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42型駆逐艦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

42型駆逐艦
ファイル:HMS Southampton D90.jpg
艦級概観
艦種ミサイル駆逐艦
艦名
建造期間1970年 - 1980年
就役期間1975年 - 現在
前級82型駆逐艦
次級45型駆逐艦
性能要目
排水量満載:4,350トン(バッチ1及び2)/
5,350トン(バッチ3、以下同じ)
全長125m/141.1m
全幅14m/14.9m
吃水5.8m
機関 COGOG方式, 2軸推進
オリンパス TM3B ガスタービン(計 50,000shp; 37.5MW)2基
タイン RM1A ガスタービン(計 8,000shp; 6MW)2基
速力 最大:30ノット
巡航:18ノット
航続距離
乗員312名
兵装 Mk.8 4.5インチ単装砲 1基
ファランクス CIWS2基
GAM-B01 20mm機関砲2基
GWS-30SAM連装発射機1基
STWS Mk.2 3連装短魚雷発射管2基
艦載機リンクスHASまたはHMA哨戒ヘリコプター1機
C4I CSS作戦指揮システム
海軍戦術情報システムリンク 10
ADAWS-4/7/8リンク 11
レーダー 996/992Q型 3次元レーダー1基
1022/965P型 2次元対空捜索レーダー1基
909型 GWS-30射撃指揮レーダー2基
1007型航法レーダー1基
ソナー 2050 / 2016型捜索ソナー
162型海底探査ソナー

42型駆逐艦(42がたくちくかん、type 42 destroyer)は、イギリス海軍およびアルゼンチン海軍ミサイル駆逐艦。イギリス海軍では合計14隻が1975年から1985年にかけて就役した。2010年現在で唯一、実戦で対艦ミサイルの迎撃に成功したことのある艦級である。1番艦の名をとってシェフィールド級駆逐艦(Sheffield class destroyer)とも呼ばれる。

目次

来歴

本級はもともと、82型駆逐艦の計画を引き継いで開発された。イギリス海軍は1960年代、5万トン級のCVA-01級航空母艦、その対空直援艦として82型をもって洋上兵力を構成することを構想した。しかし、財政難のため、CVA-01級の計画は中止、82型は1隻の建造にとどまることとなった。

その一方、イギリス海軍の第二次世界大戦後第1世代の防空艦であるカウンティ級駆逐艦は、既に、その搭載する艦対空ミサイルには限界が露呈しており、重大化を続けるであろう航空脅威に対処できないことは明白で、早急な代替が求められていた。このことから、82型駆逐艦の搭載システムを、より廉価で小型の船体に盛り込むことで、安価な防空艦を取得することを目的として開発されたのが本型であり、最初の発注は1968年に行なわれた。

設計と装備

上述のとおり、本型は、82型駆逐艦のものを元にした武器システムを搭載している。艦載機の運用能力を付与するため、シーダート艦対空ミサイルの発射機は1基に減らされているが、それ以外の面ではほぼ同等であり、戦術情報処理装置に関してはより強力ですらある。なお、戦術情報処理装置としては、82型駆逐艦や航空母艦と同様のADAWSシリーズを使用しており、バッチ1が-4を、バッチ2が-7、バッチ3が-8を搭載する。また、戦術データ・リンクとしては、イギリス海軍で一般的なリンク 10に加えて、アメリカ海軍などとの共同作戦を考慮して、これらの国々で使用されているリンク 11も備えており、リンク 10しか搭載しないフリゲートなどにその情報を中継する役割も持っている。

GWS-30 シーダート艦対空ミサイルは、防空艦としての本型の存在価値の根幹をなす装備である。なお、イギリス海軍は、艦の大きさなどに関係なく、防空艦を駆逐艦、対潜艦をフリゲートとして定義しているため、本型よりやや後発して整備された対潜艦である22型フリゲートは、フリゲートと称されるにもかかわらず、本型よりも大型となっている。また、シーダートによる艦隊防空能力を4,000トン級の艦に付与する代償として、本型は対艦ミサイルを搭載しておらず、対水上打撃力についてはフリゲート部隊に完全に任せることとなっている。ただし、本型はアグスタウェストランド リンクスヘリコプターの運用能力を有していることから、間接的に、最低限の対舟艇火力を備えているということができる。

42型にはバッチ1(初期建造型)からバッチ3までの改正型がある。これらの改正は、フォークランド紛争における戦訓を踏まえたものであり、排水量が大幅に増加したバッチ3については、初号艦の名からマンチェスター級と呼ばれることもある。艦体の延長により艦内容積の不足は改善されたが、縦強度が不足するようになったため舷側に補強材が取り付けられた。バッチ3には、シー・ウルフ艦対空ミサイルの搭載が検討されたこともあったが、艦隊防空の役割には適さないとの判断から見送られている。

実戦投入と退役

本型は、暫時改正を施されつつ計14隻が建造され、やや先行して整備された軽装備の対潜艦である21型フリゲート、重装備の対潜艦である22型フリゲートとともに、イギリス海軍洋上兵力の主力を構成した。また、アルゼンチン海軍向けにバッチI相当の性能の艦が2隻建造されている。

これらの艦はフォークランド紛争において実戦に投入された。この際、42型駆逐艦は、シーダートによっては7機の確実な撃墜を記録している。[1]偵察のため、高高度から接近してきたリアジェットとの交戦では、従来知られていた有効射程外で撃墜を達成した。また、アルゼンチン軍航空隊による攻撃に対しては、イギリス海軍空母搭載のシーハリアー戦闘機が不利となる高高度での応戦を担当し、2機のスカイホーク攻撃機、1機のピューマヘリコプター、1機のキャンベラ爆撃機を撃破している。

その一方、極めて優れた低空侵入能力を示したアルゼンチン軍航空隊に対して、シーダート・ミサイルは必ずしも優秀ではなかった。このため、防空艦であるはずの本型は、より短射程だが優れた追随能力を有するシー・ウルフ艦対空ミサイルを搭載した22型フリゲートによって護衛される必要があった。実際、フォークランド紛争においては、「シェフィールド」(Sheffield、D80)および「コヴェントリー」(Coventry、D118)の2隻が、アルゼンチン軍の航空攻撃によって戦没している。

ただし、その後、シーダート・ミサイル・システムは数次に渡る性能向上策を受けており、湾岸戦争においては、シーダートによってHY-2地対艦ミサイルを撃墜することに成功した。これは、対艦ミサイルの撃墜に成功した初の例であるとともに、2010年現在、唯一の例である。

後継艦

後継となるのはPAAMS搭載の45型駆逐艦であり、その就役スケジュールを念頭に、本型は2014年までに全数が退役する予定である。当初は他のNATO加盟国7ヶ国との艦隊防空艦の共同開発計画NFR-90、もしくはフランスイタリアとの共同によるホライズン計画(Horizon, common new generation frigate)によって置き換えられることが考えられていたが、NFR-90計画は頓挫、ホライズン計画からは離脱してしまったため、後者の計画・研究によって得られた成果を生かして、45型駆逐艦の建造が決定された。

同型艦

  • バッチ1
    • シェフィールド(HMS Sheffield / D80)- 1982年5月4日、フォークランド紛争で戦没
    • バーミンガム(HMS Birmingham / D86)- 1999年にスクラップ
    • ニューキャッスル(HMS Newcastle / D87)- 2008年にスクラップ
    • グラズゴー(HMS Glasgow / D88)- 2008年にスクラップ
    • カーディフ(HMS Cardiff / D108)- 2008年にスクラップ
    • コヴェントリー(HMS Coventry / D118)- 1982年5月25日、フォークランド紛争で戦没
  • バッチ2
    • エグゼター(HMS Exeter / D89)- 2009年に退役
    • サウサンプトン(HMS Southampton / D90)- 2009年に退役
    • ノッティンガム(HMS Nottingham / D91)- 2010年に退役
    • リバプール(HMS Liverpool / D92)- 現役
  • バッチ3
    • マンチェスター(HMS Manchester / D95)- 2011年に退役
    • グロスター(HMS Gloucester / D96)- 2011年に退役
    • エジンバラ(HMS Edinburgh / D97)- 現役
    • ヨーク(HMS York / D98)- 現役
  • アルゼンチン海軍(バッチ1相当)
    • ヘルクレス(ARA Hercules / D1)- 現役(揚陸指揮艦に改装)
    • サンティシマ・トリニダー(ARA Santisima Trinidad / D2)- 不稼動で係留中

脚注

  1. ^ また、友軍のヘリコプター1機を誤射している。

関連項目

外部リンク