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辻邦生

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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辻 邦生
(つじ くにお)
誕生 1925年9月24日
ファイル:Flag of Japan.svg 日本東京市本郷区
死没 1999年7月29日(満73歳没)
職業 小説家仏文学者
言語 日本語
国籍 ファイル:Flag of Japan.svg 日本
教育 修士文学
最終学歴 東京大学大学院仏文科
活動期間 1963年 - 1999年
ジャンル 小説随筆
代表作 『夏の砦』(1966年)
『安土往還記』 (1968年)
背教者ユリアヌス』(1972年)
西行花伝』(1995年)
主な受賞歴 近代文学賞(1963年)
芸術選奨新人賞(1969年)
毎日芸術賞(1972年)
谷崎潤一郎賞(1995年)
処女作 『回廊にて』(1963年)
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辻 邦生(つじ くにお、1925年大正14年)9月24日 - 1999年平成11年)7月29日)は、日本の小説家フランス文学者

目次

来歴・人物

東京市本郷区駒込西片町に生まれる。父はジャーナリスト薩摩琵琶の伴奏家、母は鹿児島県の医家の出身。辻家の本籍地山梨県東八代郡春日居町国府(現笛吹市)で、代々の医家。9月24日生れだったことから、「くにお」と名付けられる。

1930年(昭和5年)に名古屋へ転居し、1932年(昭和7年)に東京へ戻り、赤坂区に住む。赤坂小学校から旧制日大三中を経て、湯河原に疎開した後に一浪し、1938年(昭和13年)に旧制松本高等学校理科乙類へ入学、翌年には文科乙類へ転科。回覧雑誌や句会を行い、演劇にも親しみ自ら出演もしている。また、寮生活において斎藤宗吉(北杜夫)と知り合う。1949年東京大学文学部仏蘭西文学科へ入学。大学では渡辺一夫に師事する一方で、民生デイゼル(当時、現・UDトラックス)宣伝部嘱託として働き、父の新聞も手伝い記者もしている。1952年(昭和27年)に卒業し、大学院へ進学。卒業論文は「スタンダール論」。卒業の翌年には結婚する。立教大学助教授学習院大学文学部フランス文学科教授等を歴任し、教鞭を執る。

1957年からのパリ留学後、1963年『廻廊にて』で近代文学賞。その後は、『安土往還記』や『背教者ユリアヌス』などの歴史小説で様々な賞を受賞。1981年(昭和56年)、父の死去を機に辻家の家系を探訪。山梨県立図書館に所蔵されていた「辻家文書」(現在は山梨県立博物館所蔵)などを参照して小説「銀杏散りやまず」として発表。歌人西行の生涯を描いた歴史小説『西行花伝』で谷崎潤一郎賞を受賞。1996年、日本芸術院会員。1999年、軽井沢滞在中に急逝。2004年には新潮社より『辻邦生全集』が刊行された。

また、映画評や演劇評などの評論も数多く残している。信濃毎日新聞で連載したエッセイは、「死ぬまで続ける」の言葉どおり、急逝の直前まで続き、『辻邦生が見た20世紀末』として出版されている。

パリ在住の地はポール・ヴェルレーヌがその息を引き取った建物の左隣であり、5区のRue Descartesに位置する。ヴェルレーヌと並んで記念プレートが掲げられている。

夫人は辻佐保子名古屋大学名誉教授(ビサンツ美学美術史専攻)。

受賞歴

著作

小説・戯曲

  • 廻廊にて 新潮社、1963 のち文庫
  • 夏の砦 河出書房新社、1966 のち新潮文庫、文春文庫
  • 異国から(短編集)  晶文社、1968
  • 安土往還記 筑摩書房、1968 のち新潮文庫(改版もされた)
  • 北の岬(短編集) 湯川書房、1969 のち新潮文庫
  • 城・夜・献身・洪水の終り(短編集) 河出書房新社、1969
  • ユリアと魔法の都(童話) 筑摩書房、1971
  • 嵯峨野明月記 新潮社、1971 のち中公文庫
  • 天草の雅歌 新潮社、1971 のち新潮文庫
  • 背教者ユリアヌス 中央公論社、1972 のち中公文庫全3冊
  • 異邦にて(短編集) 角川文庫、1972
  • ポセイドン仮面祭(戯曲) 新潮社、1973
  • 真晝の海への旅 集英社、1975 のち新潮文庫
  • サラマンカの手帖から(短編集) 新潮文庫、1975
  • 霧の聖マリ ある生涯の七つの場所1 中央公論社、1975-※のち文庫化で全7冊  
  • 秋の朝光のなかで 筑摩書房、1976
  • 時の扉 毎日新聞社 1977 のち文春文庫
  • 見知らぬ町にて(短編集) 新潮文庫、1977
  • 夏の海の色 ある生涯の七つの場所2 中央公論社 1977 のち文庫
  • 春の戴冠 新潮社.上下、1977、新版(全1冊)1996 のち中公文庫全4冊
  • 時の終りへの旅 筑摩書房、1977
  • 雷鳴の聞える午後 ある生涯の七つの場所3 中央公論社、1979 のち文庫 
  • 雪崩のくる日 ある生涯の七つの場所4 中央公論社 1980 のち文庫
  • 十二の肖像画による十二の物語 文藝春秋 1981
「風の琴 二十四の絵の物語」 文春文庫
  • 樹の声海の声 朝日新聞社 上中下、1982-83 のち朝日文庫 全6冊
白樺派の周辺にいた一華族女性をモデルとした長編
  • 雨季の終り ある生涯の七つの場所5 中央公論社 1982 のち文庫
  • もうひとつの夜へ 集英社 1983
  • 十二の風景画への十二の旅 文藝春秋 1984 、のち文庫「風の琴」に所収
  • 国境の白い山 ある生涯の七つの場所6 中央公論社 1984 のち文庫
  • 天使たちが街をゆく 即興喜劇(戯曲) 中央公論社 1985
  • 雲の宴 朝日新聞社.上下 1987 のち文庫 上下
  • 椎の木のほとり ある生涯の七つの場所7 中央公論社 1988 のち文庫
  • 神々の愛でし海 ある生涯の七つの場所8 中央公論社 1988 のち文庫
  • 夜ひらく 集英社 1988 のち文庫
  • フーシェ革命暦(未完作、ジョゼフ・フーシェが主人公) 文藝春秋 全2冊 1989
  • 銀杏散りやまず 新潮社、1989 のち文庫
  • 楽興の時十二章 音楽之友社 1990
  • 睡蓮の午後 福武書店 1990 のち文庫
  • スペインのかげり 阿部出版 1990 以下4冊は短編集の再編。
  • シャルトル幻想 阿部出版 1990
  • 遠い園生 阿部出版 1990
  • 黄昏の古都物語 有学書林 1992
  • 江戸切絵図貼交屏風 文藝春秋 1992 のち文庫
  • 天使の鼓笛隊 筑摩書房 1992
  • 黄金の時刻の滴り 講談社 1993
  • 西行花伝 新潮社 1995 のち文庫
  • 光の大地 毎日新聞社 1996
  • 花のレクイエム 装丁版画山本容子 新潮社 1996 のち文庫
  • のちの思いに(未完の自伝小説) 日本経済新聞社 1999 
  • 城・ある告別 辻邦生初期短篇集 講談社文芸文庫 2003-全11篇

エッセイ・評論

  • 小説への序章 神々の死の後に 河出書房、1968 のち中公文庫
  • パリの手記 1〜5 河出書房新社、1973-74 のち河出文庫全5冊
  • 海辺の墓地から 辻邦生第一エッセー集 1961-1970 新潮社、1974
  • 北の森から 辻邦生第二エッセー集 1971-1972 新潮社、1974
  • モンマルトル日記 集英社、1974 のち文庫
  • 詩への旅詩からの旅 筑摩書房、1974
  • 霧の廃墟から 辻邦生第三エッセー集 1972-1973 新潮社、1976
  • 季節の宴から 辻邦生第四エッセー集 1974-1975 新潮社 1979
  • 橄欖の小枝 芸術論集 中央公論社 1980
  • 森有正 感覚のめざすもの 筑摩書房 1980
  • 風塵の街から 辻邦生第五エッセー集 1976-1977 新潮社 1981
  • 夏の光満ちて パリの時1 中央公論社 1982
  • トーマス・マン 岩波書店 1983、のち岩波同時代ライブラリー
  • 冬の霧立ちて パリの時2 中央公論社 1983
  • 時の果実 現代のエッセイ 朝日新聞社 1984
  • 春の風駆けて パリの時3 中央公論社 1986
  • 詩と永遠 岩波書店 1988
  • 私の映画手帖 文藝春秋 1988
  • 美しい夏の行方 イタリア・シチリアの旅 中央公論社 1989 のち文庫
  • 地中海幻想の旅から 第三文明社・レグルス文庫 1990-再編本
  • 永遠の書架にたちて 新潮社 1990
  • 時刻のなかの肖像 新潮社 1991
  • 遥かなる旅への追想 新潮社 1992
  • 美神との饗宴の森で 新潮社 1993
  • 美しい人生の階段-映画ノート'88〜'92 文藝春秋 1993
  • 私の二都物語 東京・パリ 中央公論社 1993 のち文庫
  • 言葉が輝くとき 文藝春秋 1994
  • 生きて愛するために メタローグ 1994 のち中公文庫
  • 人間が幸福であること 人生についての281の断章 海竜社 1995
  • 愛、生きる喜び 愛と人生についての197の断章 海竜社 1996
  • 幸福までの長い距離 文藝春秋 1997
  • 風雅集 世界文化社 1998
  • 外国文学の愉しみ 第三文明社・レグルス文庫 1998-再編本
  • 薔薇の沈黙 リルケ論の試み 筑摩書房、2000
  • 辻邦生が見た20世紀末 信濃毎日新聞社、2000
  • 言葉の箱 小説を書くということ メタローグ、2000 のち中公文庫
  • 海峡の霧 新潮社、2001
  • 微光の道 新潮社、2001
  • 情緒論の試み 岩波書店、2002

共著

  • 若き日と文学と(北杜夫と対談)中央公論社、1970 のち文庫
  • 灰色の石に座りて 対談集 中央公論社、1974 のち文庫
  • 戦後50年を問う 鼎談 信濃毎日新聞社、1994-小冊子
  • 手紙、栞を添えて 水村美苗往復書簡 朝日新聞社、1998 のち朝日文庫、ちくま文庫
  • 若き日の友情-辻邦生・北杜夫往復書簡 新潮社、2010

翻訳

  • 死せる都市の復活 マルセル・ブリヨン 屋形禎亮共訳 みすず書房全2冊、1963-64
  • コクトーの食卓 レーモン・オリヴェ、コクトー画、講談社 1985
  • 美をめぐる対話 ジャン・コクトールイ・アラゴン 筑摩書房 1991
  • 安南-愛の王国 クリストフ・バタイユ  集英社 1995
  • アブサン・聖なる酒の幻 クリストフ・バタイユ 堀内ゆかり共訳 集英社 1996
  • 時の主人 クリストフ・バタイユ 堀内ゆかり共訳 集英社 1997

作品集

参考文献

  • 辻佐保子『辻邦生のために』 新潮社、2002/中公文庫、2011
  • 辻佐保子『たえず書く人 辻邦生と暮らして』 中央公論新社、2008/中公文庫、2011
  • 佐々木涇(とおる)『辻邦生のパリ滞在』 駿河台出版社、2006 - 門下生による著作
  • 菅野昭正編『作家の世界 辻邦生』 番町書房、1978 - インタビュー・作品解説・作家論
  • 三木サニア『遠藤・辻の作品世界―美と信と愛のドラマ』 双文社出版 1996
  • 三木サニア『辻邦生―人と文学 日本の作家100人』 勉誠出版 2009

映像・音声

外部リンク