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貨物自動車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

貨物自動車(かもつじどうしゃ)は、主に貨物を運搬する構造の自動車をいう。一般には「トラック (truck)」、又は「商用車」と呼ばれる。

本項では特に記載のない限り日本国内の事項について記載する。


目次

概要

主に物資を運ぶ手段として広く活用されている。後述の通り、車体の大きさや重さ、積載可能な重量、装備(架装)の状態等により様々に分類される。専門的には「自動貨車」とも呼ばれる。

軍隊において最も多い車両は戦闘車両でなく貨物自動車である。軍隊が活動するには大量の兵站ロジスティクス)を要求するためである。部隊の移動や土木作業などあらゆる活動に従事するため、軍全体で使用する貨物車両は膨大な量になる。なお日本で初めて自動貨車を運用したのは陸軍の輜重兵(しちょうへい)だったとも言われている。

日本における分類

日本において使用されるトラックの区分方法は一般的に以下に大別できる

  1. 使用用途(登録)
  2. サイズ(大きさ、重さ、積載量)
  3. 装備や架装の状態

使用用途(登録)による分類

営業用貨物自動車
貨物自動車運送事業の事業に用いられる自動車で、運輸支局等に事業用として登録され、専用のナンバープレート(地色が緑色)を交付されたものである。更に『運行』と『一般』の区分けがあり、『運行』は営業所とターミナルなど中・長距離輸送用に用いられる車両(主に10tや12t車)として運転席ドア下部に『運行』と表記されている。なお、この運行車両は路線バスのように事前に運行経路や運行日程等を運輸支局等に届け出なければならない。それに対して『一般』は営業所管轄区域内での集配業務などにあたる車両として車体に『一般』と表記されている。(「一般」は法規上表示の義務は無い。)
  • 日本の法律では遺体は「積荷」扱いである為、霊柩車も貨物(特種用途)自動車の一種とされ、寝台車も同様である。許可を受けた事業者(葬儀社等)しか保有することができず、また自治体毎に登録台数の上限制限がある事から新規参入は非常に難しい。輸送区分は『限定』である。
自家用貨物自動車
自らの荷物の輸送(商店での配送や仕入れなど)に用いることしかできないものであり、運送事業に用いることは違法である。これらの車両は『自家用』と表記される。
軽貨物自動車(軽トラック軽ボンネットバン、軽ワンボックス)
軽自動車の規格内の大きさ・積載量のものである。自家用(商店、農家など)・営業用(「赤帽」など)の登録区分あり。これらの車両は『軽貨物』等と表記される。
三輪貨物自動車(オート三輪
三輪のものである。道路事情の悪かった1960年代(昭和30年代)までは多かったが、末期はマツダダイハツ工業だけとなり、1970年頃に生産が中止された。現在はほとんど見かける事はない。
  • 後述の自衛隊用車両にも一般(民生)用の車両も存在するが、一般のナンバープレートとは異なる専用のものがついている。

サイズ(積載量など)による分類

  • 運転免許による区分(参考: 道路交通法施行規則、第二条)
    大型車(大型自動車
    運転には大型免許が必要。車両総重量が11トン以上、又は最大積載量が6.5トン、又は乗車定員が30人以上の自動車であって、特殊自動車・自動二輪車のいずれでもないもの。速度超過による事故等の防止のため、最高速度90km/hの速度抑制装置(リミッタ)の装備が義務付けられている。(輸入車には標準では装備されていない。また、助手席側ドア下部のガラス窓は、法規制ではなく、国内4社の自主基準である)。かつては、屋根に緑色の速度表示灯(20km/h以下・40km/h・60km/hで点灯)の装備が義務付けられていた。
    中型車(中型自動車
    運転には大型免許または中型免許のいずれかが必要。車両総重量が5トン以上、又は最大積載量が3トン、又は乗車定員が11人以上の自動車であって、特殊自動車・自動二輪車・大型自動車のいずれでもないもの。(法令改正以前の普通免許取得者=中型8t限定免許所持者は、8t限定を解除しないと上記規格を満たす車両は運転できない)
    普通車(普通自動車
    普通免許で運転できる。特殊自動車・自動二輪車・大型自動車・中型自動車のいずれにも該当しない自動車。
  • 高速道路通行料金での区分(カッコ内は高速道路会社の区分番号)
    特大車
    普通貨物自動車のうち4車軸以上のものなど (3)
    大型車
    普通貨物自動車(車両総重量8トン以上又は最大積載量5トン以上で3車軸以下のものなど、1ナンバーで、ナンバープレート大板=大型番号標(縦220mm×横440mm))10トン車など (2)
    中型車
    普通貨物自動車(車両総重量8トン未満かつ最大積載量5トン未満で3車軸以下のものなど、1ナンバーで、ナンバープレート中板=中型番号標(縦165mm×横330mm))3 - 4トン車など (4)
    普通車
    小型自動車4ナンバー、1 - 2トン車など (1)
    軽自動車
    軽トラック ナンバーは40 - 42・48* (4)
  • 車両登録上の区分
    普通自動車(普通トラック)
    小型でないもの。1ナンバー
    小型自動車(小型トラック)
    全長4.7m、全幅1.7m、全高2.0mまでの自動車。4ナンバー

※冷凍車やタンクローリーなどの特殊構造の場合、8ナンバーになるものもある。

装備(架装)による分類

▲: 特種用途自動車(いわゆる8ナンバー)に当たるもの。

平ボディ車
荷台の側方と後方に、アオリがあるだけの車で、無蓋で開放状態となっている。無蓋になっているため、主に雨に濡れても問題の無い品物や、クレーン等を使わないと積み下ろしが困難な重量物を運ぶ場合に使用される場合が多い。積載物の種類によってはトラックシートやトラックロープを用いて上部を覆う。アオリは、後方だけが開くものが「一方開」側方も開くものが「三方開」側方が前後に分かれて開くものが「五方開」と呼ばれる。アオリは鉄製のものもあるが、最近は軽量化のため、アルミ製のものも多い。トラックのボディの中で最も価格が安いことや、軽量なため、積載量がどのボディよりも取りやすいメリットがある。
▲冷凍車
冷凍された物品を輸送するため、冷凍機を搭載し断熱構造の荷台を持つものである。
▲冷蔵車
冷蔵の必要な物品を輸送するため、冷蔵設備を搭載し断熱構造の荷台を持つものである。
保冷車
冷蔵の必要な物品を輸送するため、断熱構造の荷台を持つものである。
通風車
温度上昇に弱い物品を輸送するため、通風構造の荷台を持つものである。
有蓋車
水濡れや荷痛み防止のための密閉構造の荷台を持つものである。アルミ製の「箱」形状のものを持つことから「ハコ」と呼称されることもある。後面が開閉したり、側面が開閉したりして荷物の積み下ろしを行う。側面が開閉するものは、羽根のように開放されるものがあり、通称「ウイング車」と呼ばれる。
ファイル:2002 Isuzu Elf 01.jpg
幌付き車の一例(いすゞ・エルフ)
幌付き車
平ボディ車と有蓋車との中間的な車で、水濡れや荷痛み防止のために平ボディ車のボディの上に金属製の骨組みを組み、その上から布製・ビニール製などのシートを被せてリングベルトで固定した車である。水濡れ対策の完璧さでは有蓋車に負けるが、有蓋車よりも価格が安く、そして、軽量なために積載量が取れるというメリットがある。また、骨組みが脱着できる幌は車体の寸法に含まれないため、ベース車が小型車ならそのまま小型車扱いになり、保険料や通行料金の点で有蓋車より有利になる。
キャブバッククレーン車(ユニック車
荷扱いのための小型クレーンを持つものであり、開放型の荷台のものが多い。なお、ユニックとは古河ユニック株式会社の商品名であるが、一般名称として浸透している。これに対して、例えばタダノでは「カーゴクレーン」、加藤製作所では「積載型クレーン」と呼ぶ。クレーンとしては積載型トラッククレーンとなる。荷台を持たないものについては、トラッククレーンを参照。
車載車
小型の自動車を積載するため、荷台がせりあがり乗せる車が自走して積み下ろし出来るようになっている。事故車や動かない車を載せることが出来るように、ウインチがついていることが多い(このタイプは主に自動車整備業者や自動車ディーラーが持っている)。多段式になり複数の車を載せることが出来るものもある(これは主に、新車や中古車のディーラーへの輸送用に、専門輸送会社が持っている)。規制緩和により、高さ4.1mまで積載できる場合があるので、ワンボックス車などを2段に載せて走ることが可能な車載車もある。通称で呼ばれることが多く、「セーフティーローダー」あるいは単に「ローダー」とよばれることがある。多段式の大型のものは「キャリアカー」とも呼ばれる。
タンクローリー
液体気体を輸送するためのタンクを備え付けたものである。輸送する物質によっては相応の運転免許の他に危険物取扱者等の資格が必要な場合がある。
バルク車
粉粒体を輸送するためのタンクを備え付けたものである。
ダンプカー(ダンプトラック)
土砂・砕石を荷降ろしするための傾斜機構付き荷台のものである。
コンテナ車
輸送用の専用固定金具を装備したものである。
トラックミキサ
生コンクリートを撹拌しながら運ぶ。別名「アジテータートラック」「トラックアジテーター」など。一般にミキサー車と呼ばれる。
トレーラ
原動機を持たず、専ら牽引されるための車。牽引されるための装置を持ち、牽引するための装置を持つ自動車(トラクタという)に接続して走行する。追加の荷台として使用する小さなものから戦車が運搬できる大きなものまでさまざまな大きさがある。数としては圧倒的にセミトレーラが多い。
  • セミトレーラ: トレーラの重量の一部をトラクタが支える。普通は専用のトラクタ(トレーラヘッド)で牽引する
  • フルトレーラ: トレーラ自身で自重を支える。トラクタは通常の自動車
  • ポールトレーラ: トレーラとトラクタを跨ぐように貨物(主として長尺物)を積載する。トラクタは通常の自動車または専用のトラクタ
ピックアップトラック
乗用車の後部座席より後ろの部分をそのまま荷台に置き換えたボディ形状のトラック。
ライトバン
貨客兼用車である。乗用車であるステーションワゴンと異なり、貨物車扱いとなる。

陸上自衛隊用車両

ファイル:JASDF 2.5t track.JPG
自衛隊用車両の一例
航空自衛隊の2トン半トラック)

なお、これらの他にも、民生用のトラックをOD色(オリーブドラブ)に塗装して使用している。 また73式小型トラックはトラックとされているものの、民間ではトラックとは呼べない車種がベースになっている。(ベース車は以前は三菱・ジープ、後に三菱・パジェロが採用されている) また有事の際には膨大な需要を賄うため民間の車両・運送会社を活用することが想定されている。

関連項目

外部リンク