後2009年4月より講談社BOX新人賞“Powers”として実施されている。

募集する作品のジャンルに指定はなく、「既存の作品にはない、突出した「なにか」を秘めたあなただけの物語」[1]を募集する。

なお、講談社BOX編集部が実施する新人賞にはほかに電子雑誌『BOX-AiR』(2011年2月創刊)の掲載作を募るBOX-AiR新人賞もある。

目次

概要

2006年11月の「講談社BOX」レーベル開始時より、「講談社BOX新人賞“流水大賞”」という名称で実施された。流水大賞は、「小説部門」、「イラスト部門」、「批評・ノンフィクション部門」の3つがあり、2009年の年初まで全7回の募集が行われた。

2009年4月、公式サイトで名称が「講談社BOX新人賞“Powers”」に変更されることが発表された。またその際、批評・ノンフィクション部門はなくなり、募集は「フィクション部門」と「イラスト部門」の2つになった。

現行の講談社BOX新人賞“Powers”では、受賞が“Powers”(パワーズ)・“Talents”(タレンツ)・“Stones”(ストーンズ)の3つに分かれている。これは旧“流水大賞”の大賞・優秀賞・あしたの賞をほぼ踏襲したもので、“Powers”受賞作は「1年以内に書籍出版」、“Talents”受賞者は「担当編集とともに、書籍出版を目指す」、“Stones”受賞者は「担当編集とともに、“Powers”受賞を目指す」とされている[2]

すべての応募作を編集者が直接見ることと、フィクション部門では枚数に上限がないことが特徴である(下限は400字詰め原稿用紙換算350枚)。

小柳粒男(第1回受賞)、泉和良(第2回受賞)、針谷卓史三田文学新人賞受賞後、講談社BOXから単行本デビュー)の3人は“危険な新人”と呼ばれている。また、天原聖海黒乃翔(ともに第3回受賞者)、鏡征爾(第5回、初の大賞受賞者)の3人は“最強新人”と呼ばれており[3]、2009年5月には3人のデビュー単行本が同時に刊行された。

受賞者一覧

小説以外での大賞(Powers)・優秀賞(Talents)受賞者は出ていない。あしたの賞/Stonesについては後述。

フィクション部門

初期の4作品は、『パンドラ』に全文掲載された後に単行本化された。

流水大賞作品は通常の銀のボックスだが、パワーズ以降は「パワーズ・ボックス」として、銀の箱ではない特別な装丁で刊行されている。

講談社BOX新人賞“流水大賞”
回(発表年月)受賞者タイトル刊行年月ISBN備考
第1回(2007年4月)優秀賞小柳粒男くうそうノンフィク日和2008年6月ISBN 978-4-06-283666-1Vol.1Aに全文掲載後、単行本化
第2回(8月)優秀賞泉和良エレGY2008年7月ISBN 978-4-06-283668-5Vol.1Bに全文掲載後、単行本化
優秀賞Switch2009年6月ISBN 978-4-06-283716-3Vol.2Aに全文掲載後、単行本化
第3回(2008年1月)優秀賞黒乃翔マッドドリーム・アンド・マジカルワールド2009年5月ISBN 978-4-06-283714-9Vol.2Bに全文掲載後、単行本化
優秀賞天原聖海ファイナリスト/M2009年5月ISBN 978-4-06-283707-1
第4回(5月)大賞、優秀賞なし
第5回(8月)大賞鏡征爾白の断章2009年5月ISBN 978-4-06-283708-8鏡賢司『機械仕掛けの泡』改名改題
第6回(12月)優秀賞岩城裕明ようこそ、ロバの目の世界へ。2009年9月ISBN 978-4-06-283727-9第4回流水大賞「あしたの賞」受賞者
優秀賞辻鷹佑P.C.~ペアレンタル・コントロールド~
こんなに近くで
極彩色虚言泡沫絵巻
-
第7回(2009年2月)大賞至道流星雷撃☆SSガール2009年8月ISBN 978-4-06-283722-4
大賞杉山幌R.I.P. レスト・イン・ピース2009年10月ISBN 978-4-06-283725-5杉山輝征『World系NIPPON』改名改題
大賞ウノサワスバルさよなら彦2010年2月ISBN 978-4-06-283740-8
講談社BOX新人賞“Powers”
回(発表年月)受賞者タイトル刊行年月ISBN備考
第1回(2009年5月)Talents井上スナ僕の中の君が、君の中の僕に挨拶をする-
Talents西陽武十総理探偵-
第2回(8月)Powers新沢克海コロージョンの夏2010年11月ISBN 978-4-06-283746-0第1回Powers「Stones」受賞者
Powers神世希神戯―DEBUG PROGRAM― Operation Phantom Proof2010年12月ISBN 978-4-06-283747-7
第3回(11月)Talents架神恭介戦闘破壊学園ダンゲロス2011年2月ISBN 978-4-06-283759-0
Talents紅蓮櫻黒式セーラー-のちに千石サクラに改名
第4回(2010年2月)Powers湊利記マージナルワールド2011年1月ISBN 978-4-06-283760-6 
Talents十町長雨きれいな自殺手-第5回流水大賞「あしたの賞」受賞者
第5回(5月)Powers森野樹レッドアローズ2011年3月ISBN 978-4-06-283770-5下剋上ボックス出身
Talents千石サクラネジマキチョウチョ-のちに第1回BOX-AiR新人賞受賞
Talents蜺河識夢syojo-
第6回(8月)Talents鳥居なごむシャングリラ-
第7回(11月)Talents木村強狼の恋人- 
Talents四季剣一僕と彼女と母の死体-
第8回(2011年2月)Powers円山まどか自殺者の森2011年6月ISBN 978-4-06-283775-0
第9回(2011年5月)Talents手代木正太郎カランノケンシ-
  • 岩城裕明(第6回流水大賞、優秀賞受賞) - 第4回流水大賞で「僕等が愛に笑いに勇気に希望に暴力に自殺に虚構に頼る理由」があしたの賞を受賞している。
  • 新沢克海(第2回Powers、Powers受賞) - 第1回Powersで、「ダンスモンキーの虚と実」がStonesを受賞している。
  • 十町長雨(第4回Powers、Talents受賞) - 第5回流水大賞で「しじみ蝶と侘助」があしたの賞を受賞している。
  • 森野樹(第5回Powers、Powers受賞) - 『パンドラ』Vol.3(2009年4月)の下剋上ボックスで短編を掲載している。

選考座談会

選考座談会は、当初は講談社BOXの文芸誌『パンドラ』に掲載された。第2回Powers(2009年8月発表)からは、公式サイトに掲載されている。

(以下の応募総数には、小説以外にイラスト・批評等も含む)

流水大賞
  • 第1回 - 2007年4月発表。Vol.1Aに選考座談会。応募総数27。
  • 第2回 - 2007年8月発表。Vol.1Bに選考座談会。
  • 第3回 - 2008年1月発表。Vol.1Bに選考座談会。
  • 第4回 - 2008年5月発表。Vol.2Aに選考座談会。
  • 第5回 - 2008年8月発表。Vol.2Bに選考座談会。応募総数55。
  • 第6回 - 2008年12月発表。Vol.3に選考座談会。応募総数66。
  • 第7回 - 2009年2月発表。Vol.3に選考座談会。応募総数64。
Powers
  • 第1回 - 2009年5月発表。Vol.4に選考座談会。応募総数52。
  • 第2回 - 2009年8月発表。座談会・全作品講評は同年11月4日に公式サイト上に掲載。応募総数66(イラスト除く)。
  • 第3回 - 2009年11月30日発表。作品講評(受賞作品は除く)は翌日に、受賞作講評は翌年1月20日に公式サイト上に掲載。応募総数66(イラスト除く)。
  • 第4回 - 2010年2月26日発表。作品講評(受賞作品は除く)は同日に、受賞作講評は4月20日に公式サイト上に掲載。応募総数69(イラスト及び規定違反の作品除く)。
  • 第5回 - 2010年5月31日発表。作品講評(受賞作品は除く)は同日に、受賞作講評は7月20日に公式サイト上に掲載。応募総数54(イラスト及び規定違反の作品除く)。
  • 第6回 - 2010年8月31日発表。作品講評(受賞作品は除く)は同日に公式サイト上に掲載。応募総数78(イラストを除く)。
  • 第7回 - 2010年11月30日発表。作品講評(受賞作品は除く)は翌日に公式サイト上に掲載。応募総数78(イラスト及び規定違反の作品除く)。
  • 第8回 - 2011年2月28日発表。作品講評(受賞作品は除く)は同日に公式サイト上に掲載。応募総数76(イラストを除く)。
  • 第9回 - 2011年5月31日発表。作品講評(受賞作品は除く)は同日に公式サイト上に掲載。応募総数87(イラストを除く)。

あしたの賞/Stones

旧“流水大賞”の「あしたの賞」、現“Powers”の「Stones」を受賞した場合、デビューは約束されないが、担当編集者が付く。この賞は第2回流水大賞(2007年8月)から設けられた。

受賞者の中の何人かは、『パンドラ』の「下剋上ボックス」コーナーに短編小説が掲載されている。あしたの賞受賞者で、下剋上ボックスを経て講談社BOXから単行本デビューした作家に小仙波貴幸森川智喜がいる。

岩城裕明は第4回流水大賞であしたの賞受賞後、第6回流水大賞で優秀賞を受賞し講談社BOXからデビューした。また、新沢克海は第1回PowersでStones受賞後、第2回PowersでPowersを受賞し講談社BOXからデビューした。

第3回流水大賞であしたの賞を受賞した中沢健は、2009年11月に別の出版社から単行本デビューした。同じく第3回流水大賞であしたの賞を受賞したうさぎ鍋竜之介(兎月竜之介)は、2010年にスーパーダッシュ小説新人賞大賞と、ジャンプ小説新人賞特別賞を受賞し、同年9月に集英社スーパーダッシュ文庫からデビューしている。

イラストでのあしたの賞受賞者であるN村は、講談社BOXから刊行される単行本や雑誌の表紙を描いたりしている。

回次発表年月人数「あしたの賞」及び「Stones」の受賞者、作品タイトル
第2回流水大賞2007年8月9名狩名十朗『インペリアル・ティーガー』、矢野紗織『逢魔が時に、家から出てはいけないよ。』、三西麦『空想性パラフレニィ』
夜見直都『スクラップ風ショウ女カッティング炒メ』、今闇『そして飛竜は月夜に空を舞う』、長田大輝『正義の見方』
高安正康『短編4連作』、星生志狼『独裁国家『彩』』、藤原正文『僕は『ふくしゅうやさん』が大好きです。』
第3回流水大賞2008年1月5名小仙波貴幸『河童刺し又衛門 数えで十七、此岸にあって未だ無知蒙昧の僕(やつがれ)』
中沢健『恋愛小説を書く男』、うさぎ鍋竜之介(兎月竜之介)『希望観測』
向後武志『拾得娘』、N村(イラスト)
第4回流水大賞2008年5月5名岩城裕明『僕等が愛に笑いに勇気に希望に暴力に自殺に虚構に頼る理由』
遠井夜空(森川智喜)『マジカルランプ 名探偵三途川理と魔法のための魔法による魔法の呪文』
ganzi『化変』、竹原漢字『みかん少年ネコミミ少女』、岸和千謝『召喚銃 〜或る拳銃の多忙〜』
第5回流水大賞2008年8月2名建太(上城建太)『感性ドリフト』、十町長雨『しじみ蝶と侘助』
第6回流水大賞2008年12月2名緒平滋『LAW』、三里結衣『そのたびごとにただひとつ、彼女の痕跡』
第7回流水大賞2009年2月2名春野友作『雨が降ってる。』、井上竜『悪いひとたち』
第1回Powers2009年5月1名新沢克海『ダンスモンキーの虚と実』
第2回Powers2009年8月4名鬼虫兵庫『バガラバ I -bagaraba-皆殺しの霧街』、椎名ヒロ『Trap Song』
地本草子『BUGS』、美浦アスカ『ル・アンジェ 愛おしきこの世界で』
第3回Powers2009年11月1名八田モンキー『どらごんのーと』
第4回Powers2010年2月2名木之十甲『||:MAIDO MAID & ANDROID:||』、上山知也『キス&デス』
第5回Powers2010年5月1名友志木亜希『銀のダイアモンド』
第6回Powers2010年8月3名伊藤孔五『ペーパーバッグ・ストーリー』、荘田竹一『明日起きたら』、上左右ゑ門『活殺剣理ジュブナイル』
第7回Powers2010年11月1名木之十甲『切子童子と千足御前』
第8回Powers2011年2月4名井上竜『喪服探偵aiko.』、揚野蛙手『Oの神様』、高橋渉水『インモラルインテレクト』、あみるニウム『ハルチ』
第9回Powers2011年5月1名揚野蛙手『玄い灯』

下剋上ボックス

「あしたの賞」受賞者のうちの何名かは、短編作品が『パンドラ』の「下剋上ボックス」コーナーに掲載された。また、編集者に直接声を掛けられてこのコーナーに登場する場合もあった。

このコーナーは全3回(Vol.2 SIDE-A,B、Vol.3)掲載され、人気投票の結果、小説では小仙波貴幸円居挽森川智喜の単行本デビューが決定した。また、Vol.3に登場した森野樹は、講談社BOX新人賞“Powers”の第5回でPowersを受賞し、2011年3月に単行本デビュー。

小説

  • 小仙波貴幸(第3回あしたの賞) - 「鬼灰買いの佐平治 数えで十七、対岸にあって火事を横目に高鼾の阿呆」(2A)
  • 円居挽 - 「盗人待ルノワール」(2A)、「解人待メモワール」(2B)
  • 森川智喜(第4回あしたの賞) - 「ゴーストスクール 名探偵三途川理と長い長いお別れ」(2B)
  • ganzi(第4回あしたの賞) - 「水底ロボット[4](2B)
  • 上城建太(第5回あしたの賞) - 「感性ドリフト/偽善アンドロステノン」(2B)
  • 森野樹 - 「よちよち中吉、二十歳待ち」(3)

漫画

  • N村(第3回あしたの賞) - 「月の夜だけ」(2A)、「Fade Out Syndrome」(2B)
  • 一橋真 - 「Good Luck!」(2A)
  • ちぇこ - 「ゴーストスクール」のイラスト(2B)
  • いわかみちひろ - 「あおいひと」(2A)
  • 斎まや - 「緑の向こう側」(2A)、「ユトの色」(2B)
  • 日田慶治 - 「泰国興隆秘史」(2A)
  • 優 - 「Present」(2B)

関連項目

講談社の新人文学賞
  • メフィスト賞 - 広義のエンターテインメント作品を募集する新人賞。原稿用紙350枚以上。母体となる雑誌は『メフィスト』。
  • ファウスト賞 - 応募者を1980年以降に生まれた者に限った新人賞。原稿用紙80~120枚。第4回まで受賞者は出ていない。母体となる雑誌は『ファウスト』。
  • 講談社Birth - 講談社の文芸書レーベル。20代まで(29歳まで)に限って小説・イラストを募集する。原稿用紙200~400枚。
  • 群像新人文学賞 - 文学の新人賞。原稿用紙250枚以内。母体となる雑誌は『群像』。
  • (講談社BOX新人賞 - エンターテインメント小説とイラストを募集する新人賞。原稿用紙350枚以上。母体となる雑誌は『パンドラ』。)

脚注

  1. ^ 講談社BOX新人賞Powers公式サイト参照
  2. ^ 公式サイトおよび『パンドラ』に掲載されている募集要項参照
  3. ^ メールマガジン「ファンタスティック講談社BOX」vol.83(2009年5月7日配信)や新刊の折り込みチラシで3人は“最強新人”と称されている。ただし、それ以前の同メールマガジンvol.81(同年4月17日配信)の段階では、3人は“脅威の新人”と呼ばれていた。
  4. ^ この作品は、目次や冒頭では題名が伏されている。ここでは反転文字で示す。

外部リンク